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第十四話 責任の公示
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第十四話 責任の公示
三日を待たずして、王城から正式書簡が届いた。
封蝋は王家の紋章。
重い赤。
私は執務室でそれを受け取る。
「公示文も同時に出されました」
執事が告げる。
王家の責任として。
廃嫡に続く、土地割譲。
逃げなかった。
そこは評価する。
私は封を切る。
二州半。
西部三州のうち二州半を公爵領へ編入。
王家の名において責任清算と明記。
私は読み終え、静かに頷いた。
「賢明でございます」
騎士団長が問う。
「勝利ですか」
「違います」
私は書状を机に置く。
「王家が秩序を守っただけ」
一拍。
「勝敗の話ではございません」
だが。
事実として。
王家は土地を削った。
公爵家は広がった。
私は立ち上がる。
「声明を出します」
財務官が筆を取る。
「王家の決断を尊重し、秩序回復を歓迎する、と」
「対立ではない姿勢を示す」
騎士団長が低く言う。
「攻め続けるのでは?」
「ここで追撃すれば、反発が生まれます」
私は淡々と続ける。
「信用は積み上げるもの」
「奪いすぎれば崩れます」
一拍。
「受け入れ準備を」
西部二州半。
地図が広げられる。
広い。
だが焦らない。
「徴税は一年凍結」
財務官が驚く。
「三年では?」
「様子を見る」
「住民の動向を把握してから決めます」
私は地図に印をつける。
「王家直轄だった地域は、王家への忠誠が強い」
「急激な制度変更は反発を招く」
騎士団長が頷く。
「軍は」
「再編するが、制服は変えない」
「色を変えるな」
騎士団長が目を細める。
「心理戦ですな」
「不安を減らすだけです」
一拍。
「私は敵ではない」
「秩序の延長です」
窓の外、王都が見える。
王城の塔。
そこから土地が削られた。
だが王家はまだ倒れていない。
倒すつもりもない。
私は机に向かう。
新たな書類を取り出す。
公爵領拡張後の制度案。
教育、商業、司法。
財務官が小さく呟く。
「建国のようでございます」
私は視線を上げる。
「まだ王国内です」
一拍。
「ですが」
筆を走らせる。
「機能を整えれば、いつでも選べます」
独立は宣言ではない。
選択肢だ。
王家は責任を払った。
私は責任を受け取った。
そして。
根を張る。
静かに。
確実に。
王家が気づいたときには。
もう、公爵領は単なる領地ではない。
制度になる。
それが、本物の華だ。
三日を待たずして、王城から正式書簡が届いた。
封蝋は王家の紋章。
重い赤。
私は執務室でそれを受け取る。
「公示文も同時に出されました」
執事が告げる。
王家の責任として。
廃嫡に続く、土地割譲。
逃げなかった。
そこは評価する。
私は封を切る。
二州半。
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王家の名において責任清算と明記。
私は読み終え、静かに頷いた。
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「勝利ですか」
「違います」
私は書状を机に置く。
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一拍。
「勝敗の話ではございません」
だが。
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私は立ち上がる。
「声明を出します」
財務官が筆を取る。
「王家の決断を尊重し、秩序回復を歓迎する、と」
「対立ではない姿勢を示す」
騎士団長が低く言う。
「攻め続けるのでは?」
「ここで追撃すれば、反発が生まれます」
私は淡々と続ける。
「信用は積み上げるもの」
「奪いすぎれば崩れます」
一拍。
「受け入れ準備を」
西部二州半。
地図が広げられる。
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だが焦らない。
「徴税は一年凍結」
財務官が驚く。
「三年では?」
「様子を見る」
「住民の動向を把握してから決めます」
私は地図に印をつける。
「王家直轄だった地域は、王家への忠誠が強い」
「急激な制度変更は反発を招く」
騎士団長が頷く。
「軍は」
「再編するが、制服は変えない」
「色を変えるな」
騎士団長が目を細める。
「心理戦ですな」
「不安を減らすだけです」
一拍。
「私は敵ではない」
「秩序の延長です」
窓の外、王都が見える。
王城の塔。
そこから土地が削られた。
だが王家はまだ倒れていない。
倒すつもりもない。
私は机に向かう。
新たな書類を取り出す。
公爵領拡張後の制度案。
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財務官が小さく呟く。
「建国のようでございます」
私は視線を上げる。
「まだ王国内です」
一拍。
「ですが」
筆を走らせる。
「機能を整えれば、いつでも選べます」
独立は宣言ではない。
選択肢だ。
王家は責任を払った。
私は責任を受け取った。
そして。
根を張る。
静かに。
確実に。
王家が気づいたときには。
もう、公爵領は単なる領地ではない。
制度になる。
それが、本物の華だ。
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