幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎

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沼の戦い

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「それは本当ですか?」

 そんなウソをつく理由はないとは思うが信じられなかったのだ。折角巨大な柵を作って完全に封鎖したのに‥‥。

 住人の一人がその街道に消えていく子供と、手を引いている真っ黒のローブ姿の怪しい男の後ろ姿をみたというのだ。

「お願いします、うちの子を助けてください」
「分かりました、皆で探しましょう」

 僕は少々心細かったが大勢で気をつけていけば沼に嵌る事もないだろうと考え、一応は3人1グループでまとまって探すように注意をあたえ捜索を開始した。

 昼間に作った柵を見ると一部壊されていて人が一人何とか通れる大きさに穴があけられていた。イノシシなどの野生動物が開けた可能性もあるが、やはり誘拐犯か‥‥でもなぜわざわざあんな薄気味悪いところに行くのだろう?

 不思議に思いながらも皆で柵のなかに入り松明をともして子供の名前を呼んだ。

「おーい、イシター!おーい!」

 静まり帰って不気味な旧街道も大勢で大きな声をあげると恐怖は感じない。これなら大丈夫だと確信して少しずつ進みながら毒の沼までやってきた。

 何もない‥‥誰も居ない。困惑していると、突然沼の中央に人影のようなものが薄暗い月明かりの中、浮いて見える。

「は!?な‥‥に?」

 僕が驚いているとそいつは何かぶつぶつと話し始めた。

「うるさいうるさいうるさいうるさい‥‥」

 煩いと言っているように聞こえる。

「黙れ黙れ黙れ‥‥サイレンス」

 その瞬間大勢の声が聞こえなくなり、沈黙の魔法を掛けられたのだと気が付く。そいつは明らかに死霊系のモンスターだった。

「モンスターだ!みんな逃げろ!!」

 異変に気が付いた捜索隊は一斉に逃げ出す。

「来い!悪魔!」

 僕は魔法剣を抜いて前に掲げる。今は魔法剣が両手の前で美しく七色に光るのが心強かった。

「お前!よくも我が夫をやってくれたな」
「‥‥」

 何か知らないが僕が殺人鬼だというのだろうか?いや、あの秘魔の洞窟のエルダーリッチの事を言っているのだと直感した。

「あの骸骨の事か?」
「お前、なぜ話せる」
「え?‥‥あ」

 自分でも分からないが僕自身にサイレンスの魔法は掛かっていないようだ。

「そ、そんなことはどうでもいい!こどもを誘拐したのはお前だな!」
「子供‥‥これのことか?」

 そういうとそいつは瞬時に子供の骸骨を手にぶら下げていた。

「イシター!」
「あっはっはっはっは、これがイシターにみえるのか」
「なに?」

 考えてみたら僕はイシターを見たことがない。

「う‥‥ん、解らん」
「分からないのに来たというのか、愚か者め」
「まぁ、それはその通りだな」

 次の瞬間その手から子供の骸骨は消えた。

「は?何を‥‥」
「知りたいか?知りたければこっちに来て確かめよ」
「ん‥‥」

 思わず一歩踏み込もうとして沼に片足をつっこんでしまう。

「あ、しまった」

 と言ったと同時に沼から骸骨の手が生えてきて僕の足首をガッチりと掴む。

「うわぁ!」

 バシュ!

 一瞬焦ったが、すぐに冷静さを取り戻しその骸骨の手を魔法剣で斬り払う。

「おい!ずるいぞ!そこから出てこっちに来い!」
「あはははははは」
「‥‥何がおかしい?」
「周りをよくみよ」

 ふと後ろを振り返ると沢山の骸骨に囲まれていた。

「おお!武技、閃迅!」

 ガシャァアアアアン!

 思わず武技を発動して骸骨の群れのなかに飛び込んでしまう。骸骨の群れは一撃で粉砕して消滅していく。

 「武技、乱舞」

 バシュ!ババババババシュ!

 少し落ち着きを取り戻して、改めて適切な武技を発動し残りの骸骨の軍団を斬り刻んだ。

「よくも‥‥よくも‥‥」
「良いからこっちにきて勝負しろ」
「レベル3マディ!」

 その瞬間、僕の周囲の地面が泥濘になり、どんどん足が沈んでいく。

「おい!汚いぞ!」

 僕自身には魔法が効かなくても地面を変化させることはできるのだ。

「あっはっはっはっはっは」

 その骸骨の女が高笑いしているのがムカついたが、それどころではない。もう胸まで埋まってしまっている。

「クソ、こんなバカな!」
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