幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎

文字の大きさ
49 / 62

救出へ

しおりを挟む
 
「なるほど、それから?」

「襲われていたエルフ族の村でダークエルフを倒して、彼らからゲートの秘密を聞いてそれで‥‥」
「それ!そのゲートの話を詳しく訊こうと思っていたのだよね」

 アモンが身を乗り出す。サガンドで合流したときにざっと聞いただけで、詳しい話はなかったのだ。

「今回のモンスター襲撃の件は、全部彼らがゲートを操作してモンスターを送り込んでいたらしいのよ」

 アリーは当時その場で聞いた話を説明した。

「邪神、ダークレイヤーか‥‥それは明日にでもギルドに報告しなければならないな」
「そのゲートはこの世界のあちこちにあるらしいけど‥‥でもあたしはそんな事どうでもいいの」
「うん‥‥」

 アモンはゴクリを唾をのみ込んで続きを待った。

「その後、ゲートを中和させてそれが消える途中で、僕にはやり残した事がある~って言って、テイちゃんがそこに飛び込んじゃったの」
「‥‥なん‥‥」
「‥‥」

 これには2人とも絶句だった。

「イジンさんが戻ってこないから何かあったとは思ったけれど」
「でも、すぐにゲートが閉じちゃたからもうどうしようもなくて、グス‥‥」

 アリーがたまらずに泣き出す。

「テイちゃん、いきなりあたしの事を嫌いだとか、みんなの事も嫌いだとか言い始めて変だと思ったの‥‥」
「‥‥なるほど、不器用なあいつらしいな」
「ま~た、アリーに心配かけてバカよね、とっちめに行かなくちゃ!でしょ?」
「だな」
「ありがとう‥‥2人とも」


 翌日にギルドで詳細を報告すると、ゲート調査の名目で出現場所のあたりをつけて3人で旅立つ事になった。デリーとマッシュは今回は行けないという。いくらアリーの頼み事でも地獄に飛び込むのは無理なのだと。それがごく普通の感覚なのだ。



「出現場所は、秘魔の洞窟のそばだと思う」

 とアリーは言う。

 果たしてアリーの勘はあたり、洞窟にほど近い森の中にダークエルフのキャンプがあり彼らを締め上げるとゲートの場所を聞き出せた。

「ダークエルフなんて見たのは始めてだったが、大したことはなかったな」

 アモンは笑って言う。そしてゲートの場所まで行くと一度止まる。

「これか‥‥よし!行くぞ」

 真っ黒く渦巻く円形のゲートを前にしてアモンが覚悟決めて言い、馬車ごとゲートに進んでいった。

 一瞬でゲートを抜けて3人が目にしたのは薄暗い世界に、荒涼とした大地。遠くの方には野良の巨大モンスターが徘徊する、正に地獄のような光景だった。

「ふぅ‥‥想像以上にヤバい感じがする」
「アリー怖いよぉ」
「だ、大丈夫よ!テイちゃんが居るんだから!」
「おいおい、あいつを救出に来たのに頼ってどうするんだよ」
「そ、そうよね」

 そうは言っても目の前に見える光景は酷く心細くなるのに当然だった。

「あ‥‥あそこにデカいガルーダが、こっちに気が付いたっぽいよ!」
「ヤバいな、逃げるぞ!」

 アモンは到着早々馬車を疾走させて荒涼とした大地を逃げ出した。

 ドドドドドドドドドドドド‥‥

「やっぱヤバいよ~~」

 マサが泣きそうになっている。

「これが冒険のだいご味だろうが、あっはっは」

 アモンは強がって笑っていたが、顔は笑っていなかった。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

幼子家精霊ノアの献身〜転生者と過ごした記憶を頼りに、家スキルで快適生活を送りたい〜

犬社護
ファンタジー
むか〜しむかし、とある山頂付近に、冤罪により断罪で断種された元王子様と、同じく断罪で国外追放された元公爵令嬢が住んでいました。2人は異世界[日本]の記憶を持っていながらも、味方からの裏切りに遭ったことで人間不信となってしまい、およそ50年間自給自足生活を続けてきましたが、ある日元王子様は寿命を迎えることとなりました。彼を深く愛していた元公爵令嬢は《自分も彼と共に天へ》と真摯に祈ったことで、神様はその願いを叶えるため、2人の住んでいた家に命を吹き込み、家精霊ノアとして誕生させました。ノアは、2人の願いを叶え丁重に葬りましたが、同時に孤独となってしまいます。家精霊の性質上、1人で生き抜くことは厳しい。そこで、ノアは下山することを決意します。 これは転生者たちと過ごした記憶と知識を糧に、家スキルを巧みに操りながら人々に善行を施し、仲間たちと共に世界に大きな変革をもたす精霊の物語。

ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はファム 前世は日本人、とても幸せな最期を迎えてこの世界に転生した 記憶を持っていた私はいいように使われて5歳を迎えた 村の代表だった私を拾ったおじさんはダンジョンが枯渇していることに気が付く ダンジョンには栄養、マナが必要。人もそのマナを持っていた そう、おじさんは私を栄養としてダンジョンに捨てた 私は捨てられたので村をすてる

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

処理中です...