スルドの声(嚶鳴) terceira homenagem

桜のはなびら

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祷さんの提案

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 ブラジルでのエピソードからも見え隠れしているが、多彩な能力を高いレベルで有している人だなと思った。

 要さんのようないかにも「才媛」といった雰囲気ではなく、あくまでも表面上は穏やかで柔らかい雰囲気を纏っている。
 例えるなら、「うたやたいそうのおねえさん」といったイメージ。
 誰かに何かを教えるに能う能力を有しつつも、「やさしさ」「親しみやすさ」の要素を前面に出した属性。

 簡単に言えば、「接しやす」く、「頼り甲斐」があり、「懐きたい」気持ちにさせてくれる人だと思った。
 もっと簡単に言えば、「優しいお姉さん」。
 
 親しみやすく話しやすい祷さん。
 なので、私は特に気負うことも無く、本音を伝えていた。

 祷さんに会いたいと思った理由。
 知り合いでもないのに、こちらの一方的な都合で時間を作ってもらった理由。

 
 動画で祷さんを見かけたのは、祷さんを知ることとなるきっかけだ。

 話したいと思った理由は、スルドの演奏を華やかな演芸のように披露していたことに興味を持ったから。
 そして、その人が、通えそうなエスコーラを探していた時に見つけた、雰囲気の良いエスコーラに所属していると知ったから。

 動画やSNSで、同じ大学の学生であることがわかり、伝手を使ってでも会って話したいと思った主目的は、『ソルエス』のことを聴き、リアルな情報を得ながら、入会したいことを伝えられたらと思った。
 リアルな話を聴くことで気持ちが変わる可能性はあるが、そうはならないだろうという予感があった。

 祷さんは相変わらずにこにこ顔で、
 
「良いチームだよ。まだ歴の浅い私よりも語るにふさわしい人は多いと思うけど、その分客観視できる立場で言っても、メンバー同士の関係性が良好だと思う。
誉ちゃんが今までいたエスコーラも、大規模なのに新年会とかみんな仲良さそうだし、大規模でありながら個々もエネルギッシュで、さすが強豪チームって感じで素敵なチームだから、その辺の差で物足りなさは感じちゃうかもしれないけど」

 
 確かに、今までいたチームには「熱さ」があった。
 私個人の個性としては「熱い」タイプとは言い難いが、その熱量は嫌いではなかった。
 そこから離れるのは物寂しい気持ちはある。しかし、『ソルエス』が「熱く」無いとは思わないし、前のチームとは少し違う、でも同じく身を委ねたくなるような熱量はあるように感じていた。

 
「そんな風に思ってくれてるのは、メンバーとして嬉しいなぁ」

 
 私の思惑としては、祷さんからチームの実情なんかの情報を仕入れながら、入会の方法や担当の方の連絡先などが効けたら良いと思っていた。
 しかし祷さんは『ソルエス』内で人事系に携わっているわけではないのに、窓口と橋渡しを買って出てくれた。
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