「婚約破棄された聖女ですが、実は最強の『呪い解き』能力者でした〜追放された先で王太子が土下座してきました〜

鷹 綾

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第8話 本領発揮 〜領地全体の浄化と、噂の拡大〜

 第8話 本領発揮 ~領地全体の浄化と、噂の拡大~

ルミナス領の空は、久しぶりに青く澄んでいた。  
アリシアは、村の中心広場に立ち、領民たちを見渡した。  
数日前の泉の浄化で、村全体の呪いが薄れ始めていた。  
作物が芽を出し、子供たちの笑顔が増え、村人たちは希望を取り戻しつつあった。  
しかし、アリシアは知っていた。  
まだ、根源の呪いが残っている。  
それは、領地の地下深くに眠る「大呪いの核」――10年前に魔王が残した、最強の呪い。

「今日で、終わらせるわ」

アリシアは、静かに宣言した。  
村人たちが息を呑む。  
ガレン・ブライトが、甲冑を着て隣に立った。

「アリシア様、私も同行します。  
危険です」

シルヴァン・レイヴンが、馬から降りて近づいてきた。  
彼の銀色の瞳が、アリシアを真っ直ぐに見つめる。

「俺も行く。  
お前一人で、危険すぎる」

アリシアは、二人の視線を受け止め、優しく微笑んだ。

「ありがとう。でも、これは私が解かなければならない呪いよ。  
みんなは、外で待っていて」

村人たちは、不安げに頷いた。  
アリシアは、広場の地下へ続く古い階段を降りた。  
そこは、かつての領主の地下墓所。  
暗闇の中、紫色の光が脈打っている。  
中心に、黒い水晶のような核が浮かんでいた。

アリシアは、ゆっくりと近づいた。  
核が震え、黒い霧が彼女を包もうとする。  
アリシアは、目を閉じ、深く息を吸った。

「解け……すべてを」

銀色の光が、アリシアの体から爆発的に広がった。  
光は霧を吸い込み、水晶を包む。  
核が激しく抵抗し、黒い触手のようなものがアリシアに襲いかかる。  
アリシアは、痛みに顔を歪めながらも、光を強めた。

「この土地の、苦しみを……すべて受け止めるわ!」

光が頂点に達し、核が砕け散った。  
地下墓所全体が、銀色の光に包まれる。  
アリシアは、膝をつき、息を切らした。  
しかし、彼女の瞳は輝いていた。

地上に戻ると、村人たちが歓声を上げた。  
空が一気に晴れ渡り、枯れた木々が一斉に緑を取り戻した。  
作物が芽吹き、湖の水が澄み渡る。  
10年ぶりの、完全な復興。

村人たちが、アリシアに駆け寄った。  
子供が抱きつき、老婆が涙を流し、農夫が土を掴んで喜ぶ。

「アリシア様……ありがとうございます!」

「本物の聖女様です!」

アリシアは、優しく皆を撫でた。

「みんなの力よ。  
一緒に、生きてきたから」

ガレンが、そっと支えた。  
シルヴァンは、静かにアリシアを見つめ、微笑んだ。

「よくやったな、アリシア。  
お前の力は、最強だ」

その日、噂は近隣領地を超え、王都にまで届いた。  
商人たちが、馬車で駆け巡り、叫ぶ。

「ルミナス領が、蘇った!  
追放された公爵令嬢が、呪いをすべて解いた!」

王都の酒場では、噂が広がる。

「フィオナの癒しは、もう効かないらしいぜ」

「王太子が、勘違いしたんじゃないか?」

貴族たちの間でも、ささやきが交わされた。

「アリシア・ルナミア……彼女こそ、真の聖女だったのか」

王宮の謁見の間。  
ヴァレンティン王太子は、玉座に座り、青ざめていた。  
使者が、息を切らして報告した。

「ルミナス領が、完全に浄化されました。  
アリシア様の力で、土地が豊かになり、領民たちが……」

ヴァレンティンは、拳を握りしめた。

「嘘だ……そんなはずはない」

フィオナが、震える声で言った。

「ヴァレンティン様……彼女の呪いが、解けたのですわ。  
今なら、私の癒しも……」

しかし、窓の外から、魔物の咆哮が聞こえた。  
フィオナの顔が、ますます青ざめる。

ヴァレンティンの心に、初めての恐怖が芽生えた。  
プライドが、砕け散り始めていた。

ルミナス領の夜。  
アリシアは、丘の上に立ち、星空を見上げた。  
シルヴァンが、そっと隣に立った。

「これで、領地は救われたな」

アリシアは、頷いた。

「ええ。  
でも、まだ終わっていないわ。  
王都の呪いが、残っている」

シルヴァンの瞳が、鋭くなった。

「なら、俺が連れて行く。  
お前の力が必要だ」

アリシアは、静かに微笑んだ。

「ありがとう。でも、私はここにいたい。  
みんなと一緒に」

シルヴァンは、彼女の手を握った。

「わかった。  
だが、俺はお前を離さない」

その言葉に、アリシアの頰が、わずかに赤らんだ。

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