1 / 11
幼女、気が付く
しおりを挟む
え…?は…?
わたしは自分の身体をぺたぺた触ってみる。
胸は、ペタン、腕や脚は細くてまだ小さい。
真っ白で貧弱な身体は、まるで子供だ。
え、…子供?
私は大急ぎで近くにあった鏡に駆け寄る。
木製の枠に綺麗な彫刻が施された、美しい鏡だ。
そこには可愛らしい姿をした、五歳くらいの少女が立っていた。
大きな瞳、きれいな眉、すっと通った鼻筋。
形の整った唇。美しい輪郭…、真っ白な肌。
髪はふんわりとした色素の薄い金髪だ。
「鏡よ、鏡、世界で一番美しいのはだあれ?」
この姿だったらこう呟いても鏡が答えてくれそうなほど美しい。
鏡も白雪姫に出てきそうな高そうな鏡。
本当に答えてくれそうだ。
「もちろん一番美しいのはあなたです。」
そう後ろからかけられた声にびっくりして飛び上がる。
振り返ると白雪姫にも嫉妬されそうな美しい少年がドアの前に立っていた。
「ユリウスお兄様!!」
わたしは走ってユリウスお兄様に抱きついた。
そう、わたしはこの人を知っている。
さっき気が付いた筈なのに、何故か知っているのだ。
五歳まで過ごした記憶がしっかりと脳に刻まれていた。
「ふふ。こんなところで白雪姫ごっこでもしてたの?」
からかうように笑いながらお兄様が聞いてくる。
そんな表情もとても綺麗だ。
「ちがうの!だって…べつに…」
真っ赤になった顔を隠すためにお兄様の服に顔をうずめながらどうにかこうにか弁解しようとするけどなにも思い付かない。
事実だったし…。
「全然弁解になってないけど?」
ユリウスお兄様はさらに口調に笑いを含めながら尋ねてくる。
恥ずかしさで顔がさらに赤くなった。
お兄様のばか!
そう思いながら上目遣いでお兄様を盗み見ると、ニヤニヤしているお兄様と目があった。
「~!!違うったら違うもん!!お兄様なんてもう嫌い!!」
わたしは恥ずかしさで咄嗟にそう叫んでお兄様から離れると、同じ階の自分の部屋に走って鍵を閉めた。
お兄様のばかばかばか!察してくれたっていいのに…!!
?
自分のよくわからない感情、状況に、一回息をついて考える。
今のわたしは、エミリー・キャロライン・セシリア・サマーセット…。
くそ長い名前だ。
サマーセット家ヘレフォード子爵の長女、らしい。
今までの記憶がそう言っている。
ユリウスお兄様という呼び方も、さっきの態度も今までに何度もあったかのような違和感無く出てきた反応だった。
…実際に何回もあったみたい。
エミリーにとってお兄様は、安心して我が儘を言える、大事な人なのだ。
…待って、ユリウスお兄様…?サマーセット家…?ヘレフォード子爵……?
なんだか聞いたことあるような…。
まさか…そんな、ね…。
気のせいだろう。
「ねえ、おねえさま、なにしてるの?鍵あけてよ。」
そんなことを考えていると、ドアの外から声がかけられた。
「メアリー…。今開けるわ。」
ドアの外にいたのはエミリーを少し幼くしたような負けず劣らずの美しい少女だった。
妹だ。
私は自分の認識が揺らいでいくようなショックを感じた。
彼女は。
メアリー・キャロライン・アン・サマセット。
サマセット家の次女。
これで明らかになった。
ここは異世界で、前世にプレイしたことのある乙女ゲーム、「天界の街」の世界だと。
わたしは自分の身体をぺたぺた触ってみる。
胸は、ペタン、腕や脚は細くてまだ小さい。
真っ白で貧弱な身体は、まるで子供だ。
え、…子供?
私は大急ぎで近くにあった鏡に駆け寄る。
木製の枠に綺麗な彫刻が施された、美しい鏡だ。
そこには可愛らしい姿をした、五歳くらいの少女が立っていた。
大きな瞳、きれいな眉、すっと通った鼻筋。
形の整った唇。美しい輪郭…、真っ白な肌。
髪はふんわりとした色素の薄い金髪だ。
「鏡よ、鏡、世界で一番美しいのはだあれ?」
この姿だったらこう呟いても鏡が答えてくれそうなほど美しい。
鏡も白雪姫に出てきそうな高そうな鏡。
本当に答えてくれそうだ。
「もちろん一番美しいのはあなたです。」
そう後ろからかけられた声にびっくりして飛び上がる。
振り返ると白雪姫にも嫉妬されそうな美しい少年がドアの前に立っていた。
「ユリウスお兄様!!」
わたしは走ってユリウスお兄様に抱きついた。
そう、わたしはこの人を知っている。
さっき気が付いた筈なのに、何故か知っているのだ。
五歳まで過ごした記憶がしっかりと脳に刻まれていた。
「ふふ。こんなところで白雪姫ごっこでもしてたの?」
からかうように笑いながらお兄様が聞いてくる。
そんな表情もとても綺麗だ。
「ちがうの!だって…べつに…」
真っ赤になった顔を隠すためにお兄様の服に顔をうずめながらどうにかこうにか弁解しようとするけどなにも思い付かない。
事実だったし…。
「全然弁解になってないけど?」
ユリウスお兄様はさらに口調に笑いを含めながら尋ねてくる。
恥ずかしさで顔がさらに赤くなった。
お兄様のばか!
そう思いながら上目遣いでお兄様を盗み見ると、ニヤニヤしているお兄様と目があった。
「~!!違うったら違うもん!!お兄様なんてもう嫌い!!」
わたしは恥ずかしさで咄嗟にそう叫んでお兄様から離れると、同じ階の自分の部屋に走って鍵を閉めた。
お兄様のばかばかばか!察してくれたっていいのに…!!
?
自分のよくわからない感情、状況に、一回息をついて考える。
今のわたしは、エミリー・キャロライン・セシリア・サマーセット…。
くそ長い名前だ。
サマーセット家ヘレフォード子爵の長女、らしい。
今までの記憶がそう言っている。
ユリウスお兄様という呼び方も、さっきの態度も今までに何度もあったかのような違和感無く出てきた反応だった。
…実際に何回もあったみたい。
エミリーにとってお兄様は、安心して我が儘を言える、大事な人なのだ。
…待って、ユリウスお兄様…?サマーセット家…?ヘレフォード子爵……?
なんだか聞いたことあるような…。
まさか…そんな、ね…。
気のせいだろう。
「ねえ、おねえさま、なにしてるの?鍵あけてよ。」
そんなことを考えていると、ドアの外から声がかけられた。
「メアリー…。今開けるわ。」
ドアの外にいたのはエミリーを少し幼くしたような負けず劣らずの美しい少女だった。
妹だ。
私は自分の認識が揺らいでいくようなショックを感じた。
彼女は。
メアリー・キャロライン・アン・サマセット。
サマセット家の次女。
これで明らかになった。
ここは異世界で、前世にプレイしたことのある乙女ゲーム、「天界の街」の世界だと。
0
あなたにおすすめの小説
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します
みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが……
余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。
皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。
作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨
あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。
やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。
この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
この世界に転生したらいろんな人に溺愛されちゃいました!
キムチ鍋
恋愛
前世は不慮の事故で死んだ(主人公)公爵令嬢ニコ・オリヴィアは最近前世の記憶を思い出す。
だが彼女は人生を楽しむことができなっかたので今世は幸せな人生を送ることを決意する。
「前世は不慮の事故で死んだのだから今世は楽しんで幸せな人生を送るぞ!」
そこからいろいろな人に愛されていく。
作者のキムチ鍋です!
不定期で投稿していきます‼️
19時投稿です‼️
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
お堅い公爵様に求婚されたら、溺愛生活が始まりました
群青みどり
恋愛
国に死ぬまで搾取される聖女になるのが嫌で実力を隠していたアイリスは、周囲から無能だと虐げられてきた。
どれだけ酷い目に遭おうが強い精神力で乗り越えてきたアイリスの安らぎの時間は、若き公爵のセピアが神殿に訪れた時だった。
そんなある日、セピアが敵と対峙した時にたまたま近くにいたアイリスは巻き込まれて怪我を負い、気絶してしまう。目が覚めると、顔に傷痕が残ってしまったということで、セピアと婚約を結ばれていた!
「どうか怪我を負わせた責任をとって君と結婚させてほしい」
こんな怪我、聖女の力ですぐ治せるけれど……本物の聖女だとバレたくない!
このまま正体バレして国に搾取される人生を送るか、他の方法を探して婚約破棄をするか。
婚約破棄に向けて悩むアイリスだったが、罪悪感から求婚してきたはずのセピアの溺愛っぷりがすごくて⁉︎
「ずっと、どうやってこの神殿から君を攫おうかと考えていた」
麗しの公爵様は、今日も聖女にしか見せない笑顔を浮かべる──
※タイトル変更しました
折角転生したのに、婚約者が好きすぎて困ります!
たぬきち25番
恋愛
ある日私は乙女ゲームのヒロインのライバル令嬢キャメロンとして転生していた。
なんと私は最推しのディラン王子の婚約者として転生したのだ!!
幸せすぎる~~~♡
たとえ振られる運命だとしてもディラン様の笑顔のためにライバル令嬢頑張ります!!
※主人公は婚約者が好きすぎる残念女子です。
※気分転換に笑って頂けたら嬉しく思います。
短めのお話なので毎日更新
※糖度高めなので胸やけにご注意下さい。
※少しだけ塩分も含まれる箇所がございます。
《大変イチャイチャラブラブしてます!! 激甘、溺愛です!! お気を付け下さい!!》
※他サイト様にも公開始めました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる