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2章 可愛い子

宇都宮の心

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微エロです。

──



 ずっと憧れていた彼女を抱いた。それから、数日後。


 俺は、とあるデパートの屋上にて、目当ての彼女を待つ。


 俺のまわりには、多くの警察たちが、俺と同じく、彼女を待っていた。しかし、彼らが彼女を待っている理由は、俺とは違う。何としてでも、彼女を彼らよりも先に捕まえないと。
 

 俺は、身体に残る彼女のぬくもりを思い出す。柔らかくて、温かい彼女。可憐な声で喘ぎ、あでやかに腰をうねらす彼女。最初は俺を拒絶していたのに、段々と俺を受け入れていく彼女。自分が思い描いていたよりも、彼女は素晴らしかった。


 かわいい。


 美しい。


 もっと、彼女に触れたい。


 彼女を手に入れたい。


 念願の彼女の身体を抱きながら、俺はそんなことを願った。しかし、彼女は俺から逃げてしまった。とはいえ、俺はそんなことを残念に思わなかった。絶対に捕まえてやる。そんな想いが、俺の中に抱いて。今まで抱いてた激しい執着の上に、闘争心が加わった。


 「宇都宮さん、怪盗アシュリーはどこに現れるのでしょうか」


 俺の隣にいる警官が、俺に問う。彼は、多大なる信頼の目を、俺に向けていた。俺は、それに答えるように、目を弓形にする。

 「まだわかりません。でも、今日こそは、彼女を捕まえられるでしょう」


 捕まえられるはずだ。少なくとも、俺は。警察なんかに、彼女は渡さない。


 そう思った瞬間。隣にいた警官のもとに、連絡がきた。他のところを警護している警官からである。俺の隣にいる警官が、目を丸くした。おそらく、アシュリーがあらわれたのであろう。

 俺と警官たちは、ただちに現場へと向かう。向かった先は、宝石店であった。そこは、混沌としていた。すでに宝石は盗まれたようだ。警官たちが大慌てで、アシュリーをとらえようとしている。しかし、肝心のアシュリーの姿はそこにはない。むさい男どもが、ひしめき合っているのみだ。俺は、こっそりとその場から離れる。そして、向かった先は、デパートの裏通路であった。裏通路にも、警官たちはいる。が、現場となった宝石店ほどではない。逃げるとしたら、ここからだろうに。こんな、薄い警備でいいのだろうか。


 ぱたぱたと歩みを進める。そんな中で、気になる警官が一人。年齢は40代くらい。性別は男。顔は、今朝見たものである。しかし、どこか、おかしい。俺は、彼に歩み寄り、彼に語りかける。


 「すみません」

 
 俺がそう一言話しかけると──その男は、一瞬、目を丸くした。その反応を見て、俺は何となく、彼の正体を悟る。


 「ちょっと一緒に来て貰えますか?」


 ……彼と2人っきりにならなければ。俺の問いかけに、彼は警戒するような態度をとる。俺は、彼の返答を待たずして、彼の手を引っ張った。


 「ちょっと、なんですか!」


 彼が叫ぶ。その声は、見た目よりも高い。まるで、女の子のようだ。彼女・・の技術であれば、きっと、男らしい声も出せるだろうに。それを忘れてしまうほどに、慌てているのだろう。


 「来てよ。君だって、ここで正体がバレるのは困るだろう?」


 「やっぱり……正体、分かってたのね……」


 彼女がぼやく。そして、小さく舌打ちをうった。


 「早く二人っきりになれるところに移動しようか」


 「いやよ。あなたと一緒にいると、ナニされるか分からないじゃない」


 にらみつけられる。正直、おっさんの姿じゃなくて、彼女の本来の姿で反抗している彼女を見たい。絶対、可愛い。


 「離して」


 「やだ」


 「叫ぶわよ」


 「んー……叫んだら、俺、君の正体バラしちゃうよ」


 俺は、彼女を引き連れ、地下駐車場へ行く。そして、俺の車に乗り込み、駐車場を出た。俺が運転し、彼女が助手席に座る。駐車場から出る時、警護に当たっている警察に会い、話しかけられたが、「アシュリーの逃げ道を外に見つけた」というと、すんなりと外出を許してくれた。本当に、ここの警護はガバガバだ。アシュリーが今まで幾度となく完璧な盗みを働けたのは、ここの警察の詰めが甘いからだろう。


 「もう、警察いないから、元の姿に戻りなよ」


 「やだ。あなたを喜ばせるだけじゃない」


 ふんっと鼻を鳴らす彼女。俺たちが向かった先は、俺の住んでいるマンションであった。俺の住んでいるマンションを一目見て、彼女が小さくため息をつく。


 「……タワマンじゃない。この間のホテル、スウィートルームだったわよね……? あなた、そうとう金持ちよね。私立探偵って、そんな儲かるものなの?」


 「んー。どうかなー」


 彼女の問いを、軽く誤魔化す。マンションの地下駐車場に車を停める。


 「ねえ、もうそろ、本当の君を見たいんだけど」


 「やだ」


 「お願い。そのまま、警察につき出しちゃうよ」


 「……あなた、その脅しがお気に入りね」


 チッと舌打ちをする彼女。そして、ビリッと男の顔のリアルな仮面を剥がした。そこにいたのは、可愛い彼女──怪盗アシュリーであった。


 ぱっちりとした、瞳。


 すべすべとした、白い肌。


 全体的に色素の薄い、美少女がそこにいた。


 「可愛い……」


 「……可愛いのは認めるけど、あなたの可愛いはもう信じないから」


 彼女は頬を膨らませ、そっぽ向く。そして、そのまま外へ出てしまう。俺は、慌てて、外へ出て、彼女の手を掴む。そして、そのまま、彼女を抱きしめる。彼女が、俺の胸の中で、モゴモゴと慌てふためく。


 「はなして!」


 「やだ」


 俺は、彼女を抱きしめながら、車の後部座席のドアを開ける。そして、そのまま、彼女を押し倒した。車のドアを閉める。


 「やだやだ……!」


 彼女が、手足をバタバタと振って、慌てふためく。


 「今日は、もう流されないんだから!」


 「って言いつつもここまで来たんだ」


 「き、今日はタイミング逃しちゃったのよ!」


 本当に、このポンコツな女の子がなぜ、怪盗ができるのだろうか。警察に捕まらないのか。本当に謎すぎる。


 俺は、さりげなく、彼女の服を脱がしていく。彼女は、体格をよく見せるため、かなり着込んでいるようだ。服の上からも、彼女の身体をいじろうと思ったが、それが叶わない。


 「ちょっと! やめてよ、これ、着るのめんどくさいんだからっ! てか、こんなところで服脱がせるとか、気が狂ってんじゃないの!? 人来たらどうすんのよ!」


 ギャーギャー言いながらも、彼女は脱がされていく。ボロボロと、彼女の服の中から、銃やら綱やら、盗みを働くための道具が出てきた。


 あっという間に、彼女は一糸まとわぬ姿となる。彼女は、その大きな乳房を、華奢な腕で隠す。隠した腕により、胸が潰されて、谷間が強調される。すらりとした足が、俺の身体を蹴りあげる。


 「バカバカバカバカっ! 変態……!」


 彼女が、恨みがましい瞳で、私を見る。そんな彼女も、めちゃくちゃ、可愛い。たくさんいじめたくなる。


 「可愛いよ」


 「もう可愛いで騙されないから!」

 
 頬を膨らませる彼女が可愛すぎる。俺は、彼女の身体を包み込む。それで収まってしまう小柄な彼女。それが、俺の心をひく。


 そして、俺の手は、彼女の胸に伸びた。彼女の腕をどかし、彼女の胸に触れる。むにゅりと彼女の巨乳が歪むと同時に、彼女の喉から「んっ……」と声が漏れた。ふと、彼女の顔を見ると、頬が火照っているのが見えた。


 彼女と俺の目が合う。彼女は、眉と眉の間にシワを刻みながらも、わざとらしく目を逸らした。
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