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こんにちは?新しい世界

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 パタパタ…パタパタ…
私の頭上に白いモフモフに黒ブチのカワイイ物体が浮かんでいた。
(あの~、大丈夫ですか~?)
辺りを見回すけど当然私しかいない。
(私に話しかけてるのよね?)
(そうです~。貴女様にお声かけてますね~。)
ですよねー。これはもう確定ね、お迎えが来たのね
(取り敢えず確認したいのだけど、私はもう死んでるって事でいいのかしら?)
(はい、そうなります~)
(ならあなたは何者かしら?随分可愛らしいモフモフちゃんだけど?)
(モフモフちゃんって…僕はクリルってちゃんとした名前がありますぅ~)
と目の前のクリルと名乗るモフモフは両手足をブンブン振りながら訴えた。カワイイ。
(ゴメンゴメン。ならクリル、あなたはなんの為に私の前に現れたのかしら?)
(あっ、コホン、失礼しました~。改めまして、僕は使い魔であるクリルと申します~。僕の主より貴女様をお連れするように命じられて来ました~。)
使い魔……主……
……なんだろう、心なしかその言葉を聞くと内心ワクワクしてる自分がいるわね。
そういうのも、私は仕事帰りが遅い事もあり、最近深夜アニメを見る機会が多いいのだ。特に昨今のアニメトレンドに異世界転生関連が多数あり、なかなか面白い内容もある。
しかし、いざいきなりトンデモ展開の真っ只中に自分がいて、追いつかない内容もある…ただこのまま何も進まないのも事実だから、
(わかったわ。それならあなたの言う主って人?にあってみようかしら。)
(わかりました。では僕の近くに寄って下さい~。)
(はいはーい)
ピョンっとクリルの近くに言われた通り寄ってこれから何をするのかワクワクしながら見ていた。
(では行きますね~。転移【ゲート】!)
その瞬間、足元から魔法陣らしきものが出現し、瞬く間に光り出した。
私は思わず目を閉じて光から目を避けた。

二人はその場から消えて、静寂がその場を流れた



……

………

「到着しました~。」
クリルの声に反応して、私は目を開けた。目がなれるまで時間はかからなかった。
周りをよく見るとけむり?に覆われてる。上を見上げるとそこには青い空が見えていた。
「日中かしら?結構明るい場所には出たみたいだけど…」
「初めてここに来る反応にしては随分落ち着いとるようじゃのう」
「そうね~、あまり不安がないのあるせいか…しら?」
クリルの声じゃないとわかり直ぐ声がした方視線を向けた。うっすら影が見える。
「あ~、主様~連れてきましたよ~。」
とクリルがそっちに近づいて行った。
「お使いお疲れ様じゃ。あとはワシが相手するから他の作業に戻って良いぞ」
「わかりました~。」
と言ってフワフワと何処かえ行ってしまった。
「よくぞ来てくれたのう。もし断っていたら半ば強制連行しようかと思っていたぞ」
とファッファッファッと笑うおじいさんが姿を見せた。
「ど、どうも~(背高っ!)」
いざ対面すると、思いの外背の高い白髪、白ひげのおじいさんが綾女の前に現れた。
「さて、立ち話をするわけにもいかんから、中で要件を話そうかのう~」
と言い、指をパチンと鳴らした。
「っ!?」
急に景色が変わった。先程のぼんやりした風景からいつの間にか何処かの部屋の中にいた。
「驚かしてすまんのう、ここはワシの部屋じゃ。ささ、そこの椅子に座るがよい。」
言われるがままに椅子へ座った。辺りを見回すが、特に目立つものは見当たらない。
「ホッホッホッ。さて自己紹介しようと思ったが…取り敢えずワシのことは神さまとでも読んでもらってもいいかのう?」
随分フランクな神さまも居るものね~、と思う綾女。
「解りました。それでしたら、神さま。2つほど質問します。まずは私はもう死んでる事でいいんでしょうか?」
「そうじゃの」
「2つ目です。もしかしてですけど、異世界なんかに行けちゃったりしたりみたいな事なんか…あったりします?」
「なんじゃお前さん、もう聞いておったのかい?ワシは今からお主に今後の事について話す上でその事も話そうかとでも思ってたんじゃが?」
オー、マジデスカー。
「い、いえいえ。実は生前にそういうお話みたいなのを観た事ありまして…」
「ふうむ、そっちの世界にはそんなものがあるのじゃな。なら単刀直入に話すとするかのう。」
「工藤 綾女よ。お主は不幸により死んでしまった。ただ死んでしまっただけならワシが関与するつもりはなかったのじゃが…お主、魔力を持っているようなのじゃ。」
「……はい?」
魔力?なんの事?魔の力?
「不思議そうな顔しとるの。無理もない。実はの、地球で生まれた人間の中には稀に魔力を持った者が産まれる事があるのじゃよ。」
「魔力とは魔法やスキルというものを使うのに必要なエネルギーなのじゃが…」
「つまりそれって私は魔法が使えたって事かしら!」
ぐいっと神さまに顔を近づけて興奮してる私。
「落ち着くのじゃ。魔力を持ってても、地球では魔法が使えんのじゃ。地球にはの、魔素がないのじゃよ。」
「魔素?」
私が観てたアニメには無かった言葉ね。
「魔素とはの。読んで字の如く、魔力を使う為の自然のエネルギーなのじゃ。じゃが、地球にはそもそもなくてのう」
「ふむふむ」
「じゃから、ワシは魔力を持った人間が亡くなった時、その者を本来の世界に転移もしくは転生させて新しい人生を送ってもらおうとしてるのじゃよ。」
「なら今回は私がその魔力持ちの人間だから対応してるって事になるのかしら?」
「そういうことじゃ。理解したかのう?」
なるほどねぇ…と手を口に当てて考える。
「因みに転移と転生させて新しい生活って言ったけど、何か違うのかしら?」
「そうじゃのここらへんも説明しとかないといけないのう。」
そう言って神さまは机の中から2枚の紙を出して私にくれた。
「まずは転移の方からの説明じゃ。転移はのう、容姿はそのままで向こうの世界で生活するのがメインになる。目的は全くないのじゃ。自分で見つけてもらう」
「転生は?」
「転生はじゃのう、赤ん坊として生まれ変わり、ある目的の為に生きてもらう事にはなるんじゃ。」
「なんか転生は意味深な事ありそうね。その目的って何かしら?」
「…魔王の討伐じゃ」
……んん?魔王?
「はい、はーい、神さま質問増えました~。なんか転生だけ人生ハードモードだと思うのですが。これだと圧倒的に転移の方がお得な気がするんですけどどうなんでしょーか?」
「まぁ、言いたい事はわかる。だからじゃのう、そこで転移転生ボーナスを分けて設けてるのじゃ。」
「なるほどねぇ~。でどんな感じかしら?」
「転移ボーナスは1つ願いを、転生ボーナスにはなんと3つ願いを与えるのじゃよ。すごいじゃろ。」
なんだろう、転生はオトクですよー的な言い回しに聞こえるわね…
「うーんちょっと色々考えさせられるわね~。」
と言うけど、実際はもう転移の方を考えてる私。魔王倒すのなんてド○○エじゃないの。
「因みに過去に私と同じ事になった人ってどんな願いをしたのか参考までに聞いても大丈夫かしら?」
「そうじゃのう~、確か前の者は転移を希望し、願いは若くて強靭な肉体が欲しいと言ってたのう~。」
「若くて強靭な肉体…?」
若くてって事はその人はここに来たときには老いた体の人だったのかしら?
「ということはその方は歳を老いた方が来たのかしら?」
「そうじゃのう、こんな見た目のワシが言うのはあれじゃが、なかなか老いた人間じゃったな、あの男は。それに正義感も強い厳格な者でもあったのう。」
「そっか~、ありがとうございます。」
前の人も強靭な肉体を願ったわりには転生ではなく転移希望ならやっぱり魔王なんて嫌よね~
「……決めたわ。私は転移を希望するわ。」
「そうか。なら転移をすることでよいのじゃな?」
「うん」
そう言って頷いた。
「なら最後に願いを1つ与えるのじゃが、どんな事を願いにするかの?」
そうね~、願いを1つか~…その世界に行って、もし不慮の事故ですぐ死ぬのも嫌だし…
「不老不死とかにしてもらえたらいいなぁ~、なんて。」
「ん、それでよいのじゃな?ならそれで受理するぞい。」
「それは無理よね~…って、えっ?」
ちょっと冗談混じりで言ったんだけど、マジ?
「あい。これで願いは決まりじゃ。後は向こうの世界で楽しむがよい。」
神さまがそう言った瞬間私の体が光だした。
「あっ、ちょっとまっ…!」
「楽しんでのう~」
神さまは手を振るのを見たの最後に目の前が真っ暗になった。
「あっ、そうじゃ最後に向こうに着いたときプレゼント用意してあるというのを言い忘れしまったのう。まぁ、大丈夫じゃろ。」
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