もふもふの世界に落っこちて、気がついたら離してくれなくなった件

もふもふの世界へ

落ちてきた……

「グエッ」

急に何かが寝ていた自分の背中に落ちた。
綺麗な月夜の桜を双子の弟と見ていて、ついつい寝てしまっていた。
肌寒かったから、獣に変じて……

「大丈夫か？カエル踏み潰した様な声が出てたが……」

ガナードが声をかけてきた。
背中には何やら柔らかい物が乗っている。しかもいい匂いだ……

「ガナード、俺の上に何が乗ってる？柔らかくて、いい匂いなんだが……」

黒豹の姿の俺の上に、黒い物体は見えるのだが、さっきまでの月が雲に隠れて見えにくい……
そうこうしていたら、雲がのき、月の光で姿が見えた……

「クロードの背中に変わった服装の女性が！？しかも黒髪だ……」
「女性！？」

思わず立ち上がろうとしたが、上に乗っている女性が落ちそうになったため、やめた。
代わりにガナードが、白豹から人に戻った。
元の姿に戻る時、魔力を使ったから、裸になる事はない。きちんと服を出現させて着こなしている。

この世界の住民は変身能力があり、一種類だけ獣に変身できる、いわゆる獣人の世界だ。
変身できる獣は父親と同じ物となるが、毛色は変わる。
能力や魔力量などは母親と父親の能力を割合は色々だが引き継ぐ。
よって、例えば父親が『豹』母親が『鷲』なら、子供は『豹』となる
そんな感じだ……

それはさて置き、一体どこから落ちてきた？

過去に同様な感じで落ちてきた女性は、確か異世界からの人だったと聞く。
しょっちゅう現れるのではなく、時々……ほぼ伝承にあるぐらいだったが…
ただ、共通する事は、まず、女性で、黒髪、黒い瞳、勿論、睫毛も黒だ。
肌はしっとりとした象牙色と………
となると……

「「異世界から……」」

思わず、二人でハモってしまった。
気を失っている女性は寒いのか身震いしている。
早く暖かいところに……

そう思い、ガナードを背に乗せ、女性を支える様に言う。そして、邸宅まで走った。

「ガナード、落とすなよ！！」
「分かっているから、もっと早く走っても大丈夫だよ」
「了解！！」

そう言って、加速した。
とにかく急ごう！！