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第30話 それが私たちの幸せ
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リダールはベッドの端に腰かけて、眠り続けるセレステアの頬を撫でた。三日前、力を解放したセレステアはその場で意識を失い、それ以来目を覚ましていない。
ただただ、眠っている。それ以外に異常はない。ともすれば止まってしまいそうな程にか細い寝息を零しながら、セレステアはベッドに横たわっている。
せっかく用意させたセレステアの部屋は未だに使用されていない。ここはリダールの寝室だ。
けれど初めて彼女がここへ来た時と違って、部屋の中は重苦しい空気に支配されている。
「セレア……」
握った手は酷く冷たい。限界まで魔力を使い果たしたセレステアの体は、辛うじて必要な最低限の生命活動だけを行っている。
いつ死んでもおかしくない。魔族にとって魔力は生命力そのものだ。無くなれば死ぬ。ヒヤリとする場面は何度もあって、リダールはその度に心臓の止まりそうな思いをした。
「セレア、セレア……!」
ずっと二人でいるのだと約束したのに、一緒に罪を背負うと豪語したのに、今のリダールには唯一の存在を救うことすらできない。最強の魔王だと崇められても、失った魔力を回復させることはできない。魔力が回復しなければ、セレステアはこのまま目覚めない。
人を殺すことを恐れるセレステアのために、誰も殺さない世界征服を目指した。その結果がこれだ。
あれからずっと、リダールの心は凍り付いている。目に見える風景は色を失くした。食事も喉を通らず、城の者たちに心配されていたが、リダールにその自覚はなかった。
セレステアがいなければ、リダールにとってはすべてが無価値だった。美しい景色も、誰もが唸る美味も、共に楽しむ相手がいなければ無駄としか思えない。
彼女のいない世界など必要ない。この腕からセレステアが奪われたなら、リダールはもう何も愛せない。
「セレア、お前が死んでしまったら、俺は……」
固く目を閉じるセレステアの額に、自分のそれを重ね合わせる。祈ることしかできない無力な自分が腹立たしい。この身を引き裂いてしまいたいくらいに。
ただひたすらセレステアに寄り添い続けるリダールは、控えめなノックの音にも反応しなかった。少し間をおいて扉が開き、オルヴァンが顔を出しても、視線を向けることすらしない。
オルヴァンは息を詰めて、しばらく弟分を眺めていた。やがて意を決したように息を吸い込んで、囁くように呼び掛ける。
「リダール」
それでも動かないリダールに、オルヴァンは続けた。
「嬢ちゃんの傍を離れたくないのは分かるが……。せめて飯を食え。ここに用意させるから」
「……いらない」
ようやく返ったのは拒絶の言葉だ。オルヴァンは肩を落としつつも、諦めずに口を開く。
「今のお前に言いたくはないが、世界中が大混乱に陥ってんだ。嬢ちゃんの力で、すべての人間が魔族化した。この状況で魔族の王であるお前まで倒れたら、収拾がつかない。嬢ちゃんだって、目覚めた時にお前が寝込んでたらびっくりするだろ」
リダールがぐりんとオルヴァンを見た。その瞳に、オルヴァンは絶句する。
夜空を切り取った美しい漆黒の瞳が、まるで汚泥に塗れたように濁って澱んでいた。光の消えた目は一切を映すことなく、ぐにゃりと歪む。
「だから何だって言うんだ」
歌うように軽やかな声だった。
「セレア以外がどうなろうと、俺の知ったことじゃない。セレアを守れなかった俺なんて、死んでしまえばいいんだ。存在する価値もない。……ああ、だが」
死人の如き目を見開いて、リダールは微笑んだ。
「もしセレアがこのまま死んでしまったら……。そうだな。手始めに、のうのうと生き延びたあの勇者を殺そう。できうる限り惨たらしく、生まれてきたことを後悔する方法でだ。それから、この世界を滅ぼす。だっていらないだろう? 俺が死ぬのはその後だな」
澱んだ目のまま。歪な目のまま。いっそ楽しげにそう語るリダールに、普段の泰然とした魔王の姿はない。
感情の昂ぶりに伴って溢れ出た魔力が、衝撃を伴って部屋中で渦を巻く。オルヴァンが震えているのにも構わず、リダールはセレステアに頬をすり寄せた。
力を使って魔力を奪えば、きっとセレステアはすぐに目覚めるのに。今まで彼女を苦しめ続けてきた力は、肝心な時に彼女の役に立たない。
「セレア、セレステア……。どうか」
他に望むものなどありはしない。セレステアが傍にいてくれたらそれでいい。
だから、どうか。
「俺の魔力をすべて奪っていいから、死なないでくれ……!」
リダールがそう言った瞬間に、部屋を漂う魔力が一点に収縮し始めた。「リダール!」と叫んだオルヴァンの声は、魔力の中心にいるリダール本人には届かない。
目を見開くリダールの腕の中で、セレステアがため息をついた。呼吸と共に魔力を吸い込み、リダールが放出した魔力を奪い尽くす。けれど、魔力の吸収はそこで止まる。顔色は良くなったが、セレステアが目覚める気配はない。
「……自制しているのか!」
力を使うことを厭うていたセレステア。意識がなくとも、無差別に魔力を奪うことを制限しているのなら。
リダールはセレステアの上に身を屈めて、優しく口づけた。
今度は慎重に、静かに魔力を差し出す。本来は不可能な魔力の譲渡を、セレステアの能力は可能にする。魔力を流し込むほどに熱を取り戻すセレステアを、リダールはきつく抱き締めた。
長い睫毛が震え、頬に朱が差す。ゆるりと覗いた赤い瞳に、リダールは肩を震わせる。
「セレア……?」
「……り、だ」
掠れきった声で、それでもセレステアは名前を呼んだ。
しばし呆然としていたリダールは、セレステアがぎこちなく伸ばした手を掴んで顔を歪める。ポロポロと零れ落ちる涙が汚泥を洗い流し、澄み切った夜空が現れる様を、セレステアは不思議そうに見上げていた。
「良かった、セレア……! よか……っ」
もはや言葉もなく泣き崩れるリダールを、状況が分からないながらもセレステアは優しく受け止める。
「うん……。うん。だいじょうぶ、だいじょうぶよ……」
時折しゃくり上げながら嗚咽を漏らし、リダールはセレステアに縋りついた。そんな恋人の耳元で、セレステアは囁いた。
「リダールがいるから、わたしはだいじょうぶよ……」
それに返せる言葉などなかった。唇を噛むリダールに、だから、とセレステアは続ける。
「死んでしまえばいいなんて、言わないで……。むかし、あなたがわたしにそう言ったのよ」
まさか、聞こえていたのか。とめどなく流れる涙もそのままにセレステアを見つめると、彼女はそれを手のひらで拭いながら微笑んだ。
「最近ね、むかしのことをよく夢にみるの」
けほ、と咳き込みながらも、セレステアは続ける。
「さっきはね、リダールと遊んでいるときの夢だったわ。手をつないで歩いているの。ずっといっしょに、どこまでもどこまでも……。でも、あなたの声はきこえないの。たくさん話しかけてくれるのに」
だんだんと悲しそうな顔になるリダールを、どうしても元気づけたくて。幼い頃、絶望の淵にいたセレステアを救ってくれたように。
「どうにかして聞きとろうとしていたら、とつぜんあなたが、わたしを抱きしめたの。それで、『俺は死んでしまっていいから、お前は生きてくれ』って。ひどいわ。わたしはリダールがいなきゃ生きていけないのに」
「セレア……」
「だから文句を言いたかったのに、そんなに泣いてるんだもの」
仕方ないわねと目尻を下げるセレステアが、どうしようもなく愛おしい。誰よりも何よりも大切な彼女の望みを、すべて叶えると誓ったのだ。そのセレステアが望むのなら。
「そうだな……。ずっと一緒だと約束したのに、俺がそれを破るところだった。すまない」
「いいのよ」
したり顔で頷くセレステアと指を絡めて、美しい顔をすぐ近くで見つめる。
「ふたりで、ずっと、ずっと……、じゃないと嫌よ?」
「ああ、分かった。絶対にお前を離さないし、離れない」
死ぬその時まで一緒にいよう。二人でどこまでも歩いて行こう。そしていつか、同じ時、同じ場所で死ねたなら、それ以上の幸福はないだろう。
だからそれまでは。
微笑み合う恋人同士の空間に、オルヴァンから知らせを受けたカリオとクシェが乱入してくるまで、あと三十秒。
ただただ、眠っている。それ以外に異常はない。ともすれば止まってしまいそうな程にか細い寝息を零しながら、セレステアはベッドに横たわっている。
せっかく用意させたセレステアの部屋は未だに使用されていない。ここはリダールの寝室だ。
けれど初めて彼女がここへ来た時と違って、部屋の中は重苦しい空気に支配されている。
「セレア……」
握った手は酷く冷たい。限界まで魔力を使い果たしたセレステアの体は、辛うじて必要な最低限の生命活動だけを行っている。
いつ死んでもおかしくない。魔族にとって魔力は生命力そのものだ。無くなれば死ぬ。ヒヤリとする場面は何度もあって、リダールはその度に心臓の止まりそうな思いをした。
「セレア、セレア……!」
ずっと二人でいるのだと約束したのに、一緒に罪を背負うと豪語したのに、今のリダールには唯一の存在を救うことすらできない。最強の魔王だと崇められても、失った魔力を回復させることはできない。魔力が回復しなければ、セレステアはこのまま目覚めない。
人を殺すことを恐れるセレステアのために、誰も殺さない世界征服を目指した。その結果がこれだ。
あれからずっと、リダールの心は凍り付いている。目に見える風景は色を失くした。食事も喉を通らず、城の者たちに心配されていたが、リダールにその自覚はなかった。
セレステアがいなければ、リダールにとってはすべてが無価値だった。美しい景色も、誰もが唸る美味も、共に楽しむ相手がいなければ無駄としか思えない。
彼女のいない世界など必要ない。この腕からセレステアが奪われたなら、リダールはもう何も愛せない。
「セレア、お前が死んでしまったら、俺は……」
固く目を閉じるセレステアの額に、自分のそれを重ね合わせる。祈ることしかできない無力な自分が腹立たしい。この身を引き裂いてしまいたいくらいに。
ただひたすらセレステアに寄り添い続けるリダールは、控えめなノックの音にも反応しなかった。少し間をおいて扉が開き、オルヴァンが顔を出しても、視線を向けることすらしない。
オルヴァンは息を詰めて、しばらく弟分を眺めていた。やがて意を決したように息を吸い込んで、囁くように呼び掛ける。
「リダール」
それでも動かないリダールに、オルヴァンは続けた。
「嬢ちゃんの傍を離れたくないのは分かるが……。せめて飯を食え。ここに用意させるから」
「……いらない」
ようやく返ったのは拒絶の言葉だ。オルヴァンは肩を落としつつも、諦めずに口を開く。
「今のお前に言いたくはないが、世界中が大混乱に陥ってんだ。嬢ちゃんの力で、すべての人間が魔族化した。この状況で魔族の王であるお前まで倒れたら、収拾がつかない。嬢ちゃんだって、目覚めた時にお前が寝込んでたらびっくりするだろ」
リダールがぐりんとオルヴァンを見た。その瞳に、オルヴァンは絶句する。
夜空を切り取った美しい漆黒の瞳が、まるで汚泥に塗れたように濁って澱んでいた。光の消えた目は一切を映すことなく、ぐにゃりと歪む。
「だから何だって言うんだ」
歌うように軽やかな声だった。
「セレア以外がどうなろうと、俺の知ったことじゃない。セレアを守れなかった俺なんて、死んでしまえばいいんだ。存在する価値もない。……ああ、だが」
死人の如き目を見開いて、リダールは微笑んだ。
「もしセレアがこのまま死んでしまったら……。そうだな。手始めに、のうのうと生き延びたあの勇者を殺そう。できうる限り惨たらしく、生まれてきたことを後悔する方法でだ。それから、この世界を滅ぼす。だっていらないだろう? 俺が死ぬのはその後だな」
澱んだ目のまま。歪な目のまま。いっそ楽しげにそう語るリダールに、普段の泰然とした魔王の姿はない。
感情の昂ぶりに伴って溢れ出た魔力が、衝撃を伴って部屋中で渦を巻く。オルヴァンが震えているのにも構わず、リダールはセレステアに頬をすり寄せた。
力を使って魔力を奪えば、きっとセレステアはすぐに目覚めるのに。今まで彼女を苦しめ続けてきた力は、肝心な時に彼女の役に立たない。
「セレア、セレステア……。どうか」
他に望むものなどありはしない。セレステアが傍にいてくれたらそれでいい。
だから、どうか。
「俺の魔力をすべて奪っていいから、死なないでくれ……!」
リダールがそう言った瞬間に、部屋を漂う魔力が一点に収縮し始めた。「リダール!」と叫んだオルヴァンの声は、魔力の中心にいるリダール本人には届かない。
目を見開くリダールの腕の中で、セレステアがため息をついた。呼吸と共に魔力を吸い込み、リダールが放出した魔力を奪い尽くす。けれど、魔力の吸収はそこで止まる。顔色は良くなったが、セレステアが目覚める気配はない。
「……自制しているのか!」
力を使うことを厭うていたセレステア。意識がなくとも、無差別に魔力を奪うことを制限しているのなら。
リダールはセレステアの上に身を屈めて、優しく口づけた。
今度は慎重に、静かに魔力を差し出す。本来は不可能な魔力の譲渡を、セレステアの能力は可能にする。魔力を流し込むほどに熱を取り戻すセレステアを、リダールはきつく抱き締めた。
長い睫毛が震え、頬に朱が差す。ゆるりと覗いた赤い瞳に、リダールは肩を震わせる。
「セレア……?」
「……り、だ」
掠れきった声で、それでもセレステアは名前を呼んだ。
しばし呆然としていたリダールは、セレステアがぎこちなく伸ばした手を掴んで顔を歪める。ポロポロと零れ落ちる涙が汚泥を洗い流し、澄み切った夜空が現れる様を、セレステアは不思議そうに見上げていた。
「良かった、セレア……! よか……っ」
もはや言葉もなく泣き崩れるリダールを、状況が分からないながらもセレステアは優しく受け止める。
「うん……。うん。だいじょうぶ、だいじょうぶよ……」
時折しゃくり上げながら嗚咽を漏らし、リダールはセレステアに縋りついた。そんな恋人の耳元で、セレステアは囁いた。
「リダールがいるから、わたしはだいじょうぶよ……」
それに返せる言葉などなかった。唇を噛むリダールに、だから、とセレステアは続ける。
「死んでしまえばいいなんて、言わないで……。むかし、あなたがわたしにそう言ったのよ」
まさか、聞こえていたのか。とめどなく流れる涙もそのままにセレステアを見つめると、彼女はそれを手のひらで拭いながら微笑んだ。
「最近ね、むかしのことをよく夢にみるの」
けほ、と咳き込みながらも、セレステアは続ける。
「さっきはね、リダールと遊んでいるときの夢だったわ。手をつないで歩いているの。ずっといっしょに、どこまでもどこまでも……。でも、あなたの声はきこえないの。たくさん話しかけてくれるのに」
だんだんと悲しそうな顔になるリダールを、どうしても元気づけたくて。幼い頃、絶望の淵にいたセレステアを救ってくれたように。
「どうにかして聞きとろうとしていたら、とつぜんあなたが、わたしを抱きしめたの。それで、『俺は死んでしまっていいから、お前は生きてくれ』って。ひどいわ。わたしはリダールがいなきゃ生きていけないのに」
「セレア……」
「だから文句を言いたかったのに、そんなに泣いてるんだもの」
仕方ないわねと目尻を下げるセレステアが、どうしようもなく愛おしい。誰よりも何よりも大切な彼女の望みを、すべて叶えると誓ったのだ。そのセレステアが望むのなら。
「そうだな……。ずっと一緒だと約束したのに、俺がそれを破るところだった。すまない」
「いいのよ」
したり顔で頷くセレステアと指を絡めて、美しい顔をすぐ近くで見つめる。
「ふたりで、ずっと、ずっと……、じゃないと嫌よ?」
「ああ、分かった。絶対にお前を離さないし、離れない」
死ぬその時まで一緒にいよう。二人でどこまでも歩いて行こう。そしていつか、同じ時、同じ場所で死ねたなら、それ以上の幸福はないだろう。
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