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『幼馴染+ざぶとんいちぼ』『confusão』『スルド女子』
しおりを挟む(渡会 類 新沼 奈美)
『幼馴染+ざぶとんいちぼ』はエスコーラとしての出し物を除いたユニット物としては、ここで集まっているメンバー以外のユニットや、外部参加者のユニットの中でも、人数の多い構成だった。
自ずと賑やかなものになるのは想像に難くないが、なんせ内訳にるいぷるとにーながいる。なにをするにしても大騒ぎだが、笑いの絶えない練習となった。
通常のエンサイオでの練習はどちらかと言えばストイックな印象の『ソルエス』だ。練習は真剣に取り組んだ方が良いと思うが、こういう楽しい練習も悪くないなと思った。マレもすっかり馴染んだようで、ルイと一緒にアリスンと英語で会話してみたり、みことやるいぷると最近のミームの物まねして笑い合ったりしている。
ユニットダンスはバレエのテイストとロックダンスのテイストもフュージョンさせた優雅さから激しさへと移り行くコレオとなっている。マレのバレエの特徴の、内に秘めた熱を伝播させ観客を熱に包みこむような凄味ではなく、わかりやすく激しく爆発するダンスは、意外とマレのダンスとしては珍しい。マレの弾けるダンスに、負けずに多彩なリズムを踊るように打ち鳴らすのんちゃん。楽しそうな双子の共演は間違いなく観た者も楽しませることができるだろう。
パドドゥの練習も順調だ。緩急の緩を担う部分だ。後の激しさを際立たせるためにも、静謐な美しさと、その裡にある激情を表現できるよう細部まで作り込んだ。
私がバレエを辞めた頃から、既にマレは突出していたが、当時感じた鋭さはやや丸みを帯びていたものの、その分円熟味を増した深みのようなものが軸を支えていて、説得力というか、重厚感さえ感じられ、風格というものを醸し出せるようになっていた。
当時の私でももう届きそうもないレベルに至っている。
正直少し寂しく、とても誇らしかった。
そんなマレと、バレエを辞めた身の私が、マレの手を放してしまった私が、余興とは言え一緒にバレエができる。
(マレにがっかりされたくないな……!)
バレエを辞めて三年になる。全盛期だったとしても今のマレには届きそうもないというのに、取り返しのつかないブランクがあるのだ。
これはちょっと尋常ではないレベルの努力が必要かもしれない。
自主練と、場合によってはワークショップにも通って、マレのペアに足るレベルまで仕上げなくてはならない。
「ん!」秘かに気合を入れこぶしを握っていたら、隣にいたマレに気付かれて、「どうしたの?」と不思議そうな顔をされてしまった。
『confusão』にはマレは出ない。サンバを知らないマレが、観て一緒に楽しめるような演目を目指す。
私たちを知っている人たちからすれば、慣れないパートに四苦八苦している様子を楽しんでもらうというのも主旨のひとつだ。しかし、外部参加を募り、オープンでお客様を呼ぶイベントだ。余興的であったとしても内輪ノリで外部の人が楽しめないなんてのはあってはならない。パフォーマンスとしてきちんと成立させていなくては。
コレオも私が作る。いのり、アリスン、がんちゃんのレベル感と個性も見極めて、全員に見どころがあるような構成にしたい。
歌うのんちゃんもちょっと目立たせよう。のんちゃんのパフォーマンスもマレに観てもらいたい。
おまけ的なユニットだが、がんちゃんといのり、私、のんの4人のスルド奏者による『スルド女子』が、開演を伝えるオープニングのパフォーマンスを務めることになっている。
サンバには『Esquenta』と呼ばれる、パレード前などに演奏するお決まりのフレーズや短い曲の演奏があるが、このイベントに於けるEsquentaを私たちが担う。この言葉は直訳すると「加熱する」「火をつける」といった意味合いになる。
若手且つ新人のスルド4人が、会場を点火するのだ。
参加数は計四つ。これはこれで時間がいくらあっても足りそうもない。
状況によっては、授業中も使って構成を考えよう。
忙しいし大変だし、成功する保証も何ひとつないけど、みんなで準備し、練習し、挑むことは、楽しいと思えた。
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