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異世界に転生したら

我が家と王族の関係

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そんなほのぼのとした毎日の中、すくすくと大きく育ちました。

1歳の時28歳の自分を自覚して、ついつい、人間ウォッチングをしてしまった。

だって1歳だよ、スムーズに動けるわけがないでしょ。
する事ないし……
兄や父親、母親に可愛がられながら、あらゆる情報を吸収し、整理する。

でも、時々体の年齢に精神年齢が引っ張られるのは仕方がない。
気がつけばお昼寝など、ついウトウトしてしまっていた。

小さい時は行動範囲が狭く、あまり気にはしていなかったが、成長するにつれ、行動範囲が広くなり、自分のいる現場に驚いた。
部屋に置いてある家具はシンプルだが、素材がよく、お金持ち???なんて思っていた。
侍女がいて、執事がいるのだから……父や母、兄の服装も昔の西洋風だが、生地が良さそうで………
だから、庭に出た時や、城下町に出た時、自分の家がお城みたいに大きな屋敷とは想像してなかった。

思わず口を開けて見てしまう。
側から見たら、おのぼりさんに見えただろう。

父や母に抱き上げられて、お城に行く時も何度かあった。
お城の周りのは騎士達が絶えず守っており、城の政治的中枢は各大臣たちが務めている。
母に抱かれて王族居住区に連れて行かれた時には、『母、何者??』なんて思ってしまった。

国王や王妃、皇太子などが寛ぐ中、優雅にお茶を飲みながら私をあやしてくる母。

「姉上の娘は相変わらず可愛らしいですね。」
そう国王が声をかけてくる。

「ほら、叔父ちゃんが抱っこしてあげよう。」

そう言って姉である母から奪い取るように抱き上げた。
頬ずりされるも、お髭が当たってチクチクする……
余りにも痛いから、引っ張ってみた。痛くない程度に…

ニヤニヤ笑う国王。
そんな姿をみて、母は苦笑いしていた。

「もう!アデルったら!私とカリムの娘だから、可愛いのは当たり前でしょ。あげないわよ!」
「お姉様、私も抱いて良いですか?」
「僕……いや、私も抱いてみたい。」

王妃と皇太子がソワソワしながら母に懇願している。

「もちろんいいわよ。」
国王であり、実の弟であるアデルから私を受け取ると、義理の妹である王妃に抱き渡す。
皇太子も母親である王妃に支えられながら抱っこした。

「本当に可愛い。僕のお嫁さんに欲しいけど、駄目なら実の妹のように可愛がるよ。良いでしょ?」
「そうね、お嫁さんは難しいかもしれないけど、妹のように可愛がってね。」

そう言って、母にとって甥っ子である皇太子に笑顔で答えていた。

私の父と母は恋愛結婚らしい。
身分違いと言われたらしいけど、母がどうしても……と押しかけて、結婚したとか。
だから、皇太子の婚約者としては身分的にも、母親の時とは違いかなり難しいだろう……という事か…まぁ、お兄ちゃんになってくれるのは嬉しいかも。

私の両親や兄達はかなり美形だ。勿論王族の方々もだが、美形を堪能できるのは嬉しいかもしれない。
それに、この世界は魔法だなんだと存在しているし、女性騎士もいたから、私の将来は……ふふっ、楽しみだ。

にこ~っと笑顔をになりながら、未来に夢をはせていると

「笑った。可愛い。絶対に僕が護ってあげるからね。」

もう「私」ではなく「僕」になっているよ。本人気づいてないね……
従兄弟である皇太子もキラキラ未来イケメン笑顔で笑っている。

まぁ、いっか。自分の小さな手で皇太子の手をきゅって握る。

「あらあら、ラフィもお願いねって言ってるみたいね。」

そう言いながら、和やかな時間が過ぎていく。
そうこうしてると時間が来たのか、父が迎えに来た。
国王に臣下の礼をもってサロンに入ってきる。

「ここでは、親族なのだから、硬くならなくて良いですよ兄さん。」
「嫌々、恐れ多いです。アデル殿下。」
「では、カリム殿。近衛騎士団団長の方が良いかな?」

ニヤリと笑う国王。

「もう、私の夫を虐めないで!!」

国王の背中をバンと叩く母。

「姉上、痛いですよ……」
「アデルが悪い。もう、ここはプライベート空間なんだから!」

そう言って笑っている母は強いと思う。
つられて、みんなが笑顔になった。

「それじゃ、またね」
そう言って後にした。

この国の権力者図を垣間見たようだ……
まぁ、国が平和だということにしておこう。
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