婚約破棄されたので回復クッキーでスイーツ店始めました～義妹の阻害を解いて真の聖女覚醒、世界に甘い奇跡を～

第19話 ルヴェリアの大歓迎と、店の拡大

第19話　ルヴェリアの大歓迎と、店の拡大

ルヴェリアの門が見えてきた瞬間、街全体が沸き立っていた。

門から街路まで、冒険者、商人、子供たち、果ては近隣の村人までが集まり、花道を作って私たちを迎えてくれた。

「アプローズさん、おかえり！」

「聖女様、勝って帰ってきたんだな！」

「教会の偽りをぶっ潰したって聞いたぜ！」

歓声が波のように押し寄せ、馬車はゆっくりと進んだ。

子供たちが、手作りの旗を振ってくれた。

「アプローズお姉ちゃん、すごい！」

「新しいポッキー、早く食べたい！」

私は馬車から身を乗り出し、皆に手を振った。

涙がこぼれそうになったが、笑顔で答えた。

「みんな、ありがとう！　ただいま戻りました！」

ライアンが、馬を止め、皆に呼びかけた。

「アプローズは、真の聖女だ！　王都で証明してきた！」

街が、さらに大きな歓声に包まれた。

ギルド支部長が、先頭に立って迎えてくれた。

「よくぞ帰ってきた！　街の誇りだ！」

馬車が街の中心に着くと、広場で即席のパーティーが始まった。

冒険者たちが酒や食べ物を持ち寄り、子供たちは歌を歌い、商人たちは花を投げてくれた。

エレナが、皆に大声で報告した。

「王都の教会、完膚なきまでに負けたわ！　アプローズのポーションが黄金に輝いて、偽りの聖女がバレたのよ！」

皆が、拍手と歓声を上げた。

私は、広場の中央に立って、皆に頭を下げた。

「みんな、心配かけてごめんなさい。でも、みんなが支えてくれたから、勝てました。これからも、甘い癒やしを届け続けます！」

街が、「アプローズ！」と一斉に叫んだ。

その夜、店は大拡張の祝賀会になった。

隣の店舗を買い取り、工房を倍に広げた。

従業員の少女たちも、涙を浮かべて迎えてくれた。

ライアンたちが、材料を運び込みを手伝い、皆で新商品の試食会を開いた。

「これ、帰り道で考えた新作です。チョコレートムースのディップクッキー！」

皆が試食して、目を輝かせた。

「MP大回復！　しかも美味い！」

「これ、全国に広めようぜ！」

支部長が、正式に提案した。

「ギルドとして、アプローズの店を王国公認にする。王都から資金も来てる。支店を増やせ」

私は、皆を見回して頷いた。

「はい。ルヴェリアを本店に、王都や他の街にも支店を。みんなの冒険を、もっと支えたい」

歓声が、再び上がった。

夜遅く、祝賀会が終わった後。

ライアンが、店の屋上に私を連れて行った。

ルヴェリアの夜空が、星で満ちていた。

「アプローズ、お疲れ様」

彼が、優しく言った。

「あなたたちがいなかったら、こんなに早く帰れませんでした」

ライアンは、私の手を取った。

「これからも、一緒だ。店のこと、冒険のこと……全部」

私は頷いた。

「ええ。一緒に、全国に甘い奇跡を届けましょう」

二人の影が、月光に照らされた。

ルヴェリアの街は、私の帰還で、さらに活気づいた。

店の拡大は、始まったばかり。

私の甘い癒やしが、王国全体に広がっていく。

みんなの笑顔のために。

私の新しい人生のために。

大歓迎の夜は、静かに更けていった。

甘い香りが、街全体を包む。