スルドの声(嚶鳴) terceira homenagem

桜のはなびら

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『幼馴染+ざぶとんいちぼ』実演

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(望 希 誉)

 ストリート系の衣装に身を包んだ六人。
 ダンスユニットの風格はしっかり出ていると思う。

 とはいえ序盤は全員で踊るわけではない。
 舞台には楽器奏者四名が板付きでスタンバっている。
 それを舞台袖で控えて見ているのは踊る私たちふたり。


 いのりがカバキーニョをかき鳴らす。
 会場は歓声と指笛で応えてくれた。

 
 間もなく出番だ。傍らのマレと目配せをした。
 


 バレエから逃げて。

 サンバと出会って。

 それでもダンスは避けてきた私が。

 また、踊ることになるなんて。

 しかも、バレエを取り入れたコレオを。
 バレエの世界に居続けているマレと一緒に。

 
 後悔も蟠りも、一旦は棚上げだ。
 今はとにかく目の前の演目に集中! 思いっきり楽しんで踊るのが、私が抱えている後悔の先にあるものたちへの礼儀だろう。

 
「マレ、行こう!」

 
 がんちゃんとのんちゃんがスルドでリズムを打ち始めたタイミングで、私がマレの手を取りステージ入りする。
 そのままステージの真ん中へと行き観客へ向かって一礼。

 
 旋律もリズムも早くなる。

 
 音に合わせ、「ステージ」を縦横無尽に使いながら、バレエのデュエットを軸にしたペアダンスを踊る。

 バレエの優雅さは損なわない。
 ラフな衣装とのギャップが、狙い通りの演出となっていれば良いが。


 スルドの音が止まる。カバキーニョが語って聴かせるかのようなじっくりとしたメロディを奏で始めた。


 私とマレは見つめ合い、アダージョでマレの優雅さを際立たせる。


 スルドの演奏が再開し、にわかに曲調が早くなる。

 コーダで難易度の高い技を出しながら、終わりに向かう。
 最後はアラベスクリフトで決める。

 本来パドドゥは男女のペアでやるものだ。今回はわたしが男性役をやる。

 マレの美しいアラベスクを私は高く持ち上げる。マレは軽い。筋力は何とか大丈夫だが、呼吸が整わない。

 この後すぐに群舞が始まる。
 はーはー言いながらポジションに着いた。

 群舞は音源を用い、にーなが中心となりるいぷると一緒に作った、バレエとロックダンスのテイストを取り入れたコレオで踊る。

 スルドのがんちゃんとのんちゃん、カバキーニョのいのりもこのパートはダンサーだ。

 それぞれポジションについて、全員下を向いたポーズで固まる。

 DJの操作で激しい曲調の楽曲が会場に流れた。
「フォーっ!」甲高い嬌声を上げながらるいぷるとにーなが、あたまの上で手を鳴らしながらリズムに乗った躍動感たっぷりのダンスで登場した。

 呼応するように待機組も動き始める。

 ロックダンスの激しさに、バレエの優雅さを取り入れたコレオは、リズムに乗りにくくて難しい。
 バレエの挙動は流れるように動くので、一音一音に嵌めていく動きがやりにくい。

 創作者のニーナとるいぷる、バレエ経験者の私とマレは比較的スムーズに習得できたが、そもそもダンサーでもないいのり、がんちゃん、のんちゃんは油断するとちぐはぐになってしまいそうな箇所を必死に修正していた。
 その練習の賜物か、目の端に入る三人の動きにずれは無さそうだ。

 群舞は揃えてこそ美しい。
 特にバレエのテイストを取り入れたところは見せ場のひとつだ。
 激しい箇所との緩急が強く体力的にかなりきついが、辛そうな表情すら厳禁。最後は全員びしっと揃えて終わることができた。
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