【本編完結】転生先で断罪された僕は冷酷な騎士団長に囚われる

ゆうきぼし/優輝星

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31 宮殿

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 宮殿の警護の者たちを【睡眠スリープ】コードで眠らせていく。すんなりと中に入れたのが気がかりだが、足止まるわけにはいかない。
 宮殿の中は精錬された彫刻や絵画がたくさんあった。一見、厳かな雰囲気だが、そのどれにもコードが埋め込まれている。僕の目には内部にあるコードが解析できる。録音、隠しカメラの機能、こちらは武器が飛び出す仕組みで、こっちは毒を噴射か。なんだかハイテク化した忍者屋敷を想像してしまった。

「ちょっと待って……この先に何かいる」
 なんかすごい存在感を感じる。人なのか? わからないが敵であることには間違いないだろう。
「敵が潜んでいるのか?」
「何か良くない者が居てる気配がする」
「オリジン、見た目に惑わされないで。魔法コードで隠されているだけで本当はこちらに武器を向けているかもしれないよ」
「怖いこと言うなよ。でも、まあそういう場所だってことは知っているさ。一度でいいからこの中を見たいって好奇心には勝てなかったんだよ」

 扉の先は謁見の間のようだった。重厚な絨毯の奥には金塗りの王座があり、一人の青年が座っていた。
「……兄上」
「え? シュラウドの兄さんって……あの人が皇太子なの?」
「そうだが、なんか様子が違うような気がするぜ」
「オリジンは皇太子を見たことがあるの?」
 引きこもりの僕が知らないだけで、皇太子ってみんなが知っている人物なのか。

「久しいな。シュラウドよ。また逞しくなったのではないか」
 皇太子の目が弓なりになる。気持ちが悪い。まるで品定めをするような目だ。
「ううっ……。貴方は……兄上ではないな?」
 シュラウドの苦しみようは、直接何かをされているような様子だ。皇太子自身が何かしているのか? それとも皇太子すらも操られているとしたら? そうか、絶対的な権限を持っているのはただ一人だ!
「貴方は皇帝なのですね?」
「……本人がご降臨ってことかよ?」

「ほう、お前は見える目を持っているのか? 面白い。ならばスペアのひとつとして置いておいてもいいな」
 なんだそのスペアって……まさか。目を凝らしてみてみると人格を破壊するコードで覆われているのがわかる。その上で何かを上書きしている。
「貴方は精神干渉ができるのですね?」
「ふははは。それだけではないぞ。この体の魔力や機能を自由に使えるのだ。このようにな」
 皇太子の腕が伸び、僕の首を掴もうとする。
「ルーン!」
 シュラウドが魔剣で瞬時に腕を跳ね返す。跳ね返すって? 切れないって事? どんな腕なんだよ!
「は……はは。あいつはもう皇太子じゃねえってのか」
「こやつは私のスペアとして存在していたのだ。よく育った。なかなかいい筋肉だ。ただ少し、知能が足りないのでな、少々改造した。もう少し時間が欲しかったがな。シュラウドは肉体と精神、知能もまあまあだが、如何せん、その肌の色が気にくわぬ」
 この褐色の野生的で男らしい肌が気に食わないだって? こいつ目が悪いんじゃないのか! 性格も悪いのだろう!
「何を言うのですか! シュラウドのお母さんを気に入って側室にしたのでしょ?」
「いや、他国の血を混ぜると優秀な者できるかの実験だったのだ」

 なんてこと! 本人の前で実験なんて。まるでモルモットみたいな言い方をするなんて!
 



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