スルドの声(嚶鳴2) terceira homenagem

桜のはなびら

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 そんな私と小国さんの様子を、妃夜さんが見ていた。
 
「ふぅん……?」
 
 ? なんだろうか。
「なぁに?」妃夜さんに尋ねてみても、「ううん、なんでもない。小国さん、進めて?」と、話を進められてしまった。
 
 話してくれた小国さんと。
 その後の妃夜さんの不思議なリアクションに気を取られていた私は、小国さんが爽やかで優し気に説明をしてくれている様子を、穏やかな笑みを湛えたまま、その目の奥から見定めるような視線を送っていたいのりには気が付かなかった。

 
 小国さんからは、現在決まっていることと今後のスケジュールについての話。
 もともと低予算という話だったが、起用予定のクリエイターのことは私でも知っていた。
 ボカロの配信で有名になったいわゆる「P」だから、著名な作曲家ほどは高くないのかもしれないけれど、私が名前を知っているくらいの有名人なら、決して安くはないと思うがどうなのだろう。
 たまに有名なクリエイターでも、条件と状況次第でお友達価格で安く受けてくれることもある。
 先日私がプロデューサー的な立場で実施したイベントでも、参加してくれたDJは、界隈ではそれなりに名前が通っていたらしいが、ほぼ手弁当だった。フットワークが軽そうな配信者であれば、意外と思うほどには高くないのかも。
 
「へぇ」
 
 妃夜さんの表情はあまり変わらない。
 でも、興味は持っているように見えた。金額の多寡はわからないが、クリエイターの実力は作品を通して知ることができる。
 サンプルとして流されているいくつかの楽曲は、どれも聴いたことがある作品だったし、好ましいと思えるものだった。
 それに、穏やかで落ち着いた曲調なのに、少し不安定で焦燥感があって、掠れたような雰囲気のメロディは、妃夜さんにも、美宝にもよく合うと思った。

 
 この曲に、私がスルドの音を加えるのか。


 ある種企画ものだから、ライブの機会がどの程度あるのかはわからないが、リリース直後は多少あるだろう。そういう場では生バンドに加わってスルドを演奏することになる。
 
 緊張するし、随分と思ってもいないところまで来てしまったなぁとも思うが、面白そうだという思いが強かった。

 バラエティに出るとかは成り行きだしちょっと珍しい体験できるかなくらいのモチベーションはあるが、妃夜さんの歌唱と一緒にJ-POPの楽曲で演奏するというのは、積極的に参加させてもらいたいとまで思えるくらいだった。
 
 作詞は私と妃夜さんで、映と美宝の想いや感情を意識しながら書いて欲しいと言われた。責任重大だが正直少し面白そう。プロの作詞家が監修してくれるから安心だ。受けたいと思う。
 作曲はクリエイターに委ねられているが、サンバのリズムは踏襲してもらうようオーダーするそうだ。
 
「へええええ、面白そう!」
 
 こういう取り組みが大好物ないのりは目を輝かせた。
 
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