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超人部隊
しおりを挟む一方、出発前にマール国王から生命の指輪を手渡されたニア達救助部隊は、疲れ知らずで移動して公国の目前まで来ていた。
そこで目にしたのは街道を埋め尽くすアンデッド兵士の大軍だった。
「なんだこれは……」
前方の公国方面の街道を埋め尽くすアンデッド兵の大軍に遭遇してニアが呆れて言う。
「C隊形でここを突破する、ラルフは弓を装備して後方の警戒をしろ、突破するぞ」
ニアが命令を出すと全員がファントムグラブを装備して走り出した。
ドドドド……
ババババババ!ドドーン!
動きの遅いアンデッドの大群を後ろから巨人の手で殴り、殲滅しながら爆進していく。
ニア達は魔力が強くないのでファントムパンチの射程は短いのだが、それでも突破するには十分だった。
半日後、殲滅しつつ走り抜いたニア達は国境を越える。
「前方の白兵戦に突入する、散開して各個撃破しろ」
白兵戦を行っている公国兵士の援護を行い、あっという間に殆どのアンデッド兵を撃破していった。
公国兵士たちは彼らニア達の鬼神の様な強さ早さに驚き恐れていた。
「味方なのか!?」
「……なんて言う強さなのだ!」
1時間後、ほぼ全てのアンデッドを滅ぼしたのを確認したニアが前線の司令官を探していた。
「隊長殿はいるか?」
「私が副官である」
ニアが叫んで回ると、疲弊した公国兵士の中の1人が立ち上がり返事をした。
「集合!……我々は王国から派遣された特務兵である、公国の救援に参上した」
ニアが手を上げて集合を掛けると、散開していた4人がニアの所に集まり整列する。
「副官殿に敬礼」
ザッ!
ニアが号令をかけると一斉に敬礼し、副官がそれに遅れて敬礼を返す。
「王国の救援部隊に感謝する……しかし5人しか残っていないようであるが?」
「我々は5人で救助に派遣されました」
「なんと!」
それで副官が改めて見まわすと、街道を埋め尽くすアンデッド兵の大群が消滅しているのが目に入り再度驚いていた。
「まさか5人で撃破して来たというのか?」
「はい」
「……」
副官は目の前の非現実的な状況に言葉も無かった。
夢か幻覚を見ていると考えた方がまだ妥当だったのだ。
「しかし……」
「我々は特殊部隊であり、5人で派遣されたものである」
ニアが言外に5人で充分だと言う。
「そうか……」
「副官どのに状況の説明をお願いしたい」
「……承知した」
そういうと、副官は情報将校を呼び各地の状況を報告させる。
そして一枚の戦況を記した地図をとり上げて、各所にある印を指さしてニア達に解説をした。
「つまり、まだまだ多数が国内に進行中という事ですね?」
「そうなのだ」
「では、これより我らで撃破していきましょう」
ニアがそういうと、5人は風のようにその場から走り去って行った。
「はは……幻を見ているのだろうか」
いまだに現実感の無い副官が呟く。
ニア達はその後、公国の奥深くに侵入して冒険者達と戦闘になっているアンデッド兵を撃破していると、公都中心を闊歩しているドラゴンゾンビとの戦闘になった。
ドラゴンゾンビと死闘を繰り広げている公国のSランク冒険者達の援護を行い、5人で囲みファントムパンチで滅多打ちにして勝利する。
ドドドドドドド!
ドドーン……!
「おおお!なんという強さ!」
「君たちはどこの部隊なのだ?」
「我々は王国から派遣された救援部隊である」
その後、説明を受けた彼らが公国元老中央議会に案内されて、救助に来た事と戦況を元老会に報告した。
「なんと!たった5人でやってきて全て打倒したというのか!?」
元老の1人がニアの報告を聞いて喜びつつも恐怖に震えていた。理解を超えた強力な力を持つ5人に恐怖したのだ。
「では、我々はこれで王国に帰還します」
ニアは元老からマール王への感謝の手紙を受け取ると、それを胸に仕舞いながら直ぐに帰国するという。
ニアは公国内でのアンデッドの掃討はほぼ完了したと見て、次に独自の行動に出た。
「よし、帝国に潜入して調査をするぞ」
「はいニア隊長、戦闘はどうしますか?」
「戦闘はなるべく避けて調査を優先させろ、それから全員で行動し離れるな」
公国に入って2日目、ニア達は休みもせずに帝国の調査に乗り出した。
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