婚約破棄された悪役令嬢、パンがなかったので貴族から菓子を奪って民衆に食べさせますわ! 馬鹿な貴族どもは、クラッカーでもかじってなさい 1/4

鷹 綾

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第28話:王子の本心

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第28話:王子の本心

王都の春は、満開の白いバラに彩られていた。  
フォーマルハウト公爵邸の庭園では、  
穏やかな陽光が木漏れ日となり、  
アルキオーネとレオニスが、  
ティーセットを囲んで座っていた。  
紅茶の香りが優しく漂い、  
二人の間に、静かな時間が流れていた。

アルキオーネは、指輪をはめた指を眺め、  
ほのかに微笑んだ。

「王子。  
今日もお越しになりましたわね」

レオニスは、穏やかに頷いた。

「はい。  
あなたの紅茶が恋しくて」

アルキオーネは、カップを傾け、  
軽く笑った。

「紅茶のことでしょう?」

レオニスは、静かに言った。

「ええ、もちろん。紅茶ですとも」

二人は、紅茶を啜りながら、  
穏やかな会話を続けた。  
革命の激動が遠い記憶となり、  
王都は新しい時代を迎えていた。  
飢餓刑の檻は、  
今も静かに立っていたが、  
貴族たちは、クラッカーをかじり続け、  
民衆の希望は、広がり続けていた。

アルキオーネは、静かに言った。

「王子。  
飢餓刑は、まだ続いていますわ。  
貴族たちは、菓子が高級品だと思い込んでいた。  
けれど、今、彼らは本物の飢えを知りました」

レオニスは、頷いた。

「はい。  
改革派の貴族たちは、  
民衆の支持を失うことを恐れ、  
新秩序を受け入れ始めています」

アルキオーネは、紅茶を一口啜った。

「ふふ……馬鹿な貴族どもは、  
クラッカーでもかじってなさい。  
1/4しかあげませんけど、ダイエットにちょうどいいですわ」

レオニスは、静かに笑った。

「その言葉、好きです」

二人は、しばらく無言で紅茶を味わった。  
春の風が、カーテンを優しく揺らし、  
バラの香りが部屋に広がった。

レオニスは、静かに切り出した。

「アルキオーネ様。  
私は、もう一度、あなたに伝えたいことがあります」

アルキオーネは、カップを置いた。

「何ですの?」

レオニスは、真剣な瞳で言った。

「私は、あなたの隣に、男として立ちたい。  
革命の同志としてではなく、  
一人の男として、  
あなたの未来を共に歩みたいのです」

アルキオーネは、静かに彼を見つめた。

「……王子。  
あなたは、王族ですわ。  
私のような『悪役令嬢』と結ばれることは、  
王位継承権を失うかもしれません」

レオニスは、穏やかに微笑んだ。

「王位など、どうでもいい。  
私は、この国を変えたい。  
そして、あなたと一緒に、  
穏やかな日々を過ごしたい」

アルキオーネは、指輪を眺め、  
静かに言った。

「私も……  
恋など必要だと思ったことはありませんでした。  
民のため、飢えを断ち、  
悪役令嬢として生きる覚悟を決めていたのですから」

彼女は、ゆっくりと続けた。

「けれど、あなたの存在は、  
私の心に小さな揺らぎを生みました。  
飢えを知り、民を救うために戦った私に、  
穏やかな紅茶の時間と、  
笑い合う日々を提案するなんて……  
生意気ですわ」

レオニスは、静かに言った。

「生意気で、許していただけますか?」

アルキオーネは、ほのかに頰を染め、  
微笑んだ。

「ええ。  
許しますわ」

彼女は、指輪をはめた指を、レオニスに見せた。

「この指輪、正式に受け取りますわ。  
あなたの隣に、立ちます」

レオニスは、静かに微笑んだ。

「ありがとうございます、アルキオーネ様」

二人は、紅茶を啜りながら、  
穏やかな会話を続けた。  
春の風が、カーテンを優しく揺らし、  
バラの香りが部屋に広がった。

アルキオーネは、静かに呟いた。

「これからは、共に幸せを分かち合えることを願って」

レオニスは、頷いた。

「ええ。あなたとなら、きっと」

窓の外には、満開の白いバラが咲き誇っていた。

革命の果てに残ったのは、剣ではなく、  
紅茶と指輪、そして笑み。

それは、彼女が勝ち得た、真の平穏だった。

王宮では、セドリックが玉座に座り、  
顔を真っ青にしていた。

「軍が撤退しただと?  
民衆を盾にされただと?  
あの馬鹿な女が……!」

貴族たちは、震える声で言った。

「殿下……このままでは、  
民衆の支持が完全に、あの女に移ります」

セドリックは、拳を握った。

「反逆者だ。  
あの女とレオニスを、すぐに捕らえろ!」

しかし、アルキオーネの逆襲は、  
静かに、しかし確実に広がり続けていた。

配給所の朝は、  
希望の光で満ちていた。

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