スルドの声(嚶鳴2) terceira homenagem

桜のはなびら

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積み上がる会話

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 初見で監督と関係性を構築できそうないのり。さすがだし、相変わらずすごい。
 そのすごさは、頭の良いいのりが監督の求める正解を当てにいっているわけではないというところ。冒頭の宣言通り、本音で語った結果が、監督に響いている。
 
 そして、
 
「私の目指すところにも直接繋がる取り組みでもあります。大いに利用させていただくつもりです」
 
 質問への回答には、笑顔で、自分の主張や想い、都合や欲の部分も付け加えていた。監督は、そういう芯の強さは好ましく思う傾向がある。監督はすでに、いのりのことを「侮れない存在」から、「見込みのある存在」に評価が変遷している頃だろう。一緒に仕事を重ねていくことで、それが「頼もしい存在」へと変わるはずだ。
 
「派生した話になってしまいますが、企画全体の枠組みの中で、アライアンスに関してご提案させていただけたらと……これは、小国さんにご相談させていただいた方が良いですね?」
 
「そうですね、ぜひ伺いたいです」と小国さんも穏やかに答える。
 
 監督がいる場で、打合せがこれほどに穏やかで和やかだったこと、今まで一度もなかったんじゃないかな。
 その空気を作り上げたのは、しょーちゃんや小国さんの助けもあっただろうが、間違いなくいのりの手によるものだった。
 
 
「それでは、具体的なことについて、説明していきますね」
 
 監督とのやり取りから解放されたいのりは疲れた様子もなく、発言する小国さんの方を向いている。
 監督といのりのやり取りを終えて、場の仕切りに戻ったしょーちゃんは、その立場を小国さんに回した。
 小国さんからは、企画の全体的な予定と、それに関わる動きについての説明がなされた。
 
「色部さんには追加シーンの撮影、主題歌の録音、MVの録画……あとこれは、どこまでリンクできるかまだ不明ですが、バラエティの出演。最低限番宣はさせてもらうことは確定していますが……と、当初予定になかった案件が重なってしまっていて申し訳ありません」
 
 大丈夫です。がんばります。と私。
 
「ほまれと一緒にやる予定だったチェック作業はある程度私がやりますので、可能でしたらその作業の負担は軽減してください」
「そう仰っていただけると助かります。色部さんはそれでもよろしいでしょうか?」
「あ、はい。でもちょっとやりたい気持ちもあって……」
「うんうん、もちろんほまれにも入ってもらいたい。ノータッチだと二重チェックの形にならないからね。なので、ほまれにはできるだけ参加してもらいたいけど、ほまれにしかできない案件を優先してもらって、カバーしきれない部分があったら、私が補うって形でどうかな」
 
 それは非常にありがたく心強い申し出だったが、ちょっと聞いただけでも、いのりが同時進行で進めている数多のタスク。私の比じゃないくらい忙しいように見受けられるが……。
 
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