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第十四話再会
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☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
その頃・・・遥輝たちパーティーは迷宮攻略に臨んでいた。
「妙だな・・・」
「そうね・・・」
遥輝とさくらが呟いていた。
団長たち騎士団は三回層上の転移陣で待機していた。
「なんでこの階層だけ魔物が全然いないんだよ」
杉谷が云うとおり、ここ70階層には魔物が全くいないのだ。
「ん?あれは・・・」
遥輝が何かを見つけたのか、駆け出した。
「遥輝くん・・・これって・・・」
「ああ、魔物の血みたいだな」
このあたり一面に魔物の血が広がっていたのだ。
「俺たちの他にも迷宮攻略してるやつがいるみたいだ・・・」
そして次の階層に降りたところでそいつは遥輝たちを待ち構えていた。
「あんたらが異世界から召喚されたっていう戦士だね?」
遥輝たちに話しかけてきたのは頭に角が生えた女だった。
「誰だ!?」
遥輝が叫んだ。
「あたしは魔王軍幹部、シルビア」
「魔王軍!?なぜ魔族がこんなところにいる!?」
「そんなことは話す必要もないさね。あんたらはここで死ぬんだから!行きな、イクシオン!」
シルビアの前方に魔法陣が現れ、そこから一角獣の魔物が飛び出してきた。
そして、それは雷撃を放ってきた。
「土よ、大いなるその力をもって我らを守れ!アースウォール!」
土魔法の使い手の和泉美依がシールドで防いだ。
「神ノ宮流剣術参の型、新月!」
さくらが一角獣を一刀両断した。
「へぇ、なかなかやるじゃないか人間。それならこいつはどうだ?行きな、饕鉄!」
次に現れたのは全身が鉄の鎧のようなものでできたサイのような魔物だった。
「サンドバレット!」
美依が土弾を飛ばした。
しかし命中はしたものの全くの無傷だった。
サイが遥輝めがけて突進してくる。
「はあぁぁっ!」
それを遥輝は剣でなんとか抑え込んでいる。
「遥輝くん!今助けるわ!神ノ宮流剣術、八の型神月!」
しかし魔物には効かなかった。
そして、魔物は遥輝を突き飛ばし、さらにさくらを突き飛ばした。
「ぐはっ!!」
壁に激突したさくらの口からは血が吹き出した。
「神宮寺さん!」
そう云いながら駆け寄ったのはクラスメイトの三木辰彦だった。
「み、三木くん・・・あなたはこのことを団長に知らせてきて・・・」
「わ、わかった!」
そして三木は転移陣目指して走り出した。
「おっと、逃がすと思うかい?行きな、饕鉄!」
「・・・もって我らを守れ、アースウォール!させないよ!」
美依の妨害により三木は無事に行くことができた。
「来い!お前の相手は俺だ!」
遥輝がなんとか立ち上がりサイに向かう。
「空烈斬!」
遥輝が空を斬る斬撃で攻撃する。
サイの顔面に命中したがあまり深いダメージにはならないようだった。
「は、遥輝くん・・・」
それをさくらが眺めていた。
(このままじゃみんな殺されてしまう・・・まだ私、小鳥遊くんを助けれてないのに・・・)
「せめて小鳥遊くんにあの時のこと謝りたかったよ・・・」
さくらは出会った時のことをまだ謝れていないのだった。
「だったら後で聞かせてくれよ」
さくらの前に立ちそう云った人物を見てさくらは驚愕するのだった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ラインハットに戻った俺たちはギルドにやってきていた。
「まさかドラゴンを倒してしまうとはな・・・。いや、しかし助かったよ。ドラゴンを倒した報酬として君たちのランクを金に上げておいた。受け取り給え」
そう云われて受け取ったのは金色の冒険者プレートだった。
「そしてもう一つ頼みたいんだがいいだろうか?」
「まあ話は聞こうか」
とりあえず依頼内容を聞いてみることにした。
「アールスハイド南の祠にある壺を見てきて欲しいのだ」
「見てくるだけでいいのか?」
「ああ。壺の色を見てきて欲しい」
「まあ、それだけなら・・・。ちなみに報酬は?」
「金貨30枚出そう。その後の展開によってはさらに上乗せする」
「わかった。引き受けよう」
こうして俺たちは再びアールスハイドに向かうのだった。
「ところで太一さん」
バギーを走らせているとミリアが話しかけてきた。
「昨夜は一人でどこに行ってたんですか?」
昨夜は俺は町の外の草原で錬成を使いあるものを制作していたのだ。
「まだ内緒だ。使うときが来たら教えてやる」
「そんなこと云われたら気になるのですよ~」
そしてレヌール大峡谷を抜けてアールスハイドにやってきた。
「わー、久しぶりなのです」
「まさかまた戻ってくるハメになるとはな。あ、そうだ。アールスハイドのギルド長に渡してほしいって言われたものがあるんだったな」
俺たちはとりあえず冒険者ギルドに向かった。
「ふむ・・・。にわかには信じられないがまさか君たちがドラゴンを倒す程の冒険者とはな・・・。しかしアレンが嘘をつくとも思えない。何より3人とも金プレートだしな」
どうやら渡すよう頼まれた書物には冒険者ギルドにおいて俺たちに対して便宜を図るようにと書いてあったらしい。
すると、突然部屋に誰かが入ってきた。
「す、すみません!ギルド長!」
「どうした、そんなに慌てて。今は来客中だ」
入ってきたのはギルド職員だった。
そして職員がギルド長に駆け寄り何かを伝えていた。
「なんだと!?」
ギルド長が何やら驚いていた。
「何かあったのですか?」
ほのかが訊ねた。
「すまんが、金ランクの君たちを見込んで頼みがある」
「・・・何があった?」
「迷宮の下層で召喚者パーティーが魔族に襲われているとの報告が入った。その救出を頼みたい」
「さくらちゃん!?」
ギルド長の話を聞いてほのかが立ち上がる。
「ちっ、しかたないか・・・。クラスメイトなんか正直どうだっていいが神宮寺はほのかの親友だからな。急ぐぞ!」
「あ、ちょっと待て」
急いで飛び出そうとした俺たちをギルド長が止めた。
「なんだ?」
「迷宮入り口の右側に下層への転移陣を作ってあるらしい。襲われたのは71階層だ」
「わかった!」
そして俺たちは迷宮へ向かった。
「これが転移陣か。便利なもんがあるんだな」
「行きましょう、お兄ちゃん!」
転移陣を抜けるとそこには団長がいた。
「おお、小鳥遊妹!無事だったのか!」
俺には気づいていない様子だった。
「話は後だ!場所を教えろ」
「こっちだ!」
俺たちを案内したのはクラスメイトの三木だった。
「おい、三木!敵は何人だ!?」
「え?なんで俺の名前を・・・あんた誰だよ」
「小鳥遊だよ!」
「なっ!?マジかよ?完全に別人じゃないか・・・まあいいか。敵は一人だよ」
なんとたった一人の魔族に全滅させられそうになっているらしい。
そして目的地に到着すると、今まさに神宮寺がサイのような魔物に襲われそうになっていた。
「せめて小鳥遊くんにあの時のこと謝りたかったよ・・・」
神宮寺が呟いていた。
「だったら後で聞かせてくれよ」
俺がそう告げると神宮寺が驚きながら叫んだ。
「小鳥遊くん!?」
なぜか神宮寺はすぐに俺だとわかったようだ。
「豪腕!とりあえずこれを飲め」
左手でサイを抑えながら神水を渡した。
「ん、ん・・・。え?傷が治った・・・」
すると、魔族らしき女が何やら詠唱をしていた。
「・・・全てを焼き尽くせ。フレアバースト!」
女は遥輝たちめがけて魔法を放った。
「神宮寺!こいつを使え!」
俺は神宮寺に一振りの刀を渡し、遥輝たちのとこへ向かう。
「縮地!」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
小鳥遊くんが生きていてくれた・・・。そして、私を助けてくれた。
感動に浸りたいとこだけれど今はそんな場合ではない。
私は目を閉じ、精神を集中させた。
(小鳥遊くんがくれた刀・・・。これでみんなを守る・・・)
すると、こんな状況だというのに何故か心が落ち着いているように感じた。
(感じる・・・。あいつの鼓動が・・・。くる・・・)
私は目を閉じたまま、刀を構えた。
今ならできる気がした。
小さい頃一度だけ見せてもらった父の奥義を。
「神ノ宮流剣術奥義・・・天流乱星!」
その一撃は鉄でできたサイの魔物を縦に真っ二つにしたのだった。
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その頃・・・遥輝たちパーティーは迷宮攻略に臨んでいた。
「妙だな・・・」
「そうね・・・」
遥輝とさくらが呟いていた。
団長たち騎士団は三回層上の転移陣で待機していた。
「なんでこの階層だけ魔物が全然いないんだよ」
杉谷が云うとおり、ここ70階層には魔物が全くいないのだ。
「ん?あれは・・・」
遥輝が何かを見つけたのか、駆け出した。
「遥輝くん・・・これって・・・」
「ああ、魔物の血みたいだな」
このあたり一面に魔物の血が広がっていたのだ。
「俺たちの他にも迷宮攻略してるやつがいるみたいだ・・・」
そして次の階層に降りたところでそいつは遥輝たちを待ち構えていた。
「あんたらが異世界から召喚されたっていう戦士だね?」
遥輝たちに話しかけてきたのは頭に角が生えた女だった。
「誰だ!?」
遥輝が叫んだ。
「あたしは魔王軍幹部、シルビア」
「魔王軍!?なぜ魔族がこんなところにいる!?」
「そんなことは話す必要もないさね。あんたらはここで死ぬんだから!行きな、イクシオン!」
シルビアの前方に魔法陣が現れ、そこから一角獣の魔物が飛び出してきた。
そして、それは雷撃を放ってきた。
「土よ、大いなるその力をもって我らを守れ!アースウォール!」
土魔法の使い手の和泉美依がシールドで防いだ。
「神ノ宮流剣術参の型、新月!」
さくらが一角獣を一刀両断した。
「へぇ、なかなかやるじゃないか人間。それならこいつはどうだ?行きな、饕鉄!」
次に現れたのは全身が鉄の鎧のようなものでできたサイのような魔物だった。
「サンドバレット!」
美依が土弾を飛ばした。
しかし命中はしたものの全くの無傷だった。
サイが遥輝めがけて突進してくる。
「はあぁぁっ!」
それを遥輝は剣でなんとか抑え込んでいる。
「遥輝くん!今助けるわ!神ノ宮流剣術、八の型神月!」
しかし魔物には効かなかった。
そして、魔物は遥輝を突き飛ばし、さらにさくらを突き飛ばした。
「ぐはっ!!」
壁に激突したさくらの口からは血が吹き出した。
「神宮寺さん!」
そう云いながら駆け寄ったのはクラスメイトの三木辰彦だった。
「み、三木くん・・・あなたはこのことを団長に知らせてきて・・・」
「わ、わかった!」
そして三木は転移陣目指して走り出した。
「おっと、逃がすと思うかい?行きな、饕鉄!」
「・・・もって我らを守れ、アースウォール!させないよ!」
美依の妨害により三木は無事に行くことができた。
「来い!お前の相手は俺だ!」
遥輝がなんとか立ち上がりサイに向かう。
「空烈斬!」
遥輝が空を斬る斬撃で攻撃する。
サイの顔面に命中したがあまり深いダメージにはならないようだった。
「は、遥輝くん・・・」
それをさくらが眺めていた。
(このままじゃみんな殺されてしまう・・・まだ私、小鳥遊くんを助けれてないのに・・・)
「せめて小鳥遊くんにあの時のこと謝りたかったよ・・・」
さくらは出会った時のことをまだ謝れていないのだった。
「だったら後で聞かせてくれよ」
さくらの前に立ちそう云った人物を見てさくらは驚愕するのだった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ラインハットに戻った俺たちはギルドにやってきていた。
「まさかドラゴンを倒してしまうとはな・・・。いや、しかし助かったよ。ドラゴンを倒した報酬として君たちのランクを金に上げておいた。受け取り給え」
そう云われて受け取ったのは金色の冒険者プレートだった。
「そしてもう一つ頼みたいんだがいいだろうか?」
「まあ話は聞こうか」
とりあえず依頼内容を聞いてみることにした。
「アールスハイド南の祠にある壺を見てきて欲しいのだ」
「見てくるだけでいいのか?」
「ああ。壺の色を見てきて欲しい」
「まあ、それだけなら・・・。ちなみに報酬は?」
「金貨30枚出そう。その後の展開によってはさらに上乗せする」
「わかった。引き受けよう」
こうして俺たちは再びアールスハイドに向かうのだった。
「ところで太一さん」
バギーを走らせているとミリアが話しかけてきた。
「昨夜は一人でどこに行ってたんですか?」
昨夜は俺は町の外の草原で錬成を使いあるものを制作していたのだ。
「まだ内緒だ。使うときが来たら教えてやる」
「そんなこと云われたら気になるのですよ~」
そしてレヌール大峡谷を抜けてアールスハイドにやってきた。
「わー、久しぶりなのです」
「まさかまた戻ってくるハメになるとはな。あ、そうだ。アールスハイドのギルド長に渡してほしいって言われたものがあるんだったな」
俺たちはとりあえず冒険者ギルドに向かった。
「ふむ・・・。にわかには信じられないがまさか君たちがドラゴンを倒す程の冒険者とはな・・・。しかしアレンが嘘をつくとも思えない。何より3人とも金プレートだしな」
どうやら渡すよう頼まれた書物には冒険者ギルドにおいて俺たちに対して便宜を図るようにと書いてあったらしい。
すると、突然部屋に誰かが入ってきた。
「す、すみません!ギルド長!」
「どうした、そんなに慌てて。今は来客中だ」
入ってきたのはギルド職員だった。
そして職員がギルド長に駆け寄り何かを伝えていた。
「なんだと!?」
ギルド長が何やら驚いていた。
「何かあったのですか?」
ほのかが訊ねた。
「すまんが、金ランクの君たちを見込んで頼みがある」
「・・・何があった?」
「迷宮の下層で召喚者パーティーが魔族に襲われているとの報告が入った。その救出を頼みたい」
「さくらちゃん!?」
ギルド長の話を聞いてほのかが立ち上がる。
「ちっ、しかたないか・・・。クラスメイトなんか正直どうだっていいが神宮寺はほのかの親友だからな。急ぐぞ!」
「あ、ちょっと待て」
急いで飛び出そうとした俺たちをギルド長が止めた。
「なんだ?」
「迷宮入り口の右側に下層への転移陣を作ってあるらしい。襲われたのは71階層だ」
「わかった!」
そして俺たちは迷宮へ向かった。
「これが転移陣か。便利なもんがあるんだな」
「行きましょう、お兄ちゃん!」
転移陣を抜けるとそこには団長がいた。
「おお、小鳥遊妹!無事だったのか!」
俺には気づいていない様子だった。
「話は後だ!場所を教えろ」
「こっちだ!」
俺たちを案内したのはクラスメイトの三木だった。
「おい、三木!敵は何人だ!?」
「え?なんで俺の名前を・・・あんた誰だよ」
「小鳥遊だよ!」
「なっ!?マジかよ?完全に別人じゃないか・・・まあいいか。敵は一人だよ」
なんとたった一人の魔族に全滅させられそうになっているらしい。
そして目的地に到着すると、今まさに神宮寺がサイのような魔物に襲われそうになっていた。
「せめて小鳥遊くんにあの時のこと謝りたかったよ・・・」
神宮寺が呟いていた。
「だったら後で聞かせてくれよ」
俺がそう告げると神宮寺が驚きながら叫んだ。
「小鳥遊くん!?」
なぜか神宮寺はすぐに俺だとわかったようだ。
「豪腕!とりあえずこれを飲め」
左手でサイを抑えながら神水を渡した。
「ん、ん・・・。え?傷が治った・・・」
すると、魔族らしき女が何やら詠唱をしていた。
「・・・全てを焼き尽くせ。フレアバースト!」
女は遥輝たちめがけて魔法を放った。
「神宮寺!こいつを使え!」
俺は神宮寺に一振りの刀を渡し、遥輝たちのとこへ向かう。
「縮地!」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
小鳥遊くんが生きていてくれた・・・。そして、私を助けてくれた。
感動に浸りたいとこだけれど今はそんな場合ではない。
私は目を閉じ、精神を集中させた。
(小鳥遊くんがくれた刀・・・。これでみんなを守る・・・)
すると、こんな状況だというのに何故か心が落ち着いているように感じた。
(感じる・・・。あいつの鼓動が・・・。くる・・・)
私は目を閉じたまま、刀を構えた。
今ならできる気がした。
小さい頃一度だけ見せてもらった父の奥義を。
「神ノ宮流剣術奥義・・・天流乱星!」
その一撃は鉄でできたサイの魔物を縦に真っ二つにしたのだった。
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