兄様達の愛が止まりません!

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他国からの嵐…

緊急事態

『あの時立ち寄った…星祭の村でみた光景と同じ夜空だと思うけど、でも…なんか違う…。』
『うん、そうだよね…』

二人でそっと近づきあい、手を繋ぎながら声を掛け合う。
今目の前に見えている不思議な光景を…目の前の二人を一緒に見つめて…。

訊こえてくる目の前の二人がしている会話が少し…いやだいぶと…何と言うか…。
説明しにくい部分がとにかく多いのです。
それに、エル兄様の手が少し震えている…。

私はそっと力を込めてみた。
私も不安な気持ちが強い。ですが、今までの経験上エル兄様の不安に思ってしまう気持ちもよく理解できるのです。
エル兄様は自分よりも周りの事を気にして守ろうとされるから…。
自己犠牲も…。

そして、エル兄様を取り巻く家族の…周囲の不安や悲しみは…。
ですから、私が…。

そう思いながら、目の前の情報を聞き漏らさないように必死で耳を傾ける。

聞き取りにくい部分もありますが…。
「ザザザザ」「ザーザー」と言った音が混じった感じで…。

それ以上に不安なキーワードも多いようです。
気のせいなら良いのですが、そうではない…。

ボソボソと呟くような小声話している二人の表情は堅く怖いのも問題だと思うし…。

そんな感じですが、とにかくエル兄様と二人で耳を澄まし、訊き取ったところを繋ぎ合わせて行く。

繋げた会話の全部を要約すると…。

二人と出会ったあの村の川向こうの村に村があるようです。
その村が魔物の襲撃にあったのだとか…。

その魔物は、灰色オオカミの姿に尻尾が蛇だとか…。
『スネークウルフ』と呼ばれる魔物で、従来は森の奥深くや岩場に生息している魔物で、実際には見た事はありませんが、屋敷に置かれた本や学園で置かれている本で見たことがあります。

エル兄様は「僕は見た事はないが…。」と呟かれてますが…。

そのようなかなり危険で獰猛な魔物に襲われたと…。
エル兄様の成した結界は徐々に周囲に影響を及ぼして、かなり安全な地域が広がって来ていると報告は受けています。人々の悪感情やその他で淀み澱みが発生してしまうのは不可抗力で、見つけ次第対策は講じているのですが…。

その事は後々の課題として…。

とにかく、その魔物に村が壊滅的打撃を受けている時、白装束の集団が現れたみたいです。
少し嫌な気配を感じますが…。

その白装束の集団は、騎士と魔法が使える神官職。
彼らのおかげで村は何とか窮地を脱出したそうです。
ですが、その村に住んでいた若い夫婦の子供がその集団に連れ攫われた…。

村が襲われていた時、両親や村の大人達は村の中で仕事をしており、子供達は村近くの場所で、木の実や薬草採取の手伝いをしに行っていたらしいのです。

魔物があまり出てこないような比較的安全な場所では、子供達が手伝いとして出かける事は良くあると、以前屋敷の者達が教えてくれたから、そんな感じで出かけていたと思われます。

そんな時、村の異変を何らかの方法で察知した子供達は、急いで村に戻ろうとした。
その時、一人の子供が白装束の二人組に連れ攫われたとか…。

一緒にいた他の子供が助けようとしたが、無理だったようです。

村の大人達に助けを求めようと駆けて行き、村は…。
村を助けた集団は既に村を出た後で、村人達は復旧作業などをしていて、忙しそうに動き回っていたのだとか…。

連れ去られた子供の両親を見つけて、何とか説明。
「まさか…」と思われたみたいです。
それもそうでしょう。自分達を助けてくれた集団が自分の子供を連れ去るなど誰が思うのでしょうか…。

ですが、自分達の子供だけが戻ってこない事を心配して、慌ててその場所に探しに行った…。

現場には、子供の持ち物と思われる物が落ちていただけだった。
村人総出で探しに向かうも、残念ながら見つける事は出来なかった…。

数日後、嘆き悲しんでいる二人の前に、子供はひょこっと戻って来た。
多少のくたびれた感じは見受けられたが、大きな怪我などはなかった。
村人達も喜び、何処にいたのか、どうやって帰って来たのかを訊いたとか。

連れ攫われた子供は、大きな建物の中に閉じ込められていたらしいのです。
側には綺麗な女性とも思える男性の像が祀られていたとか…。

その場所は神殿のようだが、目の前に見えた像は村にある神様の像とは違って見えたらしいのです。
そしてよく見ると、その像の側にいつも拝めている神様の像もあった。ですが、神様の像よりも綺麗に祀られていて不思議だったのだとか…。

しばらくして、その綺麗な像の側から、像とよく似た人が現れて…。
その人物は『ヴォルクリーン』と名のり、精霊である事も告げて、不思議な力で助けてくれたと。
その精霊の指さす方向に光道が見えて、そのまま歩いて行くと村の入り口に帰れたとも言っていたらしいのです。

助かったのは良かったと思いましたが…。

もしかして…。
その懸念は残念ながら当たりのようです。
当たってほしくはなかったのに…。

目の前にいる二人は、『ヴォルクリーン』という名の精霊は、実はその子供の曽祖父だと言っていた。
精霊と人が恋に堕ちる事は稀にある。
実際にその人物にはお会いしたのだから…。
そして、お互いが強く願えば、神の祝福かはわからないが、子ができる事も知っている…。

目の前の二人の会話から、この『ヴォルクリーン』と名乗った精霊を手に入れるために、人族の妻との間に生まれた子供の子孫が、その怪しい集団に連れ去られたと言う事でした。
助けた後に、ヴォルクリーンは何らかの方法でその集団に捕らえられた。

子供は、ヴォルクリーンのおかげで無事母親の元に帰り保護されたのですが…。

ヴォルクリーンを手に入れた怪しい集団は、彼を何らかの方法で隷属させ…。

そう…彼を使ってあの樹の枝を手折り…。
これは予測ですが、その子供が捕えられていた場所の何処かに植えられたと思われます。

あの樹は特殊で特別な樹。
誰でもが簡単に手出しできないはずなのでし。
精霊王からいただいた樹が大元で、我が家で大きく育ち、精霊王の指示で精霊や妖精に手折ってもらいエル兄様の魔力と私の補助。それ以外の者達の協力で急成長させたのです。
主として頑張ったのはエル兄様。
世話は現地の妖精や精霊達に任せて…。

それに、あの樹自体が魔法陣の一角を担いながら、国全体…それ以上の場所に対して浄化作用を行う特殊なもの。
枝を奪われ、新たにエル兄様以外の力で成長させたとしたら…。
あの魔法陣の効果はどうなるのでしょうか?

もし、崩壊するようなら…。

それ以上の会話は訊き取れず、私の思考はぐるぐるです。
手から伝わるエル兄様のお考えも同様のようで…。
少し震えるエル兄様を抱きしめようと、繋いだ手の力を緩めようとした時…。

急にグゥィ~ンと身体が背後に引っ張られるようになり、視界が…
そして、私はガバッとベッドから起き上がった。

そう、私は今まで自分の部屋のベッドの中で…。
私は…。

「夢…ですが、あれは…。」

そう、あの場で触れたエル兄様は、間違いなく双子の兄だと思う。
そう言い切れる。
なぜと言われたら困るのですが…。

ベッドから降りてゆっくりと窓辺に向かう。
外はまだ薄暗い…。

「如何されましたか?」

そう声をかけられて、私はゆっくりと声がした方に振り向いた。
そこには心配そうな瞳で見つめてくる…私の侍女で、精霊でもある彼女がいて…。
そのあと、カチャっとドアが開く音がしたと思うと、マグオートが心配そうに入って来た。
マグオートは私の専属の護衛でもあるが男性であるから、眠りについている時は外で待機してくれている。
寝巻き姿のままでは良くないと、侍女に長く温かい羽織ものをかけてもらっているから…。

「大丈夫、少し夢を見ただけ…。」

そう笑顔で微笑んで見せる。
心配をかけるわけにはいかないから…。
でも、するべき事はしないといけない…。

精霊である侍女は常に側の個室でいるから私の動きを察知できるとして、雪豹の獣人である彼は、私の起き上がる気配や音で側に来てくれたんだろう。
常に私の事を心配してくれる素晴らしい護衛だ。

ちょっと休みをとって体を労って欲しいと心配してしまう事もあるけれど…。
まぁそこは、彼のパートナー…番である竜人族男性がね…。

「 我が主人あるじ、レイチェル様。私は貴方様の忠実な下部です。貴方様を守り憂いを晴らす者。盾にも剣にも、手足や耳にもなってみせます。どうぞ何なりとご命令ください。」

そう真剣に見つめてくれる瞳はとっても綺麗だ…。

「はい、わかっています。少し気になる夢を見ただけです。私のスキルかも知れないし、エル兄様のスキルが、双子であるせいでリンクして知り得たのかも知れないけれど…。」

侍女に窓辺近くに置かれたソファに腰を下ろすよう促されるが、私は今見た夢を忘れないように書き留めたいと彼らに伝える。

「レイチェル様。私が書き留めますので大丈夫です。さぁ…。」

そう言われてしまい、仕方なくソファに腰を下ろした。
侍女が直ぐに暖かいココアをいれて持って来てくれる。

暖かく甘い香りで、私の心は落ち着く…。
その温もりを堪能しながら、二人にに夢の内容を話していった。

彼はあえて聞き返す事もなく胸元からメモ帳を取り出し、以前私がプレゼントしたペンで書き留めていく。
器用に私を見つめながら書き留めていくんだから、凄いよね。
一度そのメモ帳を見せてもらったけれど、綺麗な文字が綴られていた。
暗号みたいな独特な文字も書かれていたりもしたけれどもね…。

最後まで話を訊いてくれたあと、メモの書き忘れがないか簡単に確認はされたけれど、しっかりと書き留められていた。

「この件は、是が非でも侯爵様にもご報告した方がよろしいかと。」
「うん、私もそう思うの。」

「ですが、まだお時間的にお早いかと。もう少し休まれた方がよろしいと思いますよ。」
「そうです。今はまだ時間的に起きて行動されるにはお早いかと。もう少しお休みになってからでも遅くありませんので…。」

そう言うと、ベッドに連れて行かれて…。

「さぁ、眠って下さい。」

そう言われて、瞼の上に手をかざされて…。
私はそのまま夢の世界に溶け込んでいったのです…。

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