番になんてなりたくない!

文字の大きさ
55 / 220
怪しい気配

次を探して

しおりを挟む
クロさんに叩き起こしてもらってからは、あの夢は見なかった。
あんな未来はごめんだ。
もともとモブで、いろんなフラグを抱えている。
少しでも逃れたくて、そしてこの国の役に立つように頑張ってきてるのだから……

気になるのはあの山。
いつかあそこから来られたら、ひとたまりもない。
誰も来るとは思ってないのだから……
その考えでは、やがて窮地に陥る。

とは言え、何も資金がなければどうしようもないのも事実。
塩の事業が上手くいけば良いが……
いや、上手く活かせるさ。

うん、大丈夫。

起きて、クロさんにお世話され、リリィと共に朝食をいただく。
決して豪華ではないけれど、それでも準備してくれただけでありがたかった。
作物があまり取れてない現状で、もてなしてくれているのだから…

「ウィル、今日はどうするの?」
「そうだなぁ~~温泉探索したいんだけどね。後、知り合いの商人とかいないかなぁ。もしくは、商売上手な人。」
「クロさんの知り合いとか……いそうだけど……」

リリィがクロさんに話題をふる。

「商人か?いない事もないが……」

クロさんが何か考えている。
昔の知人か何かか?
気になる……

「いるの?私の知ってる人?知らない人?」
「知らないと言えば……知らないだろうし、知っていると言えば知っているか…」
「はっきりしないね。」
「少し癖があるからなぁ……まぁ、ウィルやリリィの事興味持っているやつだから……」
「誰!?」
「連絡はしておく。来るか来ないかは奴次第だ。あまり期待するなよ。」
「クロさんがそう言うなら、大丈夫だね。」

そう話しながら、食事を終え、温泉探しに行くことにした。




ある程度準備して、馬で進む。
自分で馬に乗れるのに、今日はクロさんと同乗だ。
昨晩の夢の影響か?
少し心配しすぎのようにも思えたが、今は子供だから、まぁいっかと考えた。
意外と単純思考である。

「悪魔の水とか、霧とか言われてるんだよね、ここ。」
「悪魔の水とか、怖いね。」
「卵が腐ったみたいな匂いがするんだ。で、一部物凄く熱すぎる水が湧き出て、時に高く立ち上り、霧状にあたりがなるとか……」
「本当、少し臭いね。やっぱり、硫黄?」
「多分ね。で、源泉は何処なんだろうな。シロさん、わかる?」

予定地について、馬から降ろしてもらう。
馬って、背が高いだろ?まぁ、低いのもいるけどね。
で、子供だから、自分で降りるのはダメだと怒られた。

やっぱり、過保護だ!!

シロさんが地面に触れながら、何かを探っている。
探索魔法を使っている時のシロさん。
少し光ってて綺麗だと思うよ。
余談だけど……
本人に言ったら怒られそうだ……

光が消えて、シロさんが立ち上がる。

「どう?」
「そうですね。かなり高熱の液体を感じます。多分ウィルやリリィが言っている源泉かと。それから少し離れた場所で、少し温度が下がっているところがありますよ。」
「本当?そこ行きたい。」
「わかりました。そうそう、多分、ウィルやリリィが言っている間欠泉ですか?それらしき物が吹き出している所も見つけました。」

「やった。そうしたら、温泉作れるね。源泉は見学のみの観光名所にして……」
「通称、地獄温泉ですか?昔の日本の温泉を思い出すね。」
「地獄めぐりかな?」
「そうそう」

リリィと2人で盛り上がる。
イメージはできてる。
きちんと見つけて、整備して、温泉をうたい文句に観光地。
地熱もあるだろうから、それを利用して、温室栽培もどきだ。
そうすれば、この地も少し潤う。
そして、山の雪解け水を引いて、土地を潤し、雪解け水を確保するときに、この山々の頂上になんとか防壁か要塞もどきを作れば、侵略にも備えられるんじゃないかなぁ…

今、どうにか塩を作っているから、クロさんの紹介で販売ルートを確保して……

「ウィル、楽しそうだね。」
「そうだね。全てが上手く行ったら良いんだけどね。最悪パターンも考慮して進めていこうと思うよ。」
「そうだね。そのパターンも考えとかないと、いざと言う時困るものね。」

そう話しながら、シロさんの後をついて行った。
良い方向に進みますように。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜

COCO
BL
「ミミルがいないの……?」 涙目でそうつぶやいた僕を見て、 騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。 前世は政治家の家に生まれたけど、 愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。 最後はストーカーの担任に殺された。 でも今世では…… 「ルカは、僕らの宝物だよ」 目を覚ました僕は、 最強の父と美しい母に全力で愛されていた。 全員190cm超えの“男しかいない世界”で、 小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。 魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは── 「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」 これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。

シナリオ回避失敗して投獄された悪役令息は隊長様に抱かれました

無味無臭(不定期更新)
BL
悪役令嬢の道連れで従兄弟だった僕まで投獄されることになった。 前世持ちだが結局役に立たなかった。 そもそもシナリオに抗うなど無理なことだったのだ。 そんなことを思いながら収監された牢屋で眠りについた。 目を覚ますと僕は見知らぬ人に抱かれていた。 …あれ? 僕に風俗墜ちシナリオありましたっけ?

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

処理中です...