幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎

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超Sクラス

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 全員で魔王都に向かう蜥蜴車の中で魔人についての話をしていた。

「その襲って来た魔人というのはどういう奴だったんだ?」
「無機質で感情を感じない、何か魔族とも違った感じだったな」

 僕から受け取ったマスクを付けたアモンが御者をしながら答えてくれた。

「そうね、あれは魔法使いのあたしからしても違和感しかなかったわ」
「うん‥‥」

 マサとアリーも同意する。

「実は、僕がここに来る前に帝都に行ったのだけど‥‥」

 僕は帝都で見聞きした魔人の話をした。

「あいつが帝都のギルドを襲撃したのか!中央ギルドは大丈夫だったか?」
「あ、ああ‥‥」

 壊滅したなんて答えられる訳もなく、僕は嘘をついてしまった。ただでさえ魔人におかしくされたアリーに、デリーとマッシュが死んだなんて言えない。

「あいつの魔力は異常よ」

 マサが憎々しく言う。腹に据えかねているようだ。

「どんな風なんだ?」
「一言でいえば怪物そのものだわ、Sランク冒険者ですら真正面からでは無理だと思う」
「そんななのか」
「そう、火力もスゴイけど圧倒的な精霊場制御力
エレメンタルフォース
でこちらの魔力を抑えられてしまうの」

 マサは悔しそうに言った。そんな圧倒的な相手に魔法経験ほぼゼロの僕が太刀打ちできるだろうか‥‥。

「マサ、僕に魔法を教えてくれないか?」
「へ?テイジンじゃ無理でしょ、だって一度も魔法なんて‥‥」
「やらなきゃならないんだ」
「そう、なら教えるわ」

 僕が決意を見せて言うとマサはあっさり了承した。無理だと判っていても何もせずにはいられない、そんな僕の気持ちが伝わったのだろう。

「まずこれが基本の形よ、ファイアーボール」

 そういうとマサは無詠唱で掌の上に火の玉を現した。

「ファイアーボール!」

 僕が真似るが当然なにも起こらない。

「やはり初めから無詠唱では無理ね‥‥でも詠唱している余裕なんて魔人はくれないと思う」
「ではどうしたら」
「仕方ないわ、これをテイジンに上げる」
「え」

 驚いている僕の目の前に掌の上のファイアーボールを寄せる。

「これを両手で持つようにして集中して感じて」
「こうかな」

 マサに言われたママに、そのファイアーボールを両手で包むようにして精神を集中させる。

「精霊感応エレメンタルフィール!」
「うわ!」

 その瞬間そのファイアーボールが僕の手の中に吸い込まれた、と同時にマサの気持ちが伝わってきた。

「‥‥どう?」
「何か来た」

 マサは恥ずかしそうにして訊いてくる。僕はマサから火の精霊の勘能力と共にマサの個人的な記憶を貰ったような気がしていた。

「ありがとう、多分判った‥‥ファイアーボール」

 ヴオン!

 僕が試しにそれを使うと巨大な火の玉が現れる。

「おお」

 僕は慌ててそれを手から吸収した。

「やっぱりもう、あたしの知っているテイジンじゃないのね」

 マサはその巨大なファイアーボールに一瞬驚いてから納得したように言った。

 そう、僕はイジン。限界突破の天才なのだ。

 それから数時間後にはさまざまな精霊魔法を使いこなせるようになっていた。
 それはSクラスさえ超えた伝説の魔法使いのレベルにあった。
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