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第一話序章
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異世界転移・・・。それはラノベやアニメだけの話だと思っていた。
ーーそう、あの日までは・・・。
「お兄ちゃんっ!そろそろ出ないと遅刻するよ?」
玄関でそう叫ぶのは妹の『小鳥遊ほのか』だ。
僕の名前は『小鳥遊太一』、普通の高校に通う16歳だ。
ちなみに僕は4月、ほのかは3月生まれのため学年は一緒である。
2年前、事故で両親が他界し、親戚に二人バラバラに預けられそうになったのだが、ほのかが頑なに拒否したため両親の残してくれた遺産で二人暮らしをしている。
あの時のことは鮮明に覚えている。
葬式を終え、数日後のこと。遠い親せきだというおじさんとおばさんが訪ねてきた。
葬式で顔は見たものの今まで一度も話したことのない人だ。
「大きくなったな。太一とほのかは覚えてないかもしれないが」
「そうね・・・あの時はまだ二人とも赤ちゃんだったものね」
「・・・・・・」
ほのかは黙って俯いている。
「先日はろくに挨拶もできなくてすみませんでした」
僕は二人に頭を下げた。
「いや、しかたないさ。君たちはまだ幼いのにあんなことになったのだから」
「はい・・・。それで今日は何のご用でしょうか?」
とりあえず二人がわざわざ訪問してきた理由を尋ねてみることにした。
「うん、あんなことがあってまだ間もないんだけど、君たちはこれからのことをどう考えているかい?」
「えっと・・・」
正直まだ何も考えていなかった。
「二人はまだ子どもだろう?君たちに残された選択肢は2つしかない」
「・・・・・・」
ほのかはまだ俯いたままだ。
「はあ・・・」
「一つは児童養護施設に入ること。どこの施設に入るかや、二人一緒に入れるかは分からない」
「そうですね」
「もう一つは私と、そこの加奈子さんが君たちを引き取り養子になること」
「え・・・?」
「私なら多少の蓄えはあるから太一を大学まで入れてやることができる」
すると、加奈子さんも口を開いた。
「そうね。うちも家計は厳しいけどほのかちゃんだけならなんとか育てていけると思うわ」
そこで僕は一つ気になったことを訊ねてみる。
「えっと・・・それって、ほのかとは離れ離れになるってことですか?」
「っ!?」
ここで初めてほのかが表情を変えた。
「そう・・・なるね。すまない、私も加奈子さんも君たち二人ともを養えるほどの余裕はないんだよ」
「ごめんなさい・・・」
二人ともが申し訳なさそうに頭を下げた。
「いえっ!頭を上げてください。ほとんど関わりのなかった僕達を引取って養ってくれるだけでもありがたいことなんですから!」
そうだ。ほのかと離れ離れになったとしても養子になれば将来大学まで進学してほのかは幸せになれるのだから。
「どうだろうか?」
おじさんがそう尋ねてきたので、僕が返事をするため口を開こうとしたときだった。
「おーー」
お願いしますと言おうとした瞬間。
「絶対にいやです!!」
それまで二人に挨拶すらしなかったほのかがいきなり叫んだのだ。
「ほのかちゃん!?」
「ほのか?」
二人とも突然のほのかの態度に驚いていた。
「ほのか、加奈子さんの養子になればきちんと大学まで進学して将来幸せになれるんだよ?」
僕はそうほのかに説明する。
「ええ・・・そうよ。贅沢はさせてあげられないけれど普通の生活は約束するわ」
「お兄ちゃんのいない幸せなんて絶対絶対ありえないです!お兄ちゃんと離れるくらいなら私は中卒の方がマシなのです!」
「ほのかちゃん・・・」
「帰ってください!ここは私とお兄ちゃんの家なのです!」
「いや、しかし・・・」
おじさんと加奈子さんはどうしたらいいか戸惑っていた。
「パパとママとお別れして・・・その上私からお兄ちゃんまで取り上げるというのですか!!」
ほのかが涙を流してそう叫びながらテーブルを叩いた。
ほのかがこんなに興奮してしかも暴力を振るったところはこれが初めてだった。
「あの・・・、僕たち二人で生活するのはダメでしょうか」
僕はダメ元で訊ねてみた。
「え!?」
「なんだって?」
「父さんたちが残してくれたお金でなんとか高校に通えるだけの費用はありそうなんです。それで、高校に入学したらバイトしてなんとか卒業まで生活できると思うんで
す」
先日、弁護士さんが来て相続の説明を受けた時にざっと計算はしていた。
「いや、でもなぁ・・・」
「そうね・・・」
二人は悩んでいた。
「お願いします!!僕もほのかと離れるのはイヤです!どうか」
僕は二人に向かって土下座をする。
「お兄ちゃん・・・」
「太一!?」
「太一くん!?」
そして少しの間の後、おじさんが口を開いた。
「わかったよ。君たち二人は戸籍上は私の養子にしよう。二人は養えないからこのままここで暮らしなさい。少しだが生活費も仕送りしよう」
「私も少しだけど援助させてちょうだいね」
「「ありがとうございます!」」
僕とほのかは口を揃えてお礼を言った。
こうして僕とほのか、兄妹二人だけの生活が始まったのだ。
ーーそう、あの日までは・・・。
「お兄ちゃんっ!そろそろ出ないと遅刻するよ?」
玄関でそう叫ぶのは妹の『小鳥遊ほのか』だ。
僕の名前は『小鳥遊太一』、普通の高校に通う16歳だ。
ちなみに僕は4月、ほのかは3月生まれのため学年は一緒である。
2年前、事故で両親が他界し、親戚に二人バラバラに預けられそうになったのだが、ほのかが頑なに拒否したため両親の残してくれた遺産で二人暮らしをしている。
あの時のことは鮮明に覚えている。
葬式を終え、数日後のこと。遠い親せきだというおじさんとおばさんが訪ねてきた。
葬式で顔は見たものの今まで一度も話したことのない人だ。
「大きくなったな。太一とほのかは覚えてないかもしれないが」
「そうね・・・あの時はまだ二人とも赤ちゃんだったものね」
「・・・・・・」
ほのかは黙って俯いている。
「先日はろくに挨拶もできなくてすみませんでした」
僕は二人に頭を下げた。
「いや、しかたないさ。君たちはまだ幼いのにあんなことになったのだから」
「はい・・・。それで今日は何のご用でしょうか?」
とりあえず二人がわざわざ訪問してきた理由を尋ねてみることにした。
「うん、あんなことがあってまだ間もないんだけど、君たちはこれからのことをどう考えているかい?」
「えっと・・・」
正直まだ何も考えていなかった。
「二人はまだ子どもだろう?君たちに残された選択肢は2つしかない」
「・・・・・・」
ほのかはまだ俯いたままだ。
「はあ・・・」
「一つは児童養護施設に入ること。どこの施設に入るかや、二人一緒に入れるかは分からない」
「そうですね」
「もう一つは私と、そこの加奈子さんが君たちを引き取り養子になること」
「え・・・?」
「私なら多少の蓄えはあるから太一を大学まで入れてやることができる」
すると、加奈子さんも口を開いた。
「そうね。うちも家計は厳しいけどほのかちゃんだけならなんとか育てていけると思うわ」
そこで僕は一つ気になったことを訊ねてみる。
「えっと・・・それって、ほのかとは離れ離れになるってことですか?」
「っ!?」
ここで初めてほのかが表情を変えた。
「そう・・・なるね。すまない、私も加奈子さんも君たち二人ともを養えるほどの余裕はないんだよ」
「ごめんなさい・・・」
二人ともが申し訳なさそうに頭を下げた。
「いえっ!頭を上げてください。ほとんど関わりのなかった僕達を引取って養ってくれるだけでもありがたいことなんですから!」
そうだ。ほのかと離れ離れになったとしても養子になれば将来大学まで進学してほのかは幸せになれるのだから。
「どうだろうか?」
おじさんがそう尋ねてきたので、僕が返事をするため口を開こうとしたときだった。
「おーー」
お願いしますと言おうとした瞬間。
「絶対にいやです!!」
それまで二人に挨拶すらしなかったほのかがいきなり叫んだのだ。
「ほのかちゃん!?」
「ほのか?」
二人とも突然のほのかの態度に驚いていた。
「ほのか、加奈子さんの養子になればきちんと大学まで進学して将来幸せになれるんだよ?」
僕はそうほのかに説明する。
「ええ・・・そうよ。贅沢はさせてあげられないけれど普通の生活は約束するわ」
「お兄ちゃんのいない幸せなんて絶対絶対ありえないです!お兄ちゃんと離れるくらいなら私は中卒の方がマシなのです!」
「ほのかちゃん・・・」
「帰ってください!ここは私とお兄ちゃんの家なのです!」
「いや、しかし・・・」
おじさんと加奈子さんはどうしたらいいか戸惑っていた。
「パパとママとお別れして・・・その上私からお兄ちゃんまで取り上げるというのですか!!」
ほのかが涙を流してそう叫びながらテーブルを叩いた。
ほのかがこんなに興奮してしかも暴力を振るったところはこれが初めてだった。
「あの・・・、僕たち二人で生活するのはダメでしょうか」
僕はダメ元で訊ねてみた。
「え!?」
「なんだって?」
「父さんたちが残してくれたお金でなんとか高校に通えるだけの費用はありそうなんです。それで、高校に入学したらバイトしてなんとか卒業まで生活できると思うんで
す」
先日、弁護士さんが来て相続の説明を受けた時にざっと計算はしていた。
「いや、でもなぁ・・・」
「そうね・・・」
二人は悩んでいた。
「お願いします!!僕もほのかと離れるのはイヤです!どうか」
僕は二人に向かって土下座をする。
「お兄ちゃん・・・」
「太一!?」
「太一くん!?」
そして少しの間の後、おじさんが口を開いた。
「わかったよ。君たち二人は戸籍上は私の養子にしよう。二人は養えないからこのままここで暮らしなさい。少しだが生活費も仕送りしよう」
「私も少しだけど援助させてちょうだいね」
「「ありがとうございます!」」
僕とほのかは口を揃えてお礼を言った。
こうして僕とほのか、兄妹二人だけの生活が始まったのだ。
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