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決定
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武器防具屋を出て隣の素材屋に戻ると店主は既に査定を終えていた。
「やあ、どうでしょうか?」
「査定は終わりましたよ、10万金になります」
「……そんなになるのですか?」
店主があっけらかんと言うのでラセルは現実感が乏しかった。
「当店始まって以来の大量買取りですよ」
店主がニコニコと答える。
先程支払った5万金でさえ途方もないと感じていたラセルは軽くショックを受けた。
10万と言えば王都中心部で中古の家が買える価格である。
「では、それでお願いします」
「金貨だと嵩張りますので、ギルドバンクに納品しましょうか?」
何せ10万枚の金貨である、普通は持ち運びなどしない。
「はい、そうしてください」
「では……これをギルドにお渡しくださいね」
店主は答えながら既に用意していた専用の納付書にサラサラとサインをしてラセルに手渡した。
隣のギルドに戻るとギルマスは他の冒険者の対応をしていたので、受付嬢のミリアへ先程もらった納付書を手渡した。
「やぁミリア、これを頼む」
「あら今日はラセル、これは……バンクへ預け入れですね承りま……え!」
ミリアはその記入された数字を見て驚いていた。
「全部お願いしますね」
「はい、畏まりました……」
ミリアはテーブルの下部の保管箱から管理台帳を取り出し、ラセルの空欄に最初の数字を書き込み納付書を白魔法で貼り付けた。
隣を見るとギルマスがまだ冒険者の対応をしていたが、ラセルに気がつくとミリアに対応を引き継いでラセルを手招きした。
「こっちだ」
「初めてだ」
ギルマスの手招きでカウンターの脇のスイングドアから内部に入り、そのまま裏の事務所に進む。
事務所は簡易な応接セットと大きな棚が置かれ、棚には大量の資料が雑然と並んでいる。
「座ってくれ」
「へぇ、こんな風になっていたのだね……」
ラセルが関心しながら見回すのをよそに、ギルマスのテッドは棚の引き出しから酒瓶とグラスを二つ持ってソファー前のテーブルに置いた。
「まぁ飲め」
「ははは……」
昼前だと言うのにいきなり酒を出され、ラセルは少し驚く。
「でだ、何があったんだ?」
テッドはラセルに優しく訊きながらグラスに注いだ酒を一気飲みした。
「結論から言うと僕は魔人を倒してはいません」
「……ふぅ、なるほどそう来たか」
その答えはテッドの想定外であったようで、彼は酒臭い息で呟いた。
「魔人ってのは凶悪だと聞いてましたが、僕が出会った彼……テスタと名乗ってましたがとても大人しい人物でした」
「ふーん、テスタって名乗ったのか、それで?」
「勝負を挑んだら、自分で角をもぎ取って僕にくれました……それを持って帰れと」
「ははは……全くとんでもない話だな」
「魔人が討伐対象になったのはどうしてなのですか?」
「そりゃな……討伐対象だからだよ」
ラセルが疑問に思っていたことを訊くとテッドは答えになってない返事をする。
「なぜ討伐対象になったのですか?」
「それは俺も知らん、前任のギルマスから引き継いだ時には既にそうなっていたとしか言いようがないな」
「つまり、討伐理由は誰も知らないと?」
「そういうことになるな」
「……ふぅ」
そういうとラセルもグラスの酒を一気飲みする。
それで殆ど酔わないのは解っていたが、どうしても飲みたかった。
「今後魔人討伐クエストはどうなりますか?」
「クエスト自体はお前がクリアしたからもう出ないぞ……あえて出さない限りは」
「ならこれで終わりにしてくれますか?」
「それは、またどうした?」
魔人の肩を持つかのような発言にテッドは少々驚いていた。
「彼と話をしたのですが、あの古城の地下で静かに暮らしたいと言ってました」
「なるほどな……異常な話ではあるが、あの角が証拠としてある限り信じる他ないか」
「変かも知れないけど、角をもらうことでその取引が成立したのだと感じてます」
「……そう言うことになるな」
「どうでしょう?」
「ま、お前が決めれば良いよラセル」
「え!?」
「男の約束をしたなら、破れないのだろう?」
「それはそうですね」
「なら決まりだ、それとこれをお前にやる」
テッドはそう言うとポケットから見慣れない冒険者タグを取り出してテーブルに置いた。
「それはSランクのタグだ、王国はじまって以来3人目だ」
「え!良いのですか?Aランクもまだなのに」
「ギルド規程により、最難度クエストをクリアしたのでSランクに認定されるというだけだ」
「ありがとうございます」
ラセルは名前が刻まれた金色のプレートタグを手に取り眺めた。
ひっくり返すと裏側にはSと大きな文字で刻まれている。
「おめでとう、ラセル」
テッドは嬉しそうに言いながら乾杯をした。
「やあ、どうでしょうか?」
「査定は終わりましたよ、10万金になります」
「……そんなになるのですか?」
店主があっけらかんと言うのでラセルは現実感が乏しかった。
「当店始まって以来の大量買取りですよ」
店主がニコニコと答える。
先程支払った5万金でさえ途方もないと感じていたラセルは軽くショックを受けた。
10万と言えば王都中心部で中古の家が買える価格である。
「では、それでお願いします」
「金貨だと嵩張りますので、ギルドバンクに納品しましょうか?」
何せ10万枚の金貨である、普通は持ち運びなどしない。
「はい、そうしてください」
「では……これをギルドにお渡しくださいね」
店主は答えながら既に用意していた専用の納付書にサラサラとサインをしてラセルに手渡した。
隣のギルドに戻るとギルマスは他の冒険者の対応をしていたので、受付嬢のミリアへ先程もらった納付書を手渡した。
「やぁミリア、これを頼む」
「あら今日はラセル、これは……バンクへ預け入れですね承りま……え!」
ミリアはその記入された数字を見て驚いていた。
「全部お願いしますね」
「はい、畏まりました……」
ミリアはテーブルの下部の保管箱から管理台帳を取り出し、ラセルの空欄に最初の数字を書き込み納付書を白魔法で貼り付けた。
隣を見るとギルマスがまだ冒険者の対応をしていたが、ラセルに気がつくとミリアに対応を引き継いでラセルを手招きした。
「こっちだ」
「初めてだ」
ギルマスの手招きでカウンターの脇のスイングドアから内部に入り、そのまま裏の事務所に進む。
事務所は簡易な応接セットと大きな棚が置かれ、棚には大量の資料が雑然と並んでいる。
「座ってくれ」
「へぇ、こんな風になっていたのだね……」
ラセルが関心しながら見回すのをよそに、ギルマスのテッドは棚の引き出しから酒瓶とグラスを二つ持ってソファー前のテーブルに置いた。
「まぁ飲め」
「ははは……」
昼前だと言うのにいきなり酒を出され、ラセルは少し驚く。
「でだ、何があったんだ?」
テッドはラセルに優しく訊きながらグラスに注いだ酒を一気飲みした。
「結論から言うと僕は魔人を倒してはいません」
「……ふぅ、なるほどそう来たか」
その答えはテッドの想定外であったようで、彼は酒臭い息で呟いた。
「魔人ってのは凶悪だと聞いてましたが、僕が出会った彼……テスタと名乗ってましたがとても大人しい人物でした」
「ふーん、テスタって名乗ったのか、それで?」
「勝負を挑んだら、自分で角をもぎ取って僕にくれました……それを持って帰れと」
「ははは……全くとんでもない話だな」
「魔人が討伐対象になったのはどうしてなのですか?」
「そりゃな……討伐対象だからだよ」
ラセルが疑問に思っていたことを訊くとテッドは答えになってない返事をする。
「なぜ討伐対象になったのですか?」
「それは俺も知らん、前任のギルマスから引き継いだ時には既にそうなっていたとしか言いようがないな」
「つまり、討伐理由は誰も知らないと?」
「そういうことになるな」
「……ふぅ」
そういうとラセルもグラスの酒を一気飲みする。
それで殆ど酔わないのは解っていたが、どうしても飲みたかった。
「今後魔人討伐クエストはどうなりますか?」
「クエスト自体はお前がクリアしたからもう出ないぞ……あえて出さない限りは」
「ならこれで終わりにしてくれますか?」
「それは、またどうした?」
魔人の肩を持つかのような発言にテッドは少々驚いていた。
「彼と話をしたのですが、あの古城の地下で静かに暮らしたいと言ってました」
「なるほどな……異常な話ではあるが、あの角が証拠としてある限り信じる他ないか」
「変かも知れないけど、角をもらうことでその取引が成立したのだと感じてます」
「……そう言うことになるな」
「どうでしょう?」
「ま、お前が決めれば良いよラセル」
「え!?」
「男の約束をしたなら、破れないのだろう?」
「それはそうですね」
「なら決まりだ、それとこれをお前にやる」
テッドはそう言うとポケットから見慣れない冒険者タグを取り出してテーブルに置いた。
「それはSランクのタグだ、王国はじまって以来3人目だ」
「え!良いのですか?Aランクもまだなのに」
「ギルド規程により、最難度クエストをクリアしたのでSランクに認定されるというだけだ」
「ありがとうございます」
ラセルは名前が刻まれた金色のプレートタグを手に取り眺めた。
ひっくり返すと裏側にはSと大きな文字で刻まれている。
「おめでとう、ラセル」
テッドは嬉しそうに言いながら乾杯をした。
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