婚約破棄されたので回復クッキーでスイーツ店始めました~義妹の阻害を解いて真の聖女覚醒、世界に甘い奇跡を~

鷹 綾

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第11話 教会の召喚状と、街全体の決意

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### 第11話 教会の召喚状と、街全体の決意

開店から三ヶ月が過ぎ、ルヴェリアの街は私の店を中心にますます活気づいていた。

マジックポッキーは冒険者ギルドの公式推奨アイテムとなり、隣町からも買い付けの商人が来るようになった。

店は手狭になり、隣の空き店舗を借りて工房を拡張した。

従業員として、街の少女二人を雇い、簡単な作業を手伝ってもらっている。

ライアンたちは、ほぼ毎日顔を出し、材料集めや店の警護までしてくれる。

エレナが「私たち、もうアプローズの専属パーティーみたいね!」と笑うほどだ。

この朝、店を開ける準備をしていると、ギルドの使いの少年が慌てて駆け込んできた。

「アプローズさん! 大事な文書が届いてます!」

少年が差し出したのは、豪華な封蝋のついた一通の公式文書。

王国の紋章と、教会の聖印が並んで押されている。

――召喚状。

私は息を飲み、文書を開いた。

『アプローズ・フォン・エルグランドに対し  

教会本部およびエルグランド公爵家の連名により、王都への出頭を命ずる。  
理由:異端の疑いある回復食の製造・販売、神の奇跡の冒涜、貴族家の名誉棄損。  
期日:十日以内。王都大聖堂にて正式審問を行う。  
不出頭の場合、教会および王国の名において制裁を加えるものとする。』

召喚状……審問。

ついに、来た。

ライアンがすぐに駆けつけ、文書を読んで顔をしかめた。

「本気だな。教会本部と実家が組んで、お前を引きずり出そうとしてる」

店先に、常連の冒険者たちが集まり始めた。

噂は一瞬で広がった。

「アプローズさんを王都に呼び出すだって?」

「審問? ただの嫌がらせだろ!」

エレナが、拳を握った。

「行く必要なんてないわ! ここで戦う!」

ガレンが、冷静に言った。

「しかし、相手は教会本部と公爵家。王都の決定を無視すれば、この街全体が標的にされる可能性がある」

店内が、重い空気に包まれた。

私は、皆を見回して静かに微笑んだ。

「……みんな、心配してくれてありがとうございます」

ライアンが、強く言った。

「アプローズ、決めるのはお前だ。逃げるか、ここで戦うか――俺たちはどんな選択でもついていく」

私は、深呼吸して答えた。

「審問に出頭します」

店内がどよめいた。

「アプローズさん!?」

「危ないよ! 教会の審問は、異端認定されたら牢入りだぞ!」

私は、穏やかに続けた。

「でも、このまま不出頭だと、ルヴェリアが教会の制裁を受けるかもしれない。みんなに迷惑をかけたくない」

「それに……」

私は、マジックポッキーの箱を手に取った。

淡く輝くチョコの表面。

「私の力を、隠し続ける必要はもうないと思います。王都で、すべてを明かします」

ライアンの目が、驚きと理解で見開かれた。

「お前……聖女の力のことか?」

私は頷いた。

「ええ。証明してみせます。私の触れるものに宿る本物の神の恵みを。そして、アルテアの加護が偽りであることを」

店内が、静まり返った後――歓声が上がった。

「やるぜ! 聖女様の本当の力、見せてくれ!」

「教会の偽りをぶっ潰せ!」

「俺たちが護衛だ! 王都まで一緒に連れてく!」

ギルド支部長も駆けつけ、宣言した。

「ギルドとして、アプローズの護衛を公認する。最強のパーティーを組む」

ライアンが、私の手を握った。

「俺も行く。一緒に、王都で勝とう」

温かな手だった。

十日後、王都へ。

審問の場で、私は真実を明らかにする。

アルテアの阻害、教会の偽り、そして私の真の聖女の力。

甘いクッキーが、王国を変える時が来た。

街全体の決意が、私の背中を押す。

私の反撃が、いよいよ始まる。

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