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第七話囚われの吸血鬼

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 その頃、アールスハイド王国ではーー。

「王様、ダンジョン内にて召喚者二名が亡くなったとのことです」

「うむ・・・。この事が国民に知られては動揺が広がってしまうな。今回の件は緘口令を敷くことにする」

「かしこまりました」

そして、ダンジョンでは訓練が続行されていた。

「遥輝!焦り過ぎだ!もっと敵をよく見ろ!」

エドガーが叫ぶ。

「だけど早く小鳥遊さんを助けに行かないと!」

「そうね。ほのかは絶対生きてるわ!」

(確かに小鳥遊妹の力はすごいが、あの高さから落下したのでは・・・)

エドガーは心の中でそう思っていた。

「遥輝!来るぞ!」

敵の集団が遥輝めがけて攻撃してきた。

「はあぁぁっ!断罪の聖剣!!」

遥輝が剣を振るうと敵を一掃した。

「すげえ・・・一撃かよ。パラディンハンパないな」

(小鳥遊さん・・・君は俺が必ず助けに行く!)

心の中でそう誓う遥輝なのであった。

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 ダンジョンを脱出した俺とほのかは荒野を歩いていた。

確か名前は『レヌール大峡谷』だったっけか。

ここを抜けるとラインハット王国だ。

そしてどこからか声が聞こえてきた。

「誰か~・・・助けてくださーい・・・」

「お兄ちゃん、助けを呼ぶ声がするのですよ」

「放っておけ。こんな魔物の巣窟で聞こえる声なんて罠に決まってる」

もしかしたら人に化けて誘い込むタイプの魔物かもしれない。

例え人間だとしても見ず知らずの他人を助ける義理など俺にはない。

「お兄ちゃん、見るだけ見てみるのですよ」

「わかったよ・・・」

ほのかがそう云うなら仕方ない。

恐る恐る声のする方へ向かう。

するとそこには両手足を鎖で繋がれた少女がいた。

「そこのあなた!お願いします、私を助けてください!」

「断る。俺たちは先を急ぐんだ。じゃあな」

「ちょ、待ってください!せめて話だけでもっ」

「お兄ちゃん、聞いてあげましょう?」

ほのかがそう云うなら仕方ないか。

「で、お前は一体何者で、何でそんなとこに囚われてるんだ?」

「私は吸血鬼族の長の娘でミリアといいます」

吸血鬼族とは魔族領に住む魔人の一種だ。

つまり、魔王側の種族である。

「その吸血鬼のお前がなんでこんなところに囚われてるだよ?怪しすぎるだろ。ほのか、行くぞ」

「・・・はいなのです」

俺たちがその場を離れようとした時、ミリアが叫んだ。

「お願いです、待ってください!私は騙されただけなんです!」

「騙されただと?」

「そうです。私が次の族長になるのを反対した人たちに騙されてここに封印されたんです」

「お兄ちゃん、話の続きを聞いてあげましょう」

「何があったんだ?」

そして、ミリアが事情を話し出した。

「私は真祖の吸血鬼なんです」

これは聞いたことのない単語だった。

「原初の吸血鬼ともいいます。16歳になったある日、突然覚醒したんです。通常の吸血鬼の寿命は300年ほどなんですけど、真祖になった私には寿命の概念がありません。一瞬で塵にされない限り身体は再生し続けるんです。魔力も他より優れ殺せない私を彼らここに退魔の鎖で封印したのです」

「ミリア、可哀想なのです」

確かに話を聞く限りミリアは何も悪くない。

「お願いです、助けてください!助けていただけるなら何でもします!」

ミリアが必死に懇願する。

「お兄ちゃん」

「しかたない、わかったよ。どうすればいい?」

「この鎖は強い魔力を込めないと壊せないのですが、誰かそんな強い魔力をもった大魔術師さんを連れてきてはいただけませんか?」

強い魔力・・・か。

とりあえず俺たちはステータスプレートを確認する。

名前 小鳥遊太一

職業 魔術師(精霊魔術師)

レベル95

体力23560

魔力158000

力23650

素早さ15700

スキル 迅雷・天歩・縮地・硬化・自動回復(中)・魔力自動回復(大)・錬成・異空間収納・咆哮・威嚇・挑発・解呪(極)・灼熱の息吹・状態異常無効化・操糸・毒攻撃(大)・破滅の邪眼・腐蝕攻撃

と表示される。

いつの間にか様々なスキルを手に入れていた。

ほのかの数値はというとーー。

名前 小鳥遊ほのか

職業 魔術師(属性:火、水、風、土)

体力16580

魔力43500

力6850

素早さ7690

スキル 迅雷・天歩・縮地・硬化・自動回復(中)・魔力自動回復(大)・錬成・異空間収納・咆哮・威嚇・挑発・解呪(極)・灼熱の息吹・状態異常無効化

と表示される。

俺よりスキルが少ないのは爬虫類系と虫系の魔物をほのかがどうしても食べなかったからだろう。

「俺の方が魔力が高いみたいだな」

「はいなのです」

「とりあえずやってみるか」

するとミリアが口を開く。

「えぇっ?あなたがやるんですか!?半端な魔力では鎖に魔力を吸われるだけですよ!」

「まあ、一か八かだ」

俺は鎖を強く握りしめる。

「はあああぁっ!!」

身体の魔力を吸われる感覚が襲う。

「お兄ちゃんっ!頑張ってなのです!」

「まだまだぁ!はあああっ!」

全力の魔力を込めた瞬間、鎖は粉々に砕け散った。

「はあ、はあ・・・」

「やったのです、お兄ちゃん!」 

「まさか・・・本当に破壊してしまうなんて・・・あなた達はいったい・・・」

とりあえず一休みすると、俺とほのかはここまでのことを説明した。

「・・・で、帰るために四賢者の作ったダンジョンを目指してるんだ」

「そうだったんですね・・・。よし!決めました!」

「何を決めたって?」

「私も太一さんとほのかさんの旅について行きます!」

「だが断る!」

「えぇ~っ!どうしてですか!」

「自分で言うのも何だが、俺とほのかは普通じゃない力を得て強くなった。はっきり云って足手まといだ。俺はほのかを守るだけで精一杯なんだ」

「大丈夫です!私だってこう見えて吸血鬼最強なんですよ?」

どう見てもそうは見えない。

「封印されてたじゃないか」

「あれは・・・騙されて油断してたので・・・」

ミリアが悲しそうな表情になると、ほのかが俺に声をかけた。

「お兄ちゃん、連れていきましょう。この世界に詳しいミリアがいた方がいいのですよ」

「・・・しょうがないな」

「ありがとうございます~っ!」

こうして(自称)吸血鬼族最強のミリアが仲間に加わった。

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