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第四章 僕の彼女はアンドロイド/複垢調査官 飛騨亜礼2 TOKOYO DRIVE
AP《アンドロイドポリス》
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翌日、<AP>の担当者が現れた。
ハネケ・ブロンソンという素晴らしい金髪で碧眼、モデルのような体型の女性AP警備部隊員には当然ながら好感を持った。
彼女の上司だというメガネを掛けた黒髪の頼りなさげな背の低い男には少し不安を覚えた。
AP警備部隊長シンザブロウ・ハットリという名刺をベスに差し出した。
こんな男が隊長?と思ったものだ。
彼の背後には、黒いボサボサ頭で鴉のように目つきの鋭い隊員が影のように付き従っていた。
名前も名乗らず、人を何人か殺してそうな男である。
「なるほど。大体、事情は分かりました。アンドロイドのエリィちゃんでしたか。護衛は任せて下さい」
ベスの話をひと通り聞き終わると、そのハットリ隊長とやらは親指を立てて安請け合いをした。
しかも、その頼りなさそうな隊長はエリィをちゃん付けで呼んだ。
馴れ馴れしいのも程があるが、まあ、エリィの年齢からすると仕方ない面もあった。
「ライト君、彼女の護衛は我々に任せてくれ。すまないが、遠隔監視で犯人をあぶりだすので彼女に発信機をつけさせてもらうよ」
ハットリ隊長はそう言うと、無造作にエリィのブラウスの胸のボタンを開けて、胸の谷間に発信機をすべり込ませた。仕事だとはいえ、何という破廉恥な奴なんだ。
そんな僕の気持ちを知りはしないと思うが、ハットリ隊長は少し頭を下げて持ち場に戻っていった。
ハネケさんと黒いボサボサ頭の鴉も後に続いた。
「ご主人様、では、行ってきますね」
エリィはにっこりと健気に笑う。
「いってらっしゃい!」
僕は不安な顔は見せまいと、いつもより元気に見送った。
エリィは白いスカートを揺らしながら自動運転のバス亭までトコトコと歩きだした。
†
「母さん、エリィを工場で働かせるのをやめさせられないの? 母さんの収入なら働く必要はないし、家で僕の世話だけしたらいいのに」
ライトは真剣な表情である。
「政府の決まりでアンドロイドは工場で働く決まりなのよ。障害者家庭の収入援助が目的だし、確かにうちは例外かもしれないけど、それはできない決まりなの」
駄々っ子をあやすような口調でべスは嗜めた。
「でも、エリィは襲われてるんだよ! それにあのハットリ隊長とかいうのも頼りないし」
ライトは執拗に食い下がる。
「ライト、お願いだから私の言うことを聞いてちょうだい。ハットリ隊長たち、<AP>に任せるしかないのよ」
エリィはこの子はどうしてアンドロイドなんかに入れあげてしまったのかという心配そうな表情でライトを諭した。
「でも……」
ライトは不満そうに言ったが、仕方なく車椅子を操って二階の自室に戻っていった。
自室に戻ると、ライトはしばらくベットに仰向けになって物思いに耽っていた。
そして、突然、彼は飛び起きて車椅子専用リフトで階段を降りて飛び出していった。
†
車椅子でも運転できる専用ビークルは卵型の透明カプセルに覆われていた。
車体カラーはダークブルーで、ちょうどライトの腰の辺りまで鋼鉄のボディに守られている。
車体には吸引用の浮力電磁石が埋め込まれていて道路のガイドレールを利用する電磁吸引支持方式(ElectroMagnetic Suspension System)で移動している。ドイツなどで実用化されてる技術である。
2027年に開通した日本のリニア新幹線などは、電磁誘導浮上支持方式(ElectroDynamic Suspension System)で車体の電磁石とレールの推進用コイルとの反発力により浮上する方式である。
この方式は高速時にはいいのだが、100キロ以下の低速時には浮力が得られずタイヤ走行になる。低速走行する都市型パーソナルビーグルには不向きであり、一般的にEMSが採用されている。
EMSはガイドレールに推進用コイルを埋め込まず、鉄製のレールを利用できるのでコスト的にも安価で普及が進んでいた。
ライトは工場の近くまでエリィを迎えに行くことにした。
二人乗りのパーソナルビークルは自動運転でガイドレールを走行する路面電車のような方式で運営されていた。
AI制御なので衝突事故も滅多に起こらないし、駅の地下駐車場からリニアトレインに簡単に接続できるので利便性も良かった。
工場の側まで来たライトはそこに数機の<ニンジャハインド>を目撃した。
漆黒の機体に迷彩装甲をもち、隠密行動を得意とする<ボトムストライカー>の機種である。
その名の通り、忍者が黒装束に覆面をしたようなシャープな機体でお腹の辺りに人が乗れるコクピットがあり、ライトのパーソナルビークルを軽く見下ろすような位置に頭があった。
光学カメラの搭載された赤い双眸がキラリと光る。
まるで黒いカラスが獲物を狙うようにこちらを見ている。
その前に立ちはだかってるのは、<AP>のハネケ、鴉のような男、隊長のハットリの三人らしかった。
機体は白銀色に輝く騎士のような機体で、式鬼<銀鋼 零>と呼ばれる<AP>の制式機である。
その後ろでエリィが立ちすくんで震えていた。
「エリィ!」
ライトは急いでエリィのそばにパーソナルビーグルを寄せて乗せた。
エリィの金髪の頭を撫でて両手で抱きしめる。
まるで兄妹のようなライトの金髪がエリィの頬にふれた。
中央のハットリ隊長らしき機体がゆっくりとひとり前に進みでた。
腰の剣に手をかける。
しかし、そのまま動かず、静かに腰を落とす。
「抜刀術?」
視線の先の光景にライトは見覚えがあった。
あれはネットゲーム<刀撃ロボパラ>の中の抜刀術の構えに似ていた。
5機の<ニンジャハインド>がハットリ隊長に向けて一斉に襲いかかる。
一気に跳躍してくる。
ハットリ機は微動だにしない、ように見えた。
次の瞬間、<ニンジャハインド>の身体が次々と両断されて空中から墜落した。
鈍い音が道路に反響する。
さらに迷彩装甲で姿を消して左右から忍び寄った8機の<ニンジャハインド>も、ハネケと鴉の抜刀術で両断され、同じく道路の上で行動不能に陥っていた。
完全に見えなくなっている<ニンジャハインド>の位置をどうやって割り出して倒したのか?
ライトには全く見当がつかなかったが、何か特殊装備があるのかもしれない。
安心したライトが背後の警戒を怠っていたのがいけなかったのだが、パーソナルビーグルに凄い衝撃があり、気づいたときには数十メートル飛ばされていた。
強化プラスチックの卵型の透明カプセルにひびが入り車体はへこんで横転していた。
血がついた頭をようやく上げたライトは強大な恐竜のようなものが彼を見下ろしてることに気づいた。
その巨大な右足がパーソナルビーグルを踏み潰そうとした時、彼はエリィを抱きしめて悲鳴を上げるしかなかった。
ハネケ・ブロンソンという素晴らしい金髪で碧眼、モデルのような体型の女性AP警備部隊員には当然ながら好感を持った。
彼女の上司だというメガネを掛けた黒髪の頼りなさげな背の低い男には少し不安を覚えた。
AP警備部隊長シンザブロウ・ハットリという名刺をベスに差し出した。
こんな男が隊長?と思ったものだ。
彼の背後には、黒いボサボサ頭で鴉のように目つきの鋭い隊員が影のように付き従っていた。
名前も名乗らず、人を何人か殺してそうな男である。
「なるほど。大体、事情は分かりました。アンドロイドのエリィちゃんでしたか。護衛は任せて下さい」
ベスの話をひと通り聞き終わると、そのハットリ隊長とやらは親指を立てて安請け合いをした。
しかも、その頼りなさそうな隊長はエリィをちゃん付けで呼んだ。
馴れ馴れしいのも程があるが、まあ、エリィの年齢からすると仕方ない面もあった。
「ライト君、彼女の護衛は我々に任せてくれ。すまないが、遠隔監視で犯人をあぶりだすので彼女に発信機をつけさせてもらうよ」
ハットリ隊長はそう言うと、無造作にエリィのブラウスの胸のボタンを開けて、胸の谷間に発信機をすべり込ませた。仕事だとはいえ、何という破廉恥な奴なんだ。
そんな僕の気持ちを知りはしないと思うが、ハットリ隊長は少し頭を下げて持ち場に戻っていった。
ハネケさんと黒いボサボサ頭の鴉も後に続いた。
「ご主人様、では、行ってきますね」
エリィはにっこりと健気に笑う。
「いってらっしゃい!」
僕は不安な顔は見せまいと、いつもより元気に見送った。
エリィは白いスカートを揺らしながら自動運転のバス亭までトコトコと歩きだした。
†
「母さん、エリィを工場で働かせるのをやめさせられないの? 母さんの収入なら働く必要はないし、家で僕の世話だけしたらいいのに」
ライトは真剣な表情である。
「政府の決まりでアンドロイドは工場で働く決まりなのよ。障害者家庭の収入援助が目的だし、確かにうちは例外かもしれないけど、それはできない決まりなの」
駄々っ子をあやすような口調でべスは嗜めた。
「でも、エリィは襲われてるんだよ! それにあのハットリ隊長とかいうのも頼りないし」
ライトは執拗に食い下がる。
「ライト、お願いだから私の言うことを聞いてちょうだい。ハットリ隊長たち、<AP>に任せるしかないのよ」
エリィはこの子はどうしてアンドロイドなんかに入れあげてしまったのかという心配そうな表情でライトを諭した。
「でも……」
ライトは不満そうに言ったが、仕方なく車椅子を操って二階の自室に戻っていった。
自室に戻ると、ライトはしばらくベットに仰向けになって物思いに耽っていた。
そして、突然、彼は飛び起きて車椅子専用リフトで階段を降りて飛び出していった。
†
車椅子でも運転できる専用ビークルは卵型の透明カプセルに覆われていた。
車体カラーはダークブルーで、ちょうどライトの腰の辺りまで鋼鉄のボディに守られている。
車体には吸引用の浮力電磁石が埋め込まれていて道路のガイドレールを利用する電磁吸引支持方式(ElectroMagnetic Suspension System)で移動している。ドイツなどで実用化されてる技術である。
2027年に開通した日本のリニア新幹線などは、電磁誘導浮上支持方式(ElectroDynamic Suspension System)で車体の電磁石とレールの推進用コイルとの反発力により浮上する方式である。
この方式は高速時にはいいのだが、100キロ以下の低速時には浮力が得られずタイヤ走行になる。低速走行する都市型パーソナルビーグルには不向きであり、一般的にEMSが採用されている。
EMSはガイドレールに推進用コイルを埋め込まず、鉄製のレールを利用できるのでコスト的にも安価で普及が進んでいた。
ライトは工場の近くまでエリィを迎えに行くことにした。
二人乗りのパーソナルビークルは自動運転でガイドレールを走行する路面電車のような方式で運営されていた。
AI制御なので衝突事故も滅多に起こらないし、駅の地下駐車場からリニアトレインに簡単に接続できるので利便性も良かった。
工場の側まで来たライトはそこに数機の<ニンジャハインド>を目撃した。
漆黒の機体に迷彩装甲をもち、隠密行動を得意とする<ボトムストライカー>の機種である。
その名の通り、忍者が黒装束に覆面をしたようなシャープな機体でお腹の辺りに人が乗れるコクピットがあり、ライトのパーソナルビークルを軽く見下ろすような位置に頭があった。
光学カメラの搭載された赤い双眸がキラリと光る。
まるで黒いカラスが獲物を狙うようにこちらを見ている。
その前に立ちはだかってるのは、<AP>のハネケ、鴉のような男、隊長のハットリの三人らしかった。
機体は白銀色に輝く騎士のような機体で、式鬼<銀鋼 零>と呼ばれる<AP>の制式機である。
その後ろでエリィが立ちすくんで震えていた。
「エリィ!」
ライトは急いでエリィのそばにパーソナルビーグルを寄せて乗せた。
エリィの金髪の頭を撫でて両手で抱きしめる。
まるで兄妹のようなライトの金髪がエリィの頬にふれた。
中央のハットリ隊長らしき機体がゆっくりとひとり前に進みでた。
腰の剣に手をかける。
しかし、そのまま動かず、静かに腰を落とす。
「抜刀術?」
視線の先の光景にライトは見覚えがあった。
あれはネットゲーム<刀撃ロボパラ>の中の抜刀術の構えに似ていた。
5機の<ニンジャハインド>がハットリ隊長に向けて一斉に襲いかかる。
一気に跳躍してくる。
ハットリ機は微動だにしない、ように見えた。
次の瞬間、<ニンジャハインド>の身体が次々と両断されて空中から墜落した。
鈍い音が道路に反響する。
さらに迷彩装甲で姿を消して左右から忍び寄った8機の<ニンジャハインド>も、ハネケと鴉の抜刀術で両断され、同じく道路の上で行動不能に陥っていた。
完全に見えなくなっている<ニンジャハインド>の位置をどうやって割り出して倒したのか?
ライトには全く見当がつかなかったが、何か特殊装備があるのかもしれない。
安心したライトが背後の警戒を怠っていたのがいけなかったのだが、パーソナルビーグルに凄い衝撃があり、気づいたときには数十メートル飛ばされていた。
強化プラスチックの卵型の透明カプセルにひびが入り車体はへこんで横転していた。
血がついた頭をようやく上げたライトは強大な恐竜のようなものが彼を見下ろしてることに気づいた。
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追記:2025/09/20
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