番になんてなりたくない!

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怪しい気配

出かけてみて…

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馬にまたがり、伐採地の近くまで行く。
緑豊かな土地に、大きな湖が見える。

「クロさん」
「あぁ、見張りは6人だな。まくか?」
「穏便にしたいから、シロさんよろしく」
「ウィル、私も行くよ!」
「危ないかもしれないよ?」
「大丈夫。て言うか、ウィルの方が危ないかも……」
「???」

4人で馬上でそう話しながら、シロさんに魔法展開をしてもらう。
数人の部下は密かに現地に行かせている。
さて、やるか……
現在4人がこの場所でのほほんと過ごしているように見張りに見せるよう幻を出現させ、私たち4人はこの場を離れた。

クロさんを先頭に馬をかけさせ、目的地に……
現地を見て、なんとも言えない気持ちになる。
なんの計画性もなく、爆然と切り倒して行ったであろう伐採地の現状。

「何も考えてないね。あるもの全てを切り倒していったって感じか?」
「そのようですね」


部下の者が姿を現し、クロさんさんに報告している。
私とリリィはなんとの言えない表情で現地を見ていた。

「これだと、この地で生活していた動物達が里に降りて被害をもたらすのも仕方ないね」
「動物だけじゃなく、多分、昆虫やその他にも影響があるだろうね。それらにより流行病が昆虫や動物を介して人里に、その他にも蔓延したんだろう……」
「そうだろうね……自業自得なんだろうけど、国民を守る義務が有る者としては、ほっとけない」

「ウィル、隔離されている場所がわかった。行くか?」
「勿論」

そう言って、部下に案内されながら、その場所に行く。
高い塀に囲まれた場所。
入り口には数人の兵士が居るが………明かに顔色が悪い。
それは、遠目で見てもわかるぐらいに、体調が悪そうだ。
塀にもたれかかっている者、地べたに座り込んでいる者もいた。

口元を布で覆い、側に行こうとしたら、シロさんに魔法陣で閉じ込められた。

「主人達はここでお待ちを。見てきますね」

そう言うと、シロさんが兵士に近づき、そのまま入り口から中に入って確認してきた。

「シロさん ~~~~」
「ふふっ、危険な場所には行かせられませんよ。中はかなり緊迫していますね。食糧も薬もかなりなくなっている様子です。症状は体力のない者が先に危険な状態に陥っているみたいですね。症状からして、今持ってきている物は少しは症状を押さえれそうですが、根本的な治療にはどうか……でも、持ってきた薬草をさらに追加して調合しなおせばいけそうです」
「えぇ、ですから、私はここに残り治療にかかろうと思います。」
「じゃあ、私も残るわ」
「リリィ?」
「シロさんの手伝いは私なら出来るから。ウィルは支援物資とか、その他をよろしく」
「でも……」
「ウィル。頼んだわよ!!」

そう言うと、リリィはシロさんについて入って行った。

「ウィル、私達は私達の出来る事をしましょう。ご指示を!」
「あっ……そうだね……」

一瞬戸惑ったが、即座に指示を出す。
部下の2人はここに待機。リリィやシロさんからの伝達や補助及び、不測の事態の時に対応できるようにだ。
もう2人にはシロさんがクロさんに渡したメモの薬草を追加入手し、運ぶよう指示。
もう2人には食糧の運び込みを支持。もう1人には私がクロランス領主邸戻るため、父や兄達に現状報告を兼ねた書状を渡すよう支持した。

この5人はかなりの優秀な部下だから、安心しておける。
クロさんやシロさんいわく、『殿下達がたらし込んだ犬』と言うが、決してたらし込んでないからな!!しかも『犬』はないだろうと思う……

「クロさん、行こう!!」

そう言って、領主邸に戻る。
シロさんの魔術はたぶんもううまく霧散しているだろう。
邸宅に戻り、リリィは疲れて休んでいることにし、私はクロさんと領主の相手をした。
彼の父親である前領主に会いたいと打診し、現在療養中だがと渋られたが、明後日会えることとなった。
それまでにも、やることはある。さてと、頑張りますか……
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