スルドの声(嚶鳴) terceira homenagem

桜のはなびら

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相変わらず過保護だった要さん

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 要さんが私を呼んだくせに、私に過保護だった。
 飲み会の少し前に集合して、私に極意を仕込んでくれた。それは、素敵な彼氏を獲得する手練手管ではなく、ダメ男に引っかからないようにするための心得だった。


「『ふたりで抜けよ』みたいなこと言う奴いたら、全力で断んのよ!」

「え、格好良くてもですか?」

「むしろダメよそんな奴! よく考えて。大前提初対面だからね? で、今日はみんなで楽しく飲んだり騒いだりするために集まってるんだよね? そこで仲良くなって、付き合うみたいなのは全然アリだよ。そのステップとして、連絡先交換も、まあ良しとしましょう。でも、今その場を抜けようなんて下心でしかないし、『みんなで楽しむ』って主旨も違えてる。大規模なサークルの新歓くらい何十人もいるならともかく、五対五くらいの人数でふたり消えたら人数二割減だし、みんなも気づくし、純粋に楽しく盛り上がるって空気に水を差すじゃない。そんな即物的な欲の塊且つ自己中な奴と、この先があるとも先を作りたいとも思わないでしょ?」

「たしかに……」

「こっちにもそういう思惑あんならまあ、お互いさまってことでも良いんだろうけど、色部は違うでしょ? 違うよね? そんな子じゃないよねぇ⁉︎」

「は、はいっ、もちろんそうです! そんなげすやろう願い下げです!」

 
 会場でも、要さんは常に私の近くにいてくれて、お酒を飲んでいない素面の私を、既に『Three ducks』に勤めていたもののまだお酒に飲み慣れていると言うほどアルコールに強いわけでもない要さんは、ほろ酔い状態を集中力でキープしながらわたしを気にかけてくれていた。

 
 それほど心配ならなぜ呼んだのだろうという疑問はあった。

 要さんによれば、私のひとり暮らしの経緯を知っていたこともあって、あまり深く考えず楽しむ場をつくりたかった。
 そこでいい出会いがあればそれに越したことはない。その人が要の大学生活を彩ってくれるような相手なら最高だし、そうでなくても全員年上ではあるが男女問わず新生活早々に友だちが増えるのは良いことだ。

 また、別の切り口として、私自身にもこんごの大学生活の中で似たような場に呼ばれる機会は何度もあるだろうから、立ち居振る舞い方や注意事項など、自分の目に届く範囲でプラクティスさせておきたいという思いもあったのだという。

 ひとつひとつ、理に適っていると思う。それを理解したうえでありがたいという想いと、それを加味したうえで、やっぱり「過保護だなぁ」という想いを持った。
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