異形の君へ~バケモノが視えるようになった男のお話~

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プロローグ

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――こ、これで……童貞を卒業できる!

 ホテルのベッドには、男と女がいる。
つまり、そういうことをしている。
数時間前に出会って間もないの女と、である。
童貞であることをバカにされ、大学で仲良くなった友人とその先輩らと合コンに参加した。
そこにいた女といい雰囲気になり、誘われるままホテルにいる。

 ここまで流れるようにスムーズだった。
こういうことに慣れてるんだろうと男は察する。
童貞を捨てたい男にとっては、逆に好機だと思えた。
もし、このあとすぐ別れても後腐れがない。
 一夜だけのお遊び。童貞を捨て、はい、終わり。
最低な思考である。が、初めての相手としては、本当に丁度よかったのだ。

――ふぅ……卒ぎょ……?

 女の身体を抱いた瞬間、目の前にいた女が別人になった。いや、別人どころではなかった。

「か、か、か、か……」

 顔が無くなった。
顔の上にあるはずの眉、目、鼻、口というパーツがすべて消え失せている。

「か、お」
「かお……?」

 首を傾げた女は、口が無いのにも関わらず声を発した。

「うわぁああああぁああああっ!?!」

 大声で叫びベッドから転がり落ちた。
顔の無い女が唖然としている隙に男は、大慌てで私物を抱きかかえると部屋から脱出した。

――バケモノ!!

 乱れた格好でホテルから出てきた男を通りすがる人々は怪訝な顔を浮かべた。
露出狂だと通報されてもおかしい姿だった。
男は、素早くとズボンを履くとさっさとその場から立ち去る。

――なんで……こんなにバケモノがッ……!

 その日から、男は『バケモノ』を視えるようになってしまった。
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