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番外編:ミスリルとは
なんだか最近イスベルクの機嫌が悪い。他の者の前では今までどうりなんだが、オレの前ではプリプリ怒ってる様に見える。
「まったく、どうしてこうも会議ばかりするのだ」
「国をよくしていこうといろんな案を出してくれてるからでしょ?」
「むう。良案を出してくれるのはルミエールだけだ」
「そんなことはないよ。オレはこういう経験が浅い。経験豊富の方々の意見は参考になるよ」
「何故あいつらの味方ばかりするんだ!俺は嫌だと言ってるのに」
「ふふふ。ちょっとお昼寝する?膝枕してあげるよ」
「する!」
まるで大きな駄々っ子だ。でも言われて嫌ではないんだよな。むしろ可愛いと思ってしまう。見た目は筋肉質で戦士のような身体つき。威厳のある風格。鋭い視線。だけどオレの前だけは甘えてくれる。
「あれ?イスベルクこれどうしたの?」
首筋の肌の色が少し変わっていた。
「ん~。なんか痒みがあるのだ。強く掻いてしまったのかな?」
「いや、掻いたら赤くなるんじゃないの?これってなんか肌の一部が浮いてるような?」
「……え?」
「すぐに陛下に報告いたします」
うわ。シーヴル。突然現れるとやはり驚くよ。そりゃ最初の頃よりは慣れてきたけどさ。シーヴルはあっという間に姿を消した。
「陛下に報告って……何かよくないことなの?病気なの?」
「いや、俺にもやっと龍としての成長期が来たという事かな?」
「成長期?」
「ああ。すまないが俺はしばらくここを留守にしないといけなくなった」
「オレもついていくよ」
「ウッ……。だが、マイナス0度の場所だぞ」
「暖かくしていくよ。オレ結界魔法もシーヴルに教わってるし、小さいのならつくれるようになった」
「本当か?俺の番は天才だ!本当は離れたくなかったんだ」
次の日、オレは雪だるまのように防寒具を着せられた。今から行く場所は極寒だからと何重にも重ね着をされたけど逆に着すぎて熱いよ。
「あらあら、そのまま転がりそうね。うふふふふ」
ころころと笑いながら皇后がやってきた。
「私も今の貴方と同じような格好をさせられたのよ。うふふふ。イゴールもね、最初は極寒だから連れて行けないとか言いながらすぐに戻ってきてね、君が居ないと夜も眠れないって連れて行かれたのよ。あの子ったらやることすべてがイゴールと同じ過ぎておかしいわ。ふふふ」
「はあ、そんなに寒い場所なのですか?」
「まあね。でも決して外には出さしてもらえないから。巣の中は暖かいし大丈夫よ」
「巣?ですか?」
「ええそうよ。でも心配しないでね。何度か行くうちにちゃんと生活できるようにベットやシャワーも取り付けてもらってるから快適よ」
快適な巣なのか?なんかわかんないけど興味が出てきた。きっと【龍の巣】のことだ!わあ。生で見れるなんて!やったあ。
◇◆◇
断崖絶壁の場所に龍の巣はあった。周りは氷に閉ざされている為なかなか見つけられない場所だろう。
「洞窟なんだね?」
「俺も始めて来た。シーヴルの誘導がないとこれなかっただろうな。だが一度来たからもう匂いは覚えたぞ」
「シーヴルいるの?」
「はいこちらに」
「わ!すごい。じゃあお世話もしてもらえるの?」
よかった。オレ料理は苦手なんだよな。作ってもらえそうでよかった。
「はい。今回は初めてですので同行させてもらいました」
「ありがとう!助かる。いろいろと教えてね」
「かしこまりました」
シーヴルは忍者みたいだ。オレにはまったく気配は感じられない。イスベルクにはわかるんだろうな。
「ルミエール。シーヴルはオンブルなのだ。影という意味だ」
なんか読んだことがある。確か小説の中に載っていた。
「影って龍を守る一族のこと?」
「さようでございます」
ニコニコとシーヴルが答える。まるでよくできましたと褒めてくれてるようで嬉しい。
洞窟の奥はキラキラと光って見えた。奥に進むほど壁の色が全体的に虹色っぽく見えてくる。
「これって……ミスリル?」
「ミスリルの原料とでもいうのでしょうか。」
「原料?それは何?ミスリルってどうやって作られるの?」
「俺たちのうろこや皮から?とでも言うのかな?」
「イスベルクのうろこ?……そっか。脱皮するんだ?」
「ああ。今まで龍に成れてなかったから俺もはじめての脱皮なのだ。ボロボロになる汚い姿は見せたくなかったのだが、お前が居ない日々なぞ耐えられそうにないからな。来てくれてよかった」
「なんだあ。そんなの。当り前だよ。オレの場所はいつでもイスベルクが居るところだもん」
「はっはっは。仲が良いことで。さあさあ奥へどうぞ」
一番奥にはおおきな舞台のような円座がありそこにイスベルクは鎮座するらしい。周りにはキラキラする宝石たちが飾り付けられている。そうか。龍はキラキラ輝くモノが好きだと聞いたことがある。
「ここで脱皮されたうろこなどが地中に溶けミスリルへと変化していくのです。変化したミスリルは地流に乗ってこの北の大地の各所に鉱脈として流れつくということです」
「そうなんだ!凄いね」
「はい。しかしこれはアイスドラゴンにしかできません。それだけ主様は稀有な存在なのです。だからどうかこの事はご内密にお願いいたします」
「わかりました。このせいでイスベルクや子孫たちが生け捕りにされたりするのは避けたい。誰にも言いません」
「ユージナルもこれがミスリルになるとは知らない。俺が脱皮するという事しか教えてない」
そうなのか。あんなに仲が良いのに。それだけ大事な秘密なんだ。
「なんか気が引き締まったよ。オレが徐々に番として認められていくみたいで」
「ルミエールは俺の番だ。……それより、その。さっき子孫って言ってくれたが。子作りも考えてくれてるのか?」
「え?まあ……その。今はまだ二人で居たいけど。そのうち、その……」
「くくく。本当にお二人は仲が良いですね。今後もアイスドラゴンの地は栄えることでしょう」
シーヴルが嬉しそうに答えた。
「まったく、どうしてこうも会議ばかりするのだ」
「国をよくしていこうといろんな案を出してくれてるからでしょ?」
「むう。良案を出してくれるのはルミエールだけだ」
「そんなことはないよ。オレはこういう経験が浅い。経験豊富の方々の意見は参考になるよ」
「何故あいつらの味方ばかりするんだ!俺は嫌だと言ってるのに」
「ふふふ。ちょっとお昼寝する?膝枕してあげるよ」
「する!」
まるで大きな駄々っ子だ。でも言われて嫌ではないんだよな。むしろ可愛いと思ってしまう。見た目は筋肉質で戦士のような身体つき。威厳のある風格。鋭い視線。だけどオレの前だけは甘えてくれる。
「あれ?イスベルクこれどうしたの?」
首筋の肌の色が少し変わっていた。
「ん~。なんか痒みがあるのだ。強く掻いてしまったのかな?」
「いや、掻いたら赤くなるんじゃないの?これってなんか肌の一部が浮いてるような?」
「……え?」
「すぐに陛下に報告いたします」
うわ。シーヴル。突然現れるとやはり驚くよ。そりゃ最初の頃よりは慣れてきたけどさ。シーヴルはあっという間に姿を消した。
「陛下に報告って……何かよくないことなの?病気なの?」
「いや、俺にもやっと龍としての成長期が来たという事かな?」
「成長期?」
「ああ。すまないが俺はしばらくここを留守にしないといけなくなった」
「オレもついていくよ」
「ウッ……。だが、マイナス0度の場所だぞ」
「暖かくしていくよ。オレ結界魔法もシーヴルに教わってるし、小さいのならつくれるようになった」
「本当か?俺の番は天才だ!本当は離れたくなかったんだ」
次の日、オレは雪だるまのように防寒具を着せられた。今から行く場所は極寒だからと何重にも重ね着をされたけど逆に着すぎて熱いよ。
「あらあら、そのまま転がりそうね。うふふふふ」
ころころと笑いながら皇后がやってきた。
「私も今の貴方と同じような格好をさせられたのよ。うふふふ。イゴールもね、最初は極寒だから連れて行けないとか言いながらすぐに戻ってきてね、君が居ないと夜も眠れないって連れて行かれたのよ。あの子ったらやることすべてがイゴールと同じ過ぎておかしいわ。ふふふ」
「はあ、そんなに寒い場所なのですか?」
「まあね。でも決して外には出さしてもらえないから。巣の中は暖かいし大丈夫よ」
「巣?ですか?」
「ええそうよ。でも心配しないでね。何度か行くうちにちゃんと生活できるようにベットやシャワーも取り付けてもらってるから快適よ」
快適な巣なのか?なんかわかんないけど興味が出てきた。きっと【龍の巣】のことだ!わあ。生で見れるなんて!やったあ。
◇◆◇
断崖絶壁の場所に龍の巣はあった。周りは氷に閉ざされている為なかなか見つけられない場所だろう。
「洞窟なんだね?」
「俺も始めて来た。シーヴルの誘導がないとこれなかっただろうな。だが一度来たからもう匂いは覚えたぞ」
「シーヴルいるの?」
「はいこちらに」
「わ!すごい。じゃあお世話もしてもらえるの?」
よかった。オレ料理は苦手なんだよな。作ってもらえそうでよかった。
「はい。今回は初めてですので同行させてもらいました」
「ありがとう!助かる。いろいろと教えてね」
「かしこまりました」
シーヴルは忍者みたいだ。オレにはまったく気配は感じられない。イスベルクにはわかるんだろうな。
「ルミエール。シーヴルはオンブルなのだ。影という意味だ」
なんか読んだことがある。確か小説の中に載っていた。
「影って龍を守る一族のこと?」
「さようでございます」
ニコニコとシーヴルが答える。まるでよくできましたと褒めてくれてるようで嬉しい。
洞窟の奥はキラキラと光って見えた。奥に進むほど壁の色が全体的に虹色っぽく見えてくる。
「これって……ミスリル?」
「ミスリルの原料とでもいうのでしょうか。」
「原料?それは何?ミスリルってどうやって作られるの?」
「俺たちのうろこや皮から?とでも言うのかな?」
「イスベルクのうろこ?……そっか。脱皮するんだ?」
「ああ。今まで龍に成れてなかったから俺もはじめての脱皮なのだ。ボロボロになる汚い姿は見せたくなかったのだが、お前が居ない日々なぞ耐えられそうにないからな。来てくれてよかった」
「なんだあ。そんなの。当り前だよ。オレの場所はいつでもイスベルクが居るところだもん」
「はっはっは。仲が良いことで。さあさあ奥へどうぞ」
一番奥にはおおきな舞台のような円座がありそこにイスベルクは鎮座するらしい。周りにはキラキラする宝石たちが飾り付けられている。そうか。龍はキラキラ輝くモノが好きだと聞いたことがある。
「ここで脱皮されたうろこなどが地中に溶けミスリルへと変化していくのです。変化したミスリルは地流に乗ってこの北の大地の各所に鉱脈として流れつくということです」
「そうなんだ!凄いね」
「はい。しかしこれはアイスドラゴンにしかできません。それだけ主様は稀有な存在なのです。だからどうかこの事はご内密にお願いいたします」
「わかりました。このせいでイスベルクや子孫たちが生け捕りにされたりするのは避けたい。誰にも言いません」
「ユージナルもこれがミスリルになるとは知らない。俺が脱皮するという事しか教えてない」
そうなのか。あんなに仲が良いのに。それだけ大事な秘密なんだ。
「なんか気が引き締まったよ。オレが徐々に番として認められていくみたいで」
「ルミエールは俺の番だ。……それより、その。さっき子孫って言ってくれたが。子作りも考えてくれてるのか?」
「え?まあ……その。今はまだ二人で居たいけど。そのうち、その……」
「くくく。本当にお二人は仲が良いですね。今後もアイスドラゴンの地は栄えることでしょう」
シーヴルが嬉しそうに答えた。
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