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第40話 答えの位置
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第40話 答えの位置
朝は、静かに始まった。
前夜に張りつめていた空気が、嘘のようにほどけている。だが、緩んだのではない。形を変えただけだ。街は、すでに答えを待つ側に回っていた。
フォールス・アキュゼーションは、窓を開け、外の気配を確かめた。
騒ぎはない。
逃走もない。
強行もない。
それが、答えだった。
午前、正式な通達が出た。治安名目の調査は、手続き不備を理由に停止。対象の再設定と目的の明確化が求められ、主導した者たちは説明の場に立たされることになった。
処罰ではない。
だが、免責でもない。
保留を続けた結果、最も嫌っていた場所――公の場に、彼らは立たされる。
フォールスは、短く息を吐いた。
これで、終わりだ。
呼び出しはなかった。
立ち会いも、証言も、求められない。
それが、彼女の立ち位置の帰結だった。
午後、エクイティ・フェアネス・ロイヤル・ロードから、非公式の面会があった。応接室には、二人だけ。
「終わったな」
「はい」
「君の名は、どこにも出ていない」
「望んだ通りです」
「だが、皆が知っている」
エクイティは、穏やかに言った。
「答えを、誰が置いたか」
「それで十分です」
「……君は、実に扱いにくい」
「よく言われます」
エクイティは、苦笑してから、真顔に戻った。
「今後の話だ」
「承ります」
「要請は続ける。頻度は下げる」
「はい」
「名は出さない。身分も固定しない」
「承知しています」
「ただし」
彼は、静かに告げた。
「次に照らす時は、より強い反発が来る」
「分かっています」
「それでも、立つか」
フォールスは、迷わなかった。
「構造の隣に、です」
エクイティは、短く頷いた。
「……いい」
面会は、それで終わった。
宿へ戻る途中、フォールスは市場に立ち寄った。いつもの果物屋。
「今日も一つ」
「おう」
店主は、変わらぬ手つきで林檎を包む。
「最近、静かだな」
「ええ」
「嵐の前か?」
フォールスは、代金を置き、微笑んだ。
「嵐は、通り過ぎた後が一番静かなんです」
「難しいこと言うな」
「仕事柄です」
それだけの会話。
名も、肩書も、要らない。
夕暮れ、部屋に戻り、机に向かう。白紙を広げ、初めて文字を書く。
――前に出ない。
――逃げない。
――照らす。
三行で、十分だった。
短剣を引き出しにしまう。もう、枕元に置く必要はない。危険が消えたわけではないが、距離は保たれた。
夜、灯りを落とす。
フォールス・アキュゼーションは、理解していた。
答えとは、勝利ではない。
誰かを打ち倒すことでもない。
選ばなかった者たちが、選ばされる場所に立つ。
その位置を、静かに示すこと。
それが、今回の答えだった。
そして、これからも――
彼女は、構造の隣に立つ。
名を掲げず、
刃を振るわず、
灯りだけを点けて。
それで十分だと、
ようやく、確信できたから。
朝は、静かに始まった。
前夜に張りつめていた空気が、嘘のようにほどけている。だが、緩んだのではない。形を変えただけだ。街は、すでに答えを待つ側に回っていた。
フォールス・アキュゼーションは、窓を開け、外の気配を確かめた。
騒ぎはない。
逃走もない。
強行もない。
それが、答えだった。
午前、正式な通達が出た。治安名目の調査は、手続き不備を理由に停止。対象の再設定と目的の明確化が求められ、主導した者たちは説明の場に立たされることになった。
処罰ではない。
だが、免責でもない。
保留を続けた結果、最も嫌っていた場所――公の場に、彼らは立たされる。
フォールスは、短く息を吐いた。
これで、終わりだ。
呼び出しはなかった。
立ち会いも、証言も、求められない。
それが、彼女の立ち位置の帰結だった。
午後、エクイティ・フェアネス・ロイヤル・ロードから、非公式の面会があった。応接室には、二人だけ。
「終わったな」
「はい」
「君の名は、どこにも出ていない」
「望んだ通りです」
「だが、皆が知っている」
エクイティは、穏やかに言った。
「答えを、誰が置いたか」
「それで十分です」
「……君は、実に扱いにくい」
「よく言われます」
エクイティは、苦笑してから、真顔に戻った。
「今後の話だ」
「承ります」
「要請は続ける。頻度は下げる」
「はい」
「名は出さない。身分も固定しない」
「承知しています」
「ただし」
彼は、静かに告げた。
「次に照らす時は、より強い反発が来る」
「分かっています」
「それでも、立つか」
フォールスは、迷わなかった。
「構造の隣に、です」
エクイティは、短く頷いた。
「……いい」
面会は、それで終わった。
宿へ戻る途中、フォールスは市場に立ち寄った。いつもの果物屋。
「今日も一つ」
「おう」
店主は、変わらぬ手つきで林檎を包む。
「最近、静かだな」
「ええ」
「嵐の前か?」
フォールスは、代金を置き、微笑んだ。
「嵐は、通り過ぎた後が一番静かなんです」
「難しいこと言うな」
「仕事柄です」
それだけの会話。
名も、肩書も、要らない。
夕暮れ、部屋に戻り、机に向かう。白紙を広げ、初めて文字を書く。
――前に出ない。
――逃げない。
――照らす。
三行で、十分だった。
短剣を引き出しにしまう。もう、枕元に置く必要はない。危険が消えたわけではないが、距離は保たれた。
夜、灯りを落とす。
フォールス・アキュゼーションは、理解していた。
答えとは、勝利ではない。
誰かを打ち倒すことでもない。
選ばなかった者たちが、選ばされる場所に立つ。
その位置を、静かに示すこと。
それが、今回の答えだった。
そして、これからも――
彼女は、構造の隣に立つ。
名を掲げず、
刃を振るわず、
灯りだけを点けて。
それで十分だと、
ようやく、確信できたから。
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