番になんてなりたくない!

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新たな影

味方?

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そうだ、この拘束具は、神の贄として捧げるものに使われていた。
贄に暴れられたら困るからと…
それ以外にも、使われていたと記載されていたが、思い出せない。
まぁ、相手を意のままに動かせるためだろう…

これでは、あの時に、身体を乗っ取られたのと変わらない…
冗談ではない…


ソファーに座らされている間、自分達の意のままだとの認識か、部屋に1人残された。
部屋の外には、見張りの者の気配がするが…

しばらくして、廊下の方が騒がしく感じた。
何事だろうか…
助けが来たのか、それとも…
自分の意のままに動かない身体を不甲斐なく思う…

「そこを開けなさい!」
「しかしそれは…」
「少しお会いするだけです。それとも、何か隠し事でもあるのですか?」
「………」

ドアの方から声が聞こえる。
仲間内の言い争いか?

そうこうしていたら、ドアが勢いよく開けられ、1人の聖職者と護衛騎士のような者が入ってきた。
もう1人護衛がいるようだが、その者は、ドアの向こう側に立っていた。
この部屋に入ってこないようにするための監視か?

聖職者は、銀色のストレートな長い髪を背後に流し、白い生地に金糸と銀糸で刺繍を施したものを身に纏っていた。
上位のものか…
そして、側のものは、どう見ても、聖騎士の衣装だ。

「殿下、初めてお会いいたします。私、マティウス・アルームと申します。」

アルーム?アルームと言えば、過去に皇族から聖職者になられた者の姓だったか?

「我がアムール家は、数世代前、皇族から聖職者となった者の家系です。それよりも、何と言う事を!このような物を付けるとは!!直ぐに外しますね」

そう言って、付けられた装具を呪文を唱えて解除してくれた。
そっと外され、ほっとする。

「殿下、誠に申し訳ございません。このような事になっていようとは…女神からの啓示をいただき、急ぎ馳せ参じましたが、お身体は大丈夫ですか?あぁ、こんな場所が赤くなって、直ぐに癒しますね。少し暖かく感じられると思いますが、大丈夫ですから」

そう言うと、癒しの魔法をかけられたのか、装具を付けられ、皮膚が赤くなっているであろう場所がほんのりと温かく感じ、いつしか痛みも消えた。

「ありがとう。助かったよ」
「殿下、礼などいりません。こちらが悪いのですから…ですが、さきにお詫びしないといけないのですが、もうしばらくこの部屋にいていただかないといけません。本当は、直ぐにでもお助けしたいのですが…申し訳ありません」

そう言って、頭を下げられた。
まるで女性のような姿のマティウスに、哀しそうに頭を下げられて、何とも言えない気持ちになる。

「殿下はお気づきかもしれませんが、教団内に不穏分子がおりまして…お恥ずかしいです。これを機に排除する事に致しました。亡国アルバスの教団とまさか手を組もうとは…」
「アルバス国の教団?」
「はい。以前問題視された例の事件。殿下も何度か巻き込まれたようですが、あれは亡国アルバスの教団が関わっていたようです。今は詳しくはご説明できませんが…」

そう言うと、『少しだけお待ち下さい』と断りを入れ、護衛の者に何か指示を出していた。

味方のようだが、どうなるのだろうか……
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