神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します

すもも太郎

文字の大きさ
40 / 58

対決

しおりを挟む

 翌日、僕がサムを連れてセスの所に行き紹介を終えると、僕の引っ越しの仕事はほぼ全て終わった。

 そしてホッとしていると屋敷にセスの部下のニアがやって来た。

「やぁ久しぶりだね」
「はい、お知らせがございます」

 ニアは折角来たのにすぐに用件を切り出す、それがまた彼らしいと思った。

「何かあったのかい?」
「帝国の勇者カレンのパーティーが国境警備を振り切りこちらへ向かっております」

 カレン?一体何の用だろう。

 今は帝国とは紛争状態であるので簡単には王都にすら入れて貰えないはずだ。

「ありがとう」

 それで僕は王子の所に相談に行く。

「帝国の勇者カレンがこちらへ向かっているようですが、王子は何か心当たりはありませんか?」
「ふむ……なくもないが」
「というと?」
「以前ここに、君を返せとやって来た話をしただろう?」
「ええ」
「その時に私が思わず帰れと怒鳴ってしまったのだ……私とした事が」

 王子は少し後悔して言う。

「ですがその仕返しで来るとも思えませんが」
「そうなのか?」

 皇帝の命令で王子を暗殺しに強行突破で来たか……どちらにしろ、半分は僕のせいだと感じる。

「この件は僕個人の問題のような気がします、カレンには僕が直接話をしましょう」
「だが早まらないで欲しい」
「それは大丈夫ですよ、僕は帰るつもりもないですし」

 それに仮に実力行使で来ても負ける気がしない。

「ふむ……少し心配であるが、任せよう」
「はい、お任せください」

 王子は心配してくれたが僕には策があった。



 カレン達がやってきている裏街道に先回りして待ち構えていると、猛スピードで馬車がやってきて僕の少し前で止まる。

「カレン、いい加減にしてくれないか?」

 僕が大声で怒鳴る。

 鑑定の結果、御者の男はパーティーメンバーではないようで、フードを深く被ったままで僕を睨みつける。

「ニースか!」

 カレンが急停止した馬車から飛び降りて来た。

「ニース!貴様、何をしてる!?」

 ギーグがいつもの調子で怒鳴りながら降りてくるとカレンが手を横に出して制止する。

「私に任せろ」

「大体の用件は判っているつもりだ」 

 冷静なカレンへ僕が適当に吹く。

「よし、ならば一緒に帝国へ来て貰おう」
「断る」
「なに!?」

 カレンはいつも通り僕を見下した顔で言う。自分の所有物が自分に逆らうなど許さない、そういう態度だ。

「僕はカレンの犬じゃないぞ」
「あーっはっは、犬だろうが」

 僕が抗議するとスカウトのサイファがあざ笑う。本当にムカつく奴だ、犬はお前だろうが。

「黙れ!」 
「な……」

 カレンはしかしサイファを怒鳴りつけた。

「私は本気で言っているのだ、私の元に帰って来てくれニース、な?」

 カレンは少し切ない顔になって訴えるようにして言った。それが僕の胸に刺さる。
 こんなカレンは初めて見た。その必死な顔は美しいとさえ思ってしまった。

「けど無理なんだ」
「なぜだ?」
「僕はもう帝国とは決別したんだ」

「ニースちゃん……」

 カレンの後ろにいるリーサが僕を心配そうにして呟いた。

「悪いけど、そういう事だから帰ってくれ、そしてもう来ないでくれ」
「……ニース、やめてくれ、私に力を使わせないでくれ」

 僕がキッパリと断るとカレンは震えながら言う。目が充血していて、怒っているのかと思ったら泣いているようだった。

「あ、いや、そんなつもりじゃないけど……」
「どうしても私の元に戻らないというのなら……力ずくでも行くぞ!」
「やめようよ」

 だがカレンはもう決意したようでいきなり飛び掛かって来る。
 しかし、それは剣で切り結ぶという事ではなくて鞘ごと僕を殴りつけて気絶させようとするものだ。

 神威の服を着こんだ僕はそれを簡単にかわす。

「え!」

 驚くカレンが徐々に本気で剣を振り回すといつしか抜剣していて、割と本気で何度も攻撃してきたが全てが空を切る。

 ヒュンヒュン!ヒュヒュン!

「無駄だよ」
「なに!このこの!」

 カレンの剣技の全てを紙一重でかわし続ける。

「調子に乗るなよ」

 カレンが攻撃する合間を縫ってサイファがスカウト最速の武技で飛び込んできて僕に必殺の暗殺技を繰り出すが、それも簡単に避け、逆に彼の首に手刀をお見舞いするとあっさり気絶した。

 ドス!

 「ぐぅ……」

 カレンはそれで完全にキレてしまい必殺の雷神剣を唱えて僕にブチかました。

「雷神剣!」

 ドドーン!

「いやぁあ!ニースちゃん!」

 カレンの剣から雷が迸り僕に命中すると、リーサが泣き叫んでいた。

 が、全員の想定を覆し僕は平然と立っている。

「効かないよ」

 神威の服が雷属性の攻撃を吸収していた。少しピリピリと皮膚に障るけどダメージは皆無だった。

「なに!雷神剣!雷神剣!雷神剣!雷神剣!」

 ドドドドーン!

 カレンが全ての魔力を使い果たし肩で息をしている。

「はぁはぁ、はぁはぁ……」
「無駄だ」

「ほぅ、やるじゃねーか!」

 それを見ていたギーグが何かをラッパ飲みしてから僕に言った。

「もうお前は死ぬしかない」

「はぁ?」

 偉く自信たっぷりでギーグが宣言すると同時に彼の身体が黒く膨れ上がるのが見える。

「うぉおおおおおおお」

 気持ちの悪い叫び声を上げるとギーグの白目が黒く染まり不気味な顔になっている。

「うわ……」

「ふん!」

 ギーグがサイファを超える速度で僕に飛び掛かってきて一瞬驚いたが、彼のパンチを神威の服が紙一重でかわす。

 ドヒュ!ボボッ!ボボボボボ!

 それは人類を遥かに超える速度で、少し危機感を覚えた僕はギーグの隙をついて膝裏に蹴りを叩き込み、バランスを崩した奴の後頭部に回し蹴りをぶちかました。

 ドボ、ドドーン!

 その一撃でギーグが頭から地面に倒れ込み口から泡を吹いていた。
しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎
ファンタジー
 この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)  主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)  しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。  命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥ ※1話1500文字くらいで書いております

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

追放された『修理職人』、辺境の店が国宝級の聖地になる~万物を新品以上に直せるので、今さら戻ってこいと言われても予約で一杯です

たまごころ
ファンタジー
「攻撃力が皆無の生産職は、魔王戦では足手まといだ」 勇者パーティで武器や防具の管理をしていたルークは、ダンジョン攻略の最終局面を前に追放されてしまう。 しかし、勇者たちは知らなかった。伝説の聖剣も、鉄壁の鎧も、ルークのスキル『修復』によるメンテナンスがあったからこそ、性能を維持できていたことを。 一方、最果ての村にたどり着いたルークは、ボロボロの小屋を直して、小さな「修理屋」を開店する。 彼の『修復』スキルは、単に物を直すだけではない。錆びた剣は名刀に、古びたポーションは最高級エリクサーに、品質すらも「新品以上」に進化させる規格外の力だったのだ。 引退した老剣士の愛剣を蘇らせ、村の井戸を枯れない泉に直し、ついにはお忍びで来た王女様の不治の病まで『修理』してしまい――? ルークの店には、今日も世界中から依頼が殺到する。 「えっ、勇者たちが新品の剣をすぐに折ってしまって困ってる? 知りませんが、とりあえず最後尾に並んでいただけますか?」 これは、職人少年が辺境の村を世界一の都へと変えていく、ほのぼの逆転サクセスストーリー。

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

処理中です...