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第一章
貴族令息たちの反抗
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ギルバートとの婚約を終わらせると決めて、何か口実になる証拠を探し始めたわけだが。
ポーラとの不貞ならいくらでも証拠が集まるが、一度愛人を認めると言った以上、それだけでは婚約解消には弱い。いっそのこと体の関係でも持ってくれれば、アイラ公爵家に婿入りするには相応しくない、として拒めるというのに。
そのポーラも、貴族の身分制度に関して危うい発言は多々あるが、彼女を罰することはできてもギルバートと結びつけるのは難しい。彼もポーラに感化されている様子はある。だが今の段階では、貴族社会を分かっていないポーラに危うさを感じて教育を施していた、と言い逃れされるだろう。
父が婚約解消に賛成してくれているから、証拠集めに使える手が多いのはありがたい。
ヴィクトリアが現時点で考えている最善の流れは、ギルバートがポーラにもっと影響されて、アイラ公爵家を軽んじる発言をすることだ。それをスクロールに映像記録できれば、アイラ公爵位を継がせる資格なしとして王家に抗議することができる。王家としても、アイラを敵に回すことはしたくないだろう。
もっと大きなやらかしをしてくれたなら、ヴィクトリアの楽しみは増えるだろう。だが、第三王子であるギルバートが失態を演じるということは、タディリス王国そのものに影響が出る可能性もある。現実的で被害の少ない落としどころを探らなけば。
何より、リアムがかわいい嫉妬をしてくれたことだし。
そう、考えていたというのに。
既に事態は、王家とアイラ公爵家だけでは済まないところまで進んでいた。
ヴィクトリアが廊下を歩いていると、子爵家や男爵家の令息が前からやって来た。ヴィクトリアが知る限り、継承権を持たない次男や三男ばかりのようだ。
男子生徒たちは一瞬だけ顔を見合わせて、立ち止まらずにこちらへ向かって来た。
本来ならば彼らは、ヴィクトリアに道を譲らなければならない立場のはず。その様子が無いのを見て、ヴィクトリアはひっそりと眉を寄せた。
「……お嬢様!」
リアムがハッとしてヴィクトリアの肩を引く。同時に一人の男子生徒がわざとらしくよろめいて、こちらへぶつかって来た。
咄嗟にリアムが腕の中に庇ってくれたため、ヴィクトリアは彼と直接ぶつからずに済んだ。その代わり、まともに突き飛ばされたリアムが、壁に強かに打ち付けられる。
ぐ、と小さく呻いたリアムに、慌てて顔を上げた。
「リアム!」
「お嬢様、ご無事ですか」
すぐにヴィクトリアの体を離して怪我の有無を確認し、リアムは何事もなかったかのようにまっすぐ立つ。普段は沈鬱な表情が、すとんと抜け落ちていた。激怒している。
「無礼者が!」
何故かへらへらと笑っていた令息たちは、リアムの一喝にびくっと跳ねた。
「な、なんだよ!」
「このお方がどなたか、知らないとは言わせないぞ。わざとぶつかるなど……。許されると思っているのか」
怒気の籠った低い声が、鼓膜をびりびりと揺らす。令息たちは狼狽えて、俯いた。
しかし彼らは、怯えた様子ながらもちらちらとリアムを見ている。まるで、見逃してもらえると確信しているかのように。
リアムもそれに気づいたのだろう。既に地を這っていた声が、さらに冷気を帯びた。
「ヴィクトリアお嬢様の従者たる私は、護衛のためならば学園内での攻撃魔法の使用を許可されている。『緊急事態だった』として、今ここでお前たちを丸焼きにしても構わないが?」
リアムが短い筒に収められたスクロールを抜き出したところで、男子生徒たちはようやく本格的に慌て始めた。
「そ、そんなの、許可されてるからって……」
「あんただって、俺たちと同じだろ? 家も継げないし、好きでもない相手に仕えないといけないし」
「わたくしのリアムを、それ以上侮辱するのは許さなくてよ」
ヴィクトリアは思わず口を挟んでいた。リアムの腕を叩いて下がらせ、一度大きく息を吸う。
「アイラ公爵家の後継たるわたくしへの蛮行、そしてリアムへの無礼な言葉。父を通じて、各家に正式に抗議させていただきますわ」
不思議と、ヴィクトリア自身に手を出されたことよりも、リアムへの言葉の方に腹が立った。
「あなた方の身分は把握していますわ。今回のことは、それぞれの家長に処分を任せますが……。決して、軽い罰では済まないでしょう」
令息たちはヴィクトリアを睨んだ。驚くほど憎々しげな視線に、一瞬だけ手が震える。
リアムを身内扱いし、ヴィクトリアを敵とみなす。その理由は分からないが、真正面から手を出された以上、ヴィクトリアは動かねばならない。向こうは、ヴィクトリア・リーヴズ・アイラに喧嘩を売ったのだから。
実技授業の時は、相手が「授業中のよくある事故」という建前を用意していた。貴族として、それを無視して制裁を加えることは、逆に公爵家としての面子を潰すことになった。だからヴィクトリアは、規則通りの対応を教師に求めたのだ。
だが今は、彼らを許すことは、アイラ公爵家の名を汚すことになる。厳罰を求めなければ、他の貴族家から舐められる。
「……身分なんて」
一番立場の低い男爵令息が、小さく呟いた。
「そんなものがあるから……」
「身分があるから、なんですの?」
それは、貴族である彼が、何も知らずに口にしていい言葉ではない。
「……っ、お前みたいに身分を笠に着る奴がいるから、俺たちが割を食うんだろ!」
あまりにも無知で、無責任な考えだ。
ヴィクトリアは、もう一度息を吸い込んだ。
「それがあなた方の本心だというのなら、呆れるほど醜いと、言わざるを得ませんわ」
「なんだとっ」
「このことはすべて、映像記録のスクロールにして屋敷に届けさせます。どちらの言い分が正しいか、お父上に聞いてみればよろしいわ」
これにはさすがに、彼らも顔を青くした。
「映像記録? そんなの、一つ作るのに魔力も血も足りなくなる……!」
ヴィクトリアがここのところ重宝している映像記録のスクロールは、かなり魔力消費が多いうえに、術式も複雑で使う血の量も多い。それらの制約を乗り越えるからこそ、証拠としての信頼性が高いのだ。
魔力が多く、術式の改良も得意なヴィクトリアだからこそ使える手段。
「ま、待ってくれ、いや待ってください! 俺たちはただ……っ」
ヴィクトリアは耳を貸さず、リアムに手を伸ばしてエスコートを求めた。リアムはすぐさま腕を出してくれた。
男子生徒たちをその場に置いて、ヴィクトリアはいつもの二階テラスに向かった。
普段ヴィクトリアが使うこの場所には、他の誰も近づかない。ユージェニーですら、ヴィクトリアが招いた時しか入ってこない。
テラスに出れば、見事な青空が広がっている。ヴィクトリアは椅子に座って、テーブルに両手を置いた。
「お嬢様、大丈夫ですか」
その両手を、リアムが上から握ってくれた。
「手が冷えております。温かいお茶をお飲みになりますか? 膝掛けも用意いたしましょう」
「いいえ……。少し、こうしていてくれる?」
「……かしこまりました」
本当ならすぐにでもスクロールを作りたいのに、手が震えてどうしようもなかった。リアムの手が温かくて、ずっと握っていてほしかった。
吐き出した息は細くて、リアムが少し体を揺らしたのが分かった。
「お嬢様は、何も間違っておりません」
「……リアム」
「あれらが特別愚かなのです。真実を見る目も、聞く耳も持たない、馬鹿の行いです。奴らは必ず罰を受けるでしょう」
リアムがあまりにも強い口調で言うから、ヴィクトリアは少しだけ笑ってしまった。
「ええ、そうね。……丸焼きにしては駄目よ?」
報復しに行きかねないな、と釘を刺しておくと、リアムは吐息に紛れるくらい小さな声で「駄目ですか?」と言った。
「ふふっ。ええ、駄目。リアム、あなたに怪我はない?」
「もちろんです。鍛えておりますので、あの程度は問題ありません」
ヴィクトリアはその言葉に安心した。リアムが怪我をするのは許せない。
だが、それ以上に許せないと感じるのは、ヴィクトリア以外がリアムの心に傷をつけることだ。それは彼の主たる、ヴィクトリアの特権だ。
だからこそあの時の言葉に怒りを覚えたのだろうと、ヴィクトリアは普段よりも険しい顔をしているリアムを見上げた。
この美しい従者は、ヴィクトリアだけのものだ。
「ありがとう、リアム。もう大丈夫だから、お茶を淹れてくれる?」
「はい、お嬢様」
リアムは手を離して、テラスのすぐ傍に置かれた簡易コンロに向かった。
もうヴィクトリアの手は冷たくない。
リアムの温もりが残っている気がして、ヴィクトリアはぎゅっと両手を握りしめた。
事態はこれだけに留まらなかった。その翌日、スクロールを作りすぎて貧血で休んでいたヴィクトリアの元に、ユージェニーが泣きながらやってきたのだった。
ポーラとの不貞ならいくらでも証拠が集まるが、一度愛人を認めると言った以上、それだけでは婚約解消には弱い。いっそのこと体の関係でも持ってくれれば、アイラ公爵家に婿入りするには相応しくない、として拒めるというのに。
そのポーラも、貴族の身分制度に関して危うい発言は多々あるが、彼女を罰することはできてもギルバートと結びつけるのは難しい。彼もポーラに感化されている様子はある。だが今の段階では、貴族社会を分かっていないポーラに危うさを感じて教育を施していた、と言い逃れされるだろう。
父が婚約解消に賛成してくれているから、証拠集めに使える手が多いのはありがたい。
ヴィクトリアが現時点で考えている最善の流れは、ギルバートがポーラにもっと影響されて、アイラ公爵家を軽んじる発言をすることだ。それをスクロールに映像記録できれば、アイラ公爵位を継がせる資格なしとして王家に抗議することができる。王家としても、アイラを敵に回すことはしたくないだろう。
もっと大きなやらかしをしてくれたなら、ヴィクトリアの楽しみは増えるだろう。だが、第三王子であるギルバートが失態を演じるということは、タディリス王国そのものに影響が出る可能性もある。現実的で被害の少ない落としどころを探らなけば。
何より、リアムがかわいい嫉妬をしてくれたことだし。
そう、考えていたというのに。
既に事態は、王家とアイラ公爵家だけでは済まないところまで進んでいた。
ヴィクトリアが廊下を歩いていると、子爵家や男爵家の令息が前からやって来た。ヴィクトリアが知る限り、継承権を持たない次男や三男ばかりのようだ。
男子生徒たちは一瞬だけ顔を見合わせて、立ち止まらずにこちらへ向かって来た。
本来ならば彼らは、ヴィクトリアに道を譲らなければならない立場のはず。その様子が無いのを見て、ヴィクトリアはひっそりと眉を寄せた。
「……お嬢様!」
リアムがハッとしてヴィクトリアの肩を引く。同時に一人の男子生徒がわざとらしくよろめいて、こちらへぶつかって来た。
咄嗟にリアムが腕の中に庇ってくれたため、ヴィクトリアは彼と直接ぶつからずに済んだ。その代わり、まともに突き飛ばされたリアムが、壁に強かに打ち付けられる。
ぐ、と小さく呻いたリアムに、慌てて顔を上げた。
「リアム!」
「お嬢様、ご無事ですか」
すぐにヴィクトリアの体を離して怪我の有無を確認し、リアムは何事もなかったかのようにまっすぐ立つ。普段は沈鬱な表情が、すとんと抜け落ちていた。激怒している。
「無礼者が!」
何故かへらへらと笑っていた令息たちは、リアムの一喝にびくっと跳ねた。
「な、なんだよ!」
「このお方がどなたか、知らないとは言わせないぞ。わざとぶつかるなど……。許されると思っているのか」
怒気の籠った低い声が、鼓膜をびりびりと揺らす。令息たちは狼狽えて、俯いた。
しかし彼らは、怯えた様子ながらもちらちらとリアムを見ている。まるで、見逃してもらえると確信しているかのように。
リアムもそれに気づいたのだろう。既に地を這っていた声が、さらに冷気を帯びた。
「ヴィクトリアお嬢様の従者たる私は、護衛のためならば学園内での攻撃魔法の使用を許可されている。『緊急事態だった』として、今ここでお前たちを丸焼きにしても構わないが?」
リアムが短い筒に収められたスクロールを抜き出したところで、男子生徒たちはようやく本格的に慌て始めた。
「そ、そんなの、許可されてるからって……」
「あんただって、俺たちと同じだろ? 家も継げないし、好きでもない相手に仕えないといけないし」
「わたくしのリアムを、それ以上侮辱するのは許さなくてよ」
ヴィクトリアは思わず口を挟んでいた。リアムの腕を叩いて下がらせ、一度大きく息を吸う。
「アイラ公爵家の後継たるわたくしへの蛮行、そしてリアムへの無礼な言葉。父を通じて、各家に正式に抗議させていただきますわ」
不思議と、ヴィクトリア自身に手を出されたことよりも、リアムへの言葉の方に腹が立った。
「あなた方の身分は把握していますわ。今回のことは、それぞれの家長に処分を任せますが……。決して、軽い罰では済まないでしょう」
令息たちはヴィクトリアを睨んだ。驚くほど憎々しげな視線に、一瞬だけ手が震える。
リアムを身内扱いし、ヴィクトリアを敵とみなす。その理由は分からないが、真正面から手を出された以上、ヴィクトリアは動かねばならない。向こうは、ヴィクトリア・リーヴズ・アイラに喧嘩を売ったのだから。
実技授業の時は、相手が「授業中のよくある事故」という建前を用意していた。貴族として、それを無視して制裁を加えることは、逆に公爵家としての面子を潰すことになった。だからヴィクトリアは、規則通りの対応を教師に求めたのだ。
だが今は、彼らを許すことは、アイラ公爵家の名を汚すことになる。厳罰を求めなければ、他の貴族家から舐められる。
「……身分なんて」
一番立場の低い男爵令息が、小さく呟いた。
「そんなものがあるから……」
「身分があるから、なんですの?」
それは、貴族である彼が、何も知らずに口にしていい言葉ではない。
「……っ、お前みたいに身分を笠に着る奴がいるから、俺たちが割を食うんだろ!」
あまりにも無知で、無責任な考えだ。
ヴィクトリアは、もう一度息を吸い込んだ。
「それがあなた方の本心だというのなら、呆れるほど醜いと、言わざるを得ませんわ」
「なんだとっ」
「このことはすべて、映像記録のスクロールにして屋敷に届けさせます。どちらの言い分が正しいか、お父上に聞いてみればよろしいわ」
これにはさすがに、彼らも顔を青くした。
「映像記録? そんなの、一つ作るのに魔力も血も足りなくなる……!」
ヴィクトリアがここのところ重宝している映像記録のスクロールは、かなり魔力消費が多いうえに、術式も複雑で使う血の量も多い。それらの制約を乗り越えるからこそ、証拠としての信頼性が高いのだ。
魔力が多く、術式の改良も得意なヴィクトリアだからこそ使える手段。
「ま、待ってくれ、いや待ってください! 俺たちはただ……っ」
ヴィクトリアは耳を貸さず、リアムに手を伸ばしてエスコートを求めた。リアムはすぐさま腕を出してくれた。
男子生徒たちをその場に置いて、ヴィクトリアはいつもの二階テラスに向かった。
普段ヴィクトリアが使うこの場所には、他の誰も近づかない。ユージェニーですら、ヴィクトリアが招いた時しか入ってこない。
テラスに出れば、見事な青空が広がっている。ヴィクトリアは椅子に座って、テーブルに両手を置いた。
「お嬢様、大丈夫ですか」
その両手を、リアムが上から握ってくれた。
「手が冷えております。温かいお茶をお飲みになりますか? 膝掛けも用意いたしましょう」
「いいえ……。少し、こうしていてくれる?」
「……かしこまりました」
本当ならすぐにでもスクロールを作りたいのに、手が震えてどうしようもなかった。リアムの手が温かくて、ずっと握っていてほしかった。
吐き出した息は細くて、リアムが少し体を揺らしたのが分かった。
「お嬢様は、何も間違っておりません」
「……リアム」
「あれらが特別愚かなのです。真実を見る目も、聞く耳も持たない、馬鹿の行いです。奴らは必ず罰を受けるでしょう」
リアムがあまりにも強い口調で言うから、ヴィクトリアは少しだけ笑ってしまった。
「ええ、そうね。……丸焼きにしては駄目よ?」
報復しに行きかねないな、と釘を刺しておくと、リアムは吐息に紛れるくらい小さな声で「駄目ですか?」と言った。
「ふふっ。ええ、駄目。リアム、あなたに怪我はない?」
「もちろんです。鍛えておりますので、あの程度は問題ありません」
ヴィクトリアはその言葉に安心した。リアムが怪我をするのは許せない。
だが、それ以上に許せないと感じるのは、ヴィクトリア以外がリアムの心に傷をつけることだ。それは彼の主たる、ヴィクトリアの特権だ。
だからこそあの時の言葉に怒りを覚えたのだろうと、ヴィクトリアは普段よりも険しい顔をしているリアムを見上げた。
この美しい従者は、ヴィクトリアだけのものだ。
「ありがとう、リアム。もう大丈夫だから、お茶を淹れてくれる?」
「はい、お嬢様」
リアムは手を離して、テラスのすぐ傍に置かれた簡易コンロに向かった。
もうヴィクトリアの手は冷たくない。
リアムの温もりが残っている気がして、ヴィクトリアはぎゅっと両手を握りしめた。
事態はこれだけに留まらなかった。その翌日、スクロールを作りすぎて貧血で休んでいたヴィクトリアの元に、ユージェニーが泣きながらやってきたのだった。
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