18 / 197
どんな仕事が良いかな
しおりを挟む
「時給二千円はなかなかハードル高いね......」
要さんは難しそうな顔をしていた。
やはりそうなのか。
「まあ、大事なことだからね。急がないとならないけど焦らないよう、じっくり考えよう」
要さんは自分のことのように真剣に考えてくれている。
「理想的で完璧な仕事を探すのは時間がかかると言うか、かなり難しい。前も言ったけど、まずはやりたくないことを削っていくのが長く続けられる仕事を探すコツ。だけど、誉の場合ある程度金額の要素は必須だから、そのバランスをとっていこう」
絶対にやりたくないこと、と言われると考えてしまう。
私は何が嫌なのだろう。
単純に、筋力や体力を持続的に使う仕事は身体能力的に向いてないと思うから、その辺りだろうか。
あとは五感を酷使したり不快感を得たりする仕事は長期間従事できる自信がない。
これくらいかなあ。あまり贅沢を言っていられる身ではないから、ある程度妥協しなくてはならないことは覚悟している。
「まあそうだろうねぇ。でもそうなるとハードルは上がるなぁ。大体給料が高い仕事って人が嫌がる仕事やきつい仕事が多いからね。誉が除こうとしている仕事とそこが被る」
「そうですよね。甘くないのわかってます。我慢します」
「いやいや、実際きつい仕事は長く続けるには心身の強度やら耐久性やら、それなりの素養必要だと思うよ? 少なくとも卒業するまでは続けないとならないんだから、無理はやめとこ」
「誉ちゃんがやりたくないことであげなかった高給になりやすい仕事としては、『危険』を伴うものってのもあるよね。あと、」
今日も晩酌がてら顔を出していたしょーちゃんが口も出して来た。
彼女の方も引越しはひと段落している。
「誉に危険なことなんてさせられないでしょ! 万が一があったらどうするの!」
しょーちゃんの言葉を遮って要さんが怒っていた。
要さんはしょーちゃんが抱えていたカルパスの袋をひったくって、袋からひとつ取り出し包装を解いて口の中に放り、勢いよくビールを煽っている。
心配してくれるのは嬉しい。でも少し過保護な保護者みたいだ。
なんて他人事みたいに要さんとしょーちゃんのやりとりをおこぼれのカルパスを食べながら見ていたら、「ひとまず条件は出てるんだから、どんな仕事があるか探しなよ!」と注意されてしまった。
それはそうだ。
私は慌ててカルパスをもうひとつ口に入れてから、求人サイトを探し始めた。
要さんとしょーちゃんも、飲みながらではあるが調べてくれている。
要さんは難しそうな顔をしていた。
やはりそうなのか。
「まあ、大事なことだからね。急がないとならないけど焦らないよう、じっくり考えよう」
要さんは自分のことのように真剣に考えてくれている。
「理想的で完璧な仕事を探すのは時間がかかると言うか、かなり難しい。前も言ったけど、まずはやりたくないことを削っていくのが長く続けられる仕事を探すコツ。だけど、誉の場合ある程度金額の要素は必須だから、そのバランスをとっていこう」
絶対にやりたくないこと、と言われると考えてしまう。
私は何が嫌なのだろう。
単純に、筋力や体力を持続的に使う仕事は身体能力的に向いてないと思うから、その辺りだろうか。
あとは五感を酷使したり不快感を得たりする仕事は長期間従事できる自信がない。
これくらいかなあ。あまり贅沢を言っていられる身ではないから、ある程度妥協しなくてはならないことは覚悟している。
「まあそうだろうねぇ。でもそうなるとハードルは上がるなぁ。大体給料が高い仕事って人が嫌がる仕事やきつい仕事が多いからね。誉が除こうとしている仕事とそこが被る」
「そうですよね。甘くないのわかってます。我慢します」
「いやいや、実際きつい仕事は長く続けるには心身の強度やら耐久性やら、それなりの素養必要だと思うよ? 少なくとも卒業するまでは続けないとならないんだから、無理はやめとこ」
「誉ちゃんがやりたくないことであげなかった高給になりやすい仕事としては、『危険』を伴うものってのもあるよね。あと、」
今日も晩酌がてら顔を出していたしょーちゃんが口も出して来た。
彼女の方も引越しはひと段落している。
「誉に危険なことなんてさせられないでしょ! 万が一があったらどうするの!」
しょーちゃんの言葉を遮って要さんが怒っていた。
要さんはしょーちゃんが抱えていたカルパスの袋をひったくって、袋からひとつ取り出し包装を解いて口の中に放り、勢いよくビールを煽っている。
心配してくれるのは嬉しい。でも少し過保護な保護者みたいだ。
なんて他人事みたいに要さんとしょーちゃんのやりとりをおこぼれのカルパスを食べながら見ていたら、「ひとまず条件は出てるんだから、どんな仕事があるか探しなよ!」と注意されてしまった。
それはそうだ。
私は慌ててカルパスをもうひとつ口に入れてから、求人サイトを探し始めた。
要さんとしょーちゃんも、飲みながらではあるが調べてくれている。
2
あなたにおすすめの小説
スルドの声(嚶鳴2) terceira homenagem
桜のはなびら
現代文学
何かを諦めて。
代わりに得たもの。
色部誉にとってそれは、『サンバ』という音楽で使用する打楽器、『スルド』だった。
大学進学を機に入ったサンバチーム『ソール・エ・エストレーラ』で、入会早々に大きな企画を成功させた誉。
かつて、心血を注ぎ、寝食を忘れて取り組んでいたバレエの世界では、一度たりとも届くことのなかった栄光。
どれだけの人に支えられていても。
コンクールの舞台上ではひとり。
ひとりで戦い、他者を押し退け、限られた席に座る。
そのような世界には適性のなかった誉は、サンバの世界で知ることになる。
誉は多くの人に支えられていることを。
多くの人が、誉のやろうとしている企画を助けに来てくれた。
成功を収めた企画の発起人という栄誉を手に入れた誉。
誉の周りには、新たに人が集まってくる。
それは、誉の世界を広げるはずだ。
広がる世界が、良いか悪いかはともかくとして。
スルドの声(共鳴) terceira esperança
桜のはなびら
現代文学
日々を楽しく生きる。
望にとって、それはなによりも大切なこと。
大げさな夢も、大それた目標も、無くたって人生の価値が下がるわけではない。
それでも、心の奥に燻る思いには気が付いていた。
向かうべき場所。
到着したい場所。
そこに向かって懸命に突き進んでいる者。
得るべきもの。
手に入れたいもの。
それに向かって必死に手を伸ばしている者。
全部自分の都合じゃん。
全部自分の欲得じゃん。
などと嘯いてはみても、やっぱりそういうひとたちの努力は美しかった。
そういう対象がある者が羨ましかった。
望みを持たない望が、望みを得ていく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スルドの声(共鳴2) terceira esperança
桜のはなびら
現代文学
何も持っていなかった。
夢も、目標も、目的も、志も。
柳沢望はそれで良いと思っていた。
人生は楽しむもの。
それは、何も持っていなくても、充分に得られるものだと思っていたし、事実楽しく生きてこられていた。
でも、熱中するものに出会ってしまった。
サンバで使う打楽器。
スルド。
重く低い音を打ち鳴らすその楽器が、望の日々に新たな彩りを与えた。
望は、かつて無かった、今は手元にある、やりたいことと、なんとなく見つけたなりたい自分。
それは、望みが持った初めての夢。
まだまだ小さな夢だけど、望はスルドと一緒に、その夢に向かってゆっくり歩き始めた。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
千紫万紅のパシスタ 累なる色編
桜のはなびら
キャラ文芸
文樹瑠衣(あやきるい)は、サンバチーム『ソール・エ・エストレーラ』の立ち上げメンバーのひとりを祖父に持ち、母の茉瑠(マル、サンバネームは「マルガ」)とともに、ダンサーとして幼い頃から活躍していた。
周囲からもてはやされていたこともあり、レベルの高いダンサーとしての自覚と自負と自信を持っていた瑠衣。
しかし成長するに従い、「子どもなのに上手」と言うその付加価値が薄れていくことを自覚し始め、大人になってしまえば単なる歴の長いダンサーのひとりとなってしまいそうな未来予想に焦りを覚えていた。
そこで、名実ともに特別な存在である、各チームに一人しか存在が許されていないトップダンサーの称号、「ハイーニャ・ダ・バテリア」を目指す。
二十歳になるまで残り六年を、ハイーニャになるための六年とし、ロードマップを計画した瑠衣。
いざ、その道を進み始めた瑠衣だったが......。
※表紙はaiで作成しています
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる