「婚約破棄された聖女ですが、実は最強の『呪い解き』能力者でした〜追放された先で王太子が土下座してきました〜

鷹 綾

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第17話 援軍の到着 〜シルヴァンの軍勢と、王都への光〜

 第17話 援軍の到着 ~シルヴァンの軍勢と、王都への光~

ルミナス領の空は、穏やかな青に輝いていた。  
アリシア・ルナミアは、丘の上に立ち、遠くの地平線を見つめていた。  
王都からの悲鳴が、風に乗ってかすかに届く。  
彼女の心は、静かに疼いていた。  
助けたい気持ちは変わらない。  
でも、もう王都へは行かない。  
ここが、彼女の居場所だった。

シルヴァン・レイヴンが、アリシアの隣に立った。  
彼の銀色の瞳が、決意に満ちていた。

「アリシア……王都は、もう持たない。  
俺が、軍を動かす」

アリシアは、驚いてシルヴァンを見た。

「シルヴァン様……隣国レイヴン帝国の軍を?」

シルヴァンは、頷いた。

「俺の騎士団は、すでに国境に集結している。  
王都を救うためなら、動かす。  
だが、条件は変わらない。  
王太子は、土下座して謝罪する。それだけだ」

アリシアは、静かに息を吐いた。

「ありがとう……シルヴァン様。  
でも、私はここから、呪いを解くわ。  
みんなの命を、守りたい」

シルヴァンは、アリシアの手を握った。

「わかっている。  
お前は、俺の聖女だ。  
俺がお前の盾になる」

その時、丘の下から、馬の蹄の音が響いた。  
ガレン・ブライトが、息を切らして駆け上がってきた。

「アリシア様! シルヴァン様の騎士団が、国境から進軍を開始しました!  
王都へ向かっています!」

村人たちが、丘の下でざわめいた。  
子供たちが、アリシアに駆け寄る。

「アリシアお姉ちゃん、王都を助けるの?」

アリシアは、優しく微笑んだ。

「ええ。  
みんなの笑顔を守るために」

シルヴァンは、馬に跨り、騎士団の指揮官に合図を送った。  
銀色の鷲の旗が、風に翻る。  
大軍が、王都へ向けて進軍を開始した。

王都オルティアでは、絶望が頂点に達していた。  
魔物が宮殿の門を破壊し、謁見の間にまで侵入していた。  
ヴァレンティン王太子は、瓦礫の中で膝をつき、剣を握っていた。  
だが、彼の剣は、魔物の鱗を傷つけることすらできなかった。

「終わりだ……」

フィオナは、呪いに蝕まれ、動けなくなっていた。  
彼女は、地面に倒れ、呟いた。

「ヴァレンティン様……ごめんなさい……」

その時、外から轟音が響いた。  
銀色の騎士団が、王都の門を突破した。  
レイヴン帝国の軍勢が、魔物を次々と斬り倒していく。  
シルヴァンの旗が、風に舞う。

ヴァレンティンは、信じられない目で見た。

「レイヴン帝国……?」

騎士団長が、ヴァレンティンの前に跪いた。

「王太子殿下! 隣国皇太子シルヴァン殿下の軍勢です!  
王都を救うために来ました!」

ヴァレンティンは、立ち上がろうとしたが、膝が震えた。

「シルヴァン……」

シルヴァンが、馬を駆って宮殿前に現れた。  
彼は、冷徹な瞳でヴァレンティンを見下ろした。

「王太子……アリシアの力で、王都の呪いは解かれつつある。  
だが、お前が土下座して謝罪しなければ、俺の軍は引き上げる」

ヴァレンティンは、ゆっくりと膝をついた。  
額を地面に押しつけ、震える声で言った。

「アリシア……俺は、間違っていた。  
お前を偽りの聖女と罵り、婚約破棄したのは、俺の誤りだった。  
謝罪する。  
すべてを認める。  
だから、王都を……助けてくれ」

シルヴァンは、冷たく笑った。

「条件を飲んだな。  
なら、約束通りだ」

遠くの丘の上から、アリシアは手を翳した。  
銀色の光が、王都全体を包み込む。  
呪いの霧が、次々と吸い込まれ、魔物の動きが止まる。  
市民たちが、窓から光を見上げ、歓声を上げた。

「奇跡だ……!」

魔物が、次々と倒れていく。  
王都の空が、青く澄み渡った。

ヴァレンティンは、土下座したまま、涙を流した。

「アリシア……ありがとう……」

フィオナは、呪いが解け、ゆっくりと体を起こした。  
だが、彼女の瞳には、絶望が残っていた。

「アリシア……あなたが……」

シルヴァンは、馬を返し、ルミナス領へ戻る。  
彼の心は、アリシアへの想いで満ちていた。

「アリシア……俺がお前を守る」

アリシアは、丘の上から、光を収め、静かに微笑んだ。

「これで、少しは救えたわ」

村人たちが、歓声を上げた。  
子供たちが、アリシアを抱きしめる。

王都は、救われた。  
だが、ヴァレンティンの心は、永遠に傷ついたままだった。
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