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真の目的
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魔人城への道のりは、それ自体険しいものであった。
途中からは断崖を通るので馬車は捨て、馬を降りていかなければならない。
元々は有力貴族の所有する砦であるため険しい立地であるが、今は誰も整備をしないためアクセスする道のりすら荒れ放題だ。
所々崖が崩壊していて馬ですら通れない。
「こんな所まできてもまだ感じるか」
そのしつこい監視の目がどこまで付いてくるのかラセルには興味があった。
指輪を外してしまえば感じることは無くなるので、眠るときはある意味安心できる。
しかし、装着すると途端に監視されている事を感じるのでそれがストレスになっている。
その監視の限度や範囲を知ることが今回の目的の一つでもある。
それが解決の糸口になれば……とラセルは考えていたのだ。
もう一つの目的はアイテム収集である。
最高難度のクエストともなれば低階層の雑魚からでも結構なお宝をドロップ出来るからだ。
「それが何であれ、今の僕には宝になるに違いない」
ろくな装備を持っていない今のラセルには金かアイテムのどちらかが必要だが。
「両方手に入れようというのは虫が良い話だろうか」
だが、指輪の力で陽気になっている今のラセルにはそのどちらも手に入るものとして目に映っていた。
「少なくとも1000金は稼がないと」
一応そのラインが彼の目標であった。
何とか馬を引いて魔人城にたどり着くとそこは異様な雰囲気だ。
空は晴天であるのに城の周りだけ暗く淀んでいる。
馬の手綱を手前の柱に括り付けて荒れ果てた魔人城に踏み入ると、途端に濃厚な魔瘴気に包まれるが、今のラセルには何とも無かった。
手で触れるのでは無いかと思われるほどの濃厚な魔瘴気は、体力のない町人なら数分で卒倒するレベルである。
だが、ラセルの周りは薄っすらと光輝いていて、魔瘴気を身体から遠ざけ明暗のコントラストを作っていた。
ザザザ……ガシャガシャガシャガシャ……
「早速出たね」
城に踏み入れて数歩でアンデッドナイトがワラワラと走ってくる。
バシュバシュバシュ!
ラセルはニコニコしながらギルマスから借りた炎の剣で薙ぎ払った。
アンデッド達は一撃で吹き飛んで城の奥へ燃えながら消えていく。
その剣はアンデッドナイトにヒットする毎に火炎を発して付加効果を発揮していた。
アンデッド達は吹き飛びながら大きな松明の様に燃えて真っ暗な城の中を照らしてくれる。
バシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュ……
ドスン……ドスン……ドスドスドス!
無限に続くかのようなアンデッドナイトの群れの最後にはアンデッドオーガが登場した。
炎の剣を振り回すラセル目掛けて巨体で地響きを鳴らし迫り、巨大な石斧を振り降ろし襲い掛かる。
以前のラセルならその姿に畏怖を覚えて身構えるのだが、今の彼はリラックスしていた。
ブオン!
ガキィ!
アンデッドオーガが振り降ろす石斧を剣で受け止めて楽々と振り払う。
身長差は3倍ほどもあるオーガの石斧を武技も使わず素振りのみで弾き飛ばした。
「ハイ終わり」
ドヒュ!ザン!
少し勢いを付けてオーガを縦に切り裂くと、オーガの残骸は燃えながら消し飛んでいった。
「なんだ、簡単じゃないか」
まるで散歩がてら小石を蹴飛ばすような気楽さでオーガを吹き飛ばし、彼の中で何かが変わった。
これまでも白の牙でアンデッドオーガとやり合った経験からして、自分が異常に強くなっていると実感する……以前ならタイマンでは相当に苦戦したはずである。
素振りで楽勝という体感はラセルから物怖じするという感覚を失わせるに十分であった。
……今の自分なら魔人すら余裕で倒せるのでは無いか?
そんな不遜とも言える自信がラセルを包み始める。
「おっと、魔石魔石」
モンスターの襲撃が一段落したのを確認して松明に火を移し、落ちている魔石を集めた。
「大量大量、ははは」
低階層で既にかなりの量の魔石を手に入れてラセルは嬉しくなり独りごちる。
「おっと……これは、オーガハートではないか」
それは強化アイテムとして使える魔石に似たレアドロップ品である。
主に武器や防具などに装着してショック耐性を高める事ができる宝石だ。
統計上は数百体に一つドロップするかどうかのレアアイテムだ。
鍛冶屋に持ち込み装備に付け加える事で、とても高値で売れる。
素材としても高価だ。
ふと気がつくと、いつも感じていた監視の目の感覚は消滅していた。
「ふ~ん、なるほどね」
それで一つ判ったことは、あくまでもこれは人為的な監視魔法の類いであるという事だ。
「魔族からの監視ならここで途切れることも無いだろうし……僕を見ているのはこの国の誰かさんてことだ」
監視の目が無くなると思うとさらに気分は晴れ晴れとしてくる。
陰惨な魔人城でここまでニコニコ出来るのはラセルだけであった。
途中からは断崖を通るので馬車は捨て、馬を降りていかなければならない。
元々は有力貴族の所有する砦であるため険しい立地であるが、今は誰も整備をしないためアクセスする道のりすら荒れ放題だ。
所々崖が崩壊していて馬ですら通れない。
「こんな所まできてもまだ感じるか」
そのしつこい監視の目がどこまで付いてくるのかラセルには興味があった。
指輪を外してしまえば感じることは無くなるので、眠るときはある意味安心できる。
しかし、装着すると途端に監視されている事を感じるのでそれがストレスになっている。
その監視の限度や範囲を知ることが今回の目的の一つでもある。
それが解決の糸口になれば……とラセルは考えていたのだ。
もう一つの目的はアイテム収集である。
最高難度のクエストともなれば低階層の雑魚からでも結構なお宝をドロップ出来るからだ。
「それが何であれ、今の僕には宝になるに違いない」
ろくな装備を持っていない今のラセルには金かアイテムのどちらかが必要だが。
「両方手に入れようというのは虫が良い話だろうか」
だが、指輪の力で陽気になっている今のラセルにはそのどちらも手に入るものとして目に映っていた。
「少なくとも1000金は稼がないと」
一応そのラインが彼の目標であった。
何とか馬を引いて魔人城にたどり着くとそこは異様な雰囲気だ。
空は晴天であるのに城の周りだけ暗く淀んでいる。
馬の手綱を手前の柱に括り付けて荒れ果てた魔人城に踏み入ると、途端に濃厚な魔瘴気に包まれるが、今のラセルには何とも無かった。
手で触れるのでは無いかと思われるほどの濃厚な魔瘴気は、体力のない町人なら数分で卒倒するレベルである。
だが、ラセルの周りは薄っすらと光輝いていて、魔瘴気を身体から遠ざけ明暗のコントラストを作っていた。
ザザザ……ガシャガシャガシャガシャ……
「早速出たね」
城に踏み入れて数歩でアンデッドナイトがワラワラと走ってくる。
バシュバシュバシュ!
ラセルはニコニコしながらギルマスから借りた炎の剣で薙ぎ払った。
アンデッド達は一撃で吹き飛んで城の奥へ燃えながら消えていく。
その剣はアンデッドナイトにヒットする毎に火炎を発して付加効果を発揮していた。
アンデッド達は吹き飛びながら大きな松明の様に燃えて真っ暗な城の中を照らしてくれる。
バシュバシュバシュバシュバシュバシュバシュ……
ドスン……ドスン……ドスドスドス!
無限に続くかのようなアンデッドナイトの群れの最後にはアンデッドオーガが登場した。
炎の剣を振り回すラセル目掛けて巨体で地響きを鳴らし迫り、巨大な石斧を振り降ろし襲い掛かる。
以前のラセルならその姿に畏怖を覚えて身構えるのだが、今の彼はリラックスしていた。
ブオン!
ガキィ!
アンデッドオーガが振り降ろす石斧を剣で受け止めて楽々と振り払う。
身長差は3倍ほどもあるオーガの石斧を武技も使わず素振りのみで弾き飛ばした。
「ハイ終わり」
ドヒュ!ザン!
少し勢いを付けてオーガを縦に切り裂くと、オーガの残骸は燃えながら消し飛んでいった。
「なんだ、簡単じゃないか」
まるで散歩がてら小石を蹴飛ばすような気楽さでオーガを吹き飛ばし、彼の中で何かが変わった。
これまでも白の牙でアンデッドオーガとやり合った経験からして、自分が異常に強くなっていると実感する……以前ならタイマンでは相当に苦戦したはずである。
素振りで楽勝という体感はラセルから物怖じするという感覚を失わせるに十分であった。
……今の自分なら魔人すら余裕で倒せるのでは無いか?
そんな不遜とも言える自信がラセルを包み始める。
「おっと、魔石魔石」
モンスターの襲撃が一段落したのを確認して松明に火を移し、落ちている魔石を集めた。
「大量大量、ははは」
低階層で既にかなりの量の魔石を手に入れてラセルは嬉しくなり独りごちる。
「おっと……これは、オーガハートではないか」
それは強化アイテムとして使える魔石に似たレアドロップ品である。
主に武器や防具などに装着してショック耐性を高める事ができる宝石だ。
統計上は数百体に一つドロップするかどうかのレアアイテムだ。
鍛冶屋に持ち込み装備に付け加える事で、とても高値で売れる。
素材としても高価だ。
ふと気がつくと、いつも感じていた監視の目の感覚は消滅していた。
「ふ~ん、なるほどね」
それで一つ判ったことは、あくまでもこれは人為的な監視魔法の類いであるという事だ。
「魔族からの監視ならここで途切れることも無いだろうし……僕を見ているのはこの国の誰かさんてことだ」
監視の目が無くなると思うとさらに気分は晴れ晴れとしてくる。
陰惨な魔人城でここまでニコニコ出来るのはラセルだけであった。
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