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第37話 猶予の終わり
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第37話 猶予の終わり
それは、あまりにも事務的な知らせだった。
「……国王陛下からの書簡、です」
差し出された封筒には、
見慣れた王宮の紋章。
エテルナは、
一瞬だけ視線を伏せる。
(……来ましたのね)
いつかは、
必ず。
セーブルは、
無言で封を切った。
内容は、
短い。
だが、
明確だった。
「……“夫婦としての実態を
確認する必要がある”、か」
声に、
感情は乗らない。
だが、
重さは十分だった。
エテルナは、
静かに問い返す。
「つまり」
「白い結婚を、
いつまでも黙認はできない、
という意味だな」
政治的判断。
曖昧な関係は、
都合がいい時は見逃されるが、
都合が悪くなれば問題視される。
(……猶予が、
外から終わらされる)
それが、
一番厄介だった。
「期限は?」
「明記されていない」
セーブルは、
書簡を机に置く。
「だが、
“確認”と書いてある以上、
近い」
沈黙。
二人は、
同時に理解していた。
選び続ける時間が、
無限ではないことを。
「……どうしますか」
エテルナが、
静かに聞く。
逃げの問いではない。
共有の問いだ。
「選択肢は、
三つある」
セーブルは、
淡々と整理する。
「一つ。
形式だけ、白を壊す」
エテルナは、
即座に首を横に振った。
「それは、
私たちの選び方ではありません」
「ああ」
同意。
「二つ。
完全に白を維持し、
王宮と対立する」
それは、
現実的ではない。
領地を守る立場として。
「三つ」
セーブルは、
一拍置く。
「……猶予を終わらせる」
言葉が、
静かに落ちる。
エテルナは、
胸の奥が
少しだけ締め付けられるのを感じた。
(……覚悟は、
していたつもりでしたのに)
だが。
「……“今すぐ”
ではありませんわね」
彼女は、
そう言った。
「猶予を終わらせる、
という選択を
“選び直す時間”は、
まだ必要です」
セーブルは、
彼女を見る。
迷いではない。
慎重さだ。
「……同意する」
即答。
「期限を突きつけられたからといって、
選び方まで
奪われる必要はない」
その言葉に、
エテルナは
ほっと息を吐いた。
(……同じですわね)
夜。
それぞれの部屋へ向かう前、
二人は廊下で立ち止まった。
「……猶予は、
終わりに近づいている」
セーブルが、
低く言う。
「はい」
エテルナも、
視線を逸らさない。
「でも」
彼女は、
はっきりと言った。
「“終わらされる”のではなく、
“終わらせる”形にしたい」
セーブルは、
ゆっくりと頷く。
「……ああ」
それが、
二人の一致点だった。
扉の前で、
短い別れの挨拶。
「おやすみなさい」
「おやすみ」
扉が閉まる。
猶予は、
確かに終わりに向かっている。
だが。
それは破られる猶予ではなく、
二人が手放すかどうかを
選ぶための
最後の時間だった。
-
それは、あまりにも事務的な知らせだった。
「……国王陛下からの書簡、です」
差し出された封筒には、
見慣れた王宮の紋章。
エテルナは、
一瞬だけ視線を伏せる。
(……来ましたのね)
いつかは、
必ず。
セーブルは、
無言で封を切った。
内容は、
短い。
だが、
明確だった。
「……“夫婦としての実態を
確認する必要がある”、か」
声に、
感情は乗らない。
だが、
重さは十分だった。
エテルナは、
静かに問い返す。
「つまり」
「白い結婚を、
いつまでも黙認はできない、
という意味だな」
政治的判断。
曖昧な関係は、
都合がいい時は見逃されるが、
都合が悪くなれば問題視される。
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外から終わらされる)
それが、
一番厄介だった。
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「明記されていない」
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「だが、
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近い」
沈黙。
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同時に理解していた。
選び続ける時間が、
無限ではないことを。
「……どうしますか」
エテルナが、
静かに聞く。
逃げの問いではない。
共有の問いだ。
「選択肢は、
三つある」
セーブルは、
淡々と整理する。
「一つ。
形式だけ、白を壊す」
エテルナは、
即座に首を横に振った。
「それは、
私たちの選び方ではありません」
「ああ」
同意。
「二つ。
完全に白を維持し、
王宮と対立する」
それは、
現実的ではない。
領地を守る立場として。
「三つ」
セーブルは、
一拍置く。
「……猶予を終わらせる」
言葉が、
静かに落ちる。
エテルナは、
胸の奥が
少しだけ締め付けられるのを感じた。
(……覚悟は、
していたつもりでしたのに)
だが。
「……“今すぐ”
ではありませんわね」
彼女は、
そう言った。
「猶予を終わらせる、
という選択を
“選び直す時間”は、
まだ必要です」
セーブルは、
彼女を見る。
迷いではない。
慎重さだ。
「……同意する」
即答。
「期限を突きつけられたからといって、
選び方まで
奪われる必要はない」
その言葉に、
エテルナは
ほっと息を吐いた。
(……同じですわね)
夜。
それぞれの部屋へ向かう前、
二人は廊下で立ち止まった。
「……猶予は、
終わりに近づいている」
セーブルが、
低く言う。
「はい」
エテルナも、
視線を逸らさない。
「でも」
彼女は、
はっきりと言った。
「“終わらされる”のではなく、
“終わらせる”形にしたい」
セーブルは、
ゆっくりと頷く。
「……ああ」
それが、
二人の一致点だった。
扉の前で、
短い別れの挨拶。
「おやすみなさい」
「おやすみ」
扉が閉まる。
猶予は、
確かに終わりに向かっている。
だが。
それは破られる猶予ではなく、
二人が手放すかどうかを
選ぶための
最後の時間だった。
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