幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎

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暗黒世界の住人

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 彼女の娘が落ち着いてから話し始める。

「あの、おいくらお渡しすれば‥‥?」
「代金は結構です、それは差し上げましょう」
「ええ!まぁなんてことなのでしょう!」
「その変わり、教えてほしいことがあるのですが」
「‥‥はい?」

 途端に彼女は眉を寄せて警戒しはじめた、とんでもない話を訊かれるのかと勘違いしているようだ。

「変な事を訊くとおもうけど、その魔光石は希少なものなのだろう?」
「ええ、それはもう‥‥」
「鉱山で採れるのではないのか?」
「‥‥魔光石はもう数年枯渇してます」
「‥‥」
「それで、どこの都市も魔光石が不足して減光症に悩んでいます」

 ふ~ん、と考えていたら思いついた。もしや、この世界からゲートを作って侵略しにきたのはそれが目的なのではないのか?と。いや、それが目的の一つと考える程度に留めておくべきか‥‥?

「あの?なにか?」

 僕が茫然と考え事をしているのが気になったようで彼女が訊いてくる。

「いや、当たり前の事を訊いてしまってすまない」
「いえ、こんな事でよければいくらでもお話できます」

「お兄さん、ちょっと話に割り込んで良いかな?」
「はい」

 僕と彼女のやり取りを見ていたひとりのオッサンが話しかけてきた。

「お兄さん、もしかして魔光石が沢山とれる場所を知っているのではないかと思いまして」
「ええ、知っては居ますが」
「おお!」
「それは本当か!」
「まさか、冗談でしょう‥‥」

 僕が知っていると答えると車内でやりとりを聞いていた面々が一斉に驚く。

「もし、もしそれが本当であるならばですが、その石一つを私にくれるのなら商人に引き合わせましょうか?」
「それは良いお話のようですね」

 願ってもないチャンスだった。これで一気に大儲けできる‥‥などと考えたが元の世界に帰る方法がない事に気が付いた。いや、確か僕が市長代理をしていた町、サガンドの周辺にあれだけモンスターが出たのだからそばに穴が開いているはず‥‥動かされていなければだけど。

「それならば任せてくださいよ!」
「そりゃどうも」

 握手をして取引成立というわけだ。

「石を渡すのは紹介してもらった後でという事で」
「ええ!もちろんそれで結構です」

 そのデクンと名乗るその男と次の町で駅蜥蜴車を降りて連れていかれたのが、ごみごみとした変な所だった。なんとも暗く、雰囲気が怪しくて如何にも闇商人が取引に使いそうな酒場の一角で待たされた。

「お待たせしました、こちらへどうぞ」

 デクンが酒場の通用口から奥にきえて戻ってくると僕を通用口に案内する。暗く、狭い石造りの通路を延々と歩いて小部屋に通されると如何にも賊っぽい面々が5人待ち伏せしていた。

「おいデクン!本当にこんな餓鬼が魔光石を持っているんだな?」
「へぇお頭」
「‥‥」
「あんちゃんビビっちまったようだな、カッカッカ、聞いたろ?早くお前が持ってる石を出しな」
「はぁ‥‥隠密」
「‥‥ええ!」
「なんだこいつ」

 バキ!ドボ!ボキ!ガン!ズズン!ドサッ‥‥

 あっさりと全員をぶちのめして部屋を出る。うまい話しには罠があるというか、今回は逆に僕が迂闊だったのだなぁと反省した。この世界では魔光石が非常に貴重なものである事は察しがついて居たのに、身分もしらない相手をやすやすと信用してついていくなんて、間抜けにもほどがあった。

 それで思い出したのだ、ここは暗黒層。人族よりも悪い奴が多い世界なのだと。


 その町、ドサールでは大通りで喧嘩ばかりを見かけた。統治機構なんて存在せず、強い者が幅を利かせる。ここでは誰も信用ならないし、してはならない。実力だけが物を言う殺伐とした世界なのだ。
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