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あまりの息苦しさに私は飛び起きた。とてつもない悪寒と嫌な汗で寝巻きが肌にくっついている。
これは……一体なんでしょう?
先ほど息苦しいと形容しましたが、その言葉では生温いと思えるほどに息ができない。もっと言うと、息を吸うことができなくなっている。
過呼吸気味に息を吸おうにも咳が出る。挙句には吐血までしてしまい、ベッドのシーツが赤く染まった。
このままではいけない。
私はそう直感し、助けを求めるために部屋から出るため床を這う。
もう自力では立てないぐらい体が弱り切っていて、今も手足が震えている。
ここは私の実家ではなく、婚約者であるエルヴィンの屋敷。もう眠っているだろう時間だが、緊急事態だ。
私はエルヴィンに助けてもらうため、彼の部屋へと向かう。
その間にも咳き込み、廊下を血で汚していく。
体調が戻ったら掃除するので、許してください。
こうして動かない自分の体に鞭打って、エルヴィンの部屋まで辿り着いた。
これで私は助かるのだと気を緩めた瞬間、
「……ぁんっ」
彼の部屋から嬌声が漏れ出た。
さっきの声は、まさか……。
その瞬間、私は毒を盛られたのだと理解した。
さっきの喘ぎは間違いなく、私の妹のものだ。そして、ここはエルヴィンの部屋。
妹とエルヴィンがここで何をしているかなど、想像に容易い。
2人は今、愛し合っている。婚約が決まっているのに、1度もしたことがない行為を行なっている。
何ですか、これは……。
夢なら覚めてほしい酷い悪夢だ。でも、これは夢じゃない。
私とエルヴィンの間には愛がなかった。私に向けられるはずの愛は、妹に向けられていたというわけだ。
一体いつからかなど、もはやどうでもいい。
私の胸中は今、裏切られたことに対する悲しみと寂しさでいっぱいだ。
それに、生きる希望を見失った。私は妹にすべてを奪われてきた。両親が買ってくれた衣服やアクセサリーも、そして両親からの愛も、何もかも……。
まさか婚約者まで奪われるなんて思いもしなかった。
本当に人間って教えられた通りクズだった。信じた私が馬鹿みたい。
私はフィリア。精霊の申し子で、精霊王に見染められた唯一の人間。
きっと、妹とエルヴィンは彼の手によって破滅の道を歩むことになるだろう。
ざまぁないですね。
~エルヴィン視点~
「これでようやく2人になれるな、マリア」
「いいえ、エルヴィン様。3人ですよ」
「あぁ、そうだな」
お腹をさするマリアを見て、俺は頷いた。
だが、何か忘れているような気がする。ここまでマリアに言われて流されるまま来たが、たしかフィリアは――
その瞬間、鼓膜が裂けんばかりの轟音が鳴った。
それだけじゃない。異常なまでに雨が降り始めた。
「エルヴィン様っ」
「何だ?」
マリアに視線を向けると、彼女は天井を指差していた。
俺はその方向を見た。
「なっ――」
視線の先には炎が広がっていた。さっきの轟音は雷だったらしい。
運悪く屋敷の上に落ちて、火がついてしまったのか……?
いや、違う。これは偶然じゃない。
「マリア、地下に行こう。このままでは危ない」
俺はマリアの手を引こうとした次の瞬間、2度目の落雷があった。
「大丈夫か、マリ――あ?」
振り返って安否を確認したが、ときすでに遅かった。
マリアは雷に打たれていたのだ。そして、今回もそれだけでは済まず、火の手がすぐそこまで迫っていた。
「どうしてこんなことに……ッ。あ、あぁっ! そうだった! フィリアは精霊の申し子じゃないか……。
何で俺はそのことを忘れていた……! すまないフィリア。俺が悪かった。だから、許してく――れ?」
『死ね』
これは……一体なんでしょう?
先ほど息苦しいと形容しましたが、その言葉では生温いと思えるほどに息ができない。もっと言うと、息を吸うことができなくなっている。
過呼吸気味に息を吸おうにも咳が出る。挙句には吐血までしてしまい、ベッドのシーツが赤く染まった。
このままではいけない。
私はそう直感し、助けを求めるために部屋から出るため床を這う。
もう自力では立てないぐらい体が弱り切っていて、今も手足が震えている。
ここは私の実家ではなく、婚約者であるエルヴィンの屋敷。もう眠っているだろう時間だが、緊急事態だ。
私はエルヴィンに助けてもらうため、彼の部屋へと向かう。
その間にも咳き込み、廊下を血で汚していく。
体調が戻ったら掃除するので、許してください。
こうして動かない自分の体に鞭打って、エルヴィンの部屋まで辿り着いた。
これで私は助かるのだと気を緩めた瞬間、
「……ぁんっ」
彼の部屋から嬌声が漏れ出た。
さっきの声は、まさか……。
その瞬間、私は毒を盛られたのだと理解した。
さっきの喘ぎは間違いなく、私の妹のものだ。そして、ここはエルヴィンの部屋。
妹とエルヴィンがここで何をしているかなど、想像に容易い。
2人は今、愛し合っている。婚約が決まっているのに、1度もしたことがない行為を行なっている。
何ですか、これは……。
夢なら覚めてほしい酷い悪夢だ。でも、これは夢じゃない。
私とエルヴィンの間には愛がなかった。私に向けられるはずの愛は、妹に向けられていたというわけだ。
一体いつからかなど、もはやどうでもいい。
私の胸中は今、裏切られたことに対する悲しみと寂しさでいっぱいだ。
それに、生きる希望を見失った。私は妹にすべてを奪われてきた。両親が買ってくれた衣服やアクセサリーも、そして両親からの愛も、何もかも……。
まさか婚約者まで奪われるなんて思いもしなかった。
本当に人間って教えられた通りクズだった。信じた私が馬鹿みたい。
私はフィリア。精霊の申し子で、精霊王に見染められた唯一の人間。
きっと、妹とエルヴィンは彼の手によって破滅の道を歩むことになるだろう。
ざまぁないですね。
~エルヴィン視点~
「これでようやく2人になれるな、マリア」
「いいえ、エルヴィン様。3人ですよ」
「あぁ、そうだな」
お腹をさするマリアを見て、俺は頷いた。
だが、何か忘れているような気がする。ここまでマリアに言われて流されるまま来たが、たしかフィリアは――
その瞬間、鼓膜が裂けんばかりの轟音が鳴った。
それだけじゃない。異常なまでに雨が降り始めた。
「エルヴィン様っ」
「何だ?」
マリアに視線を向けると、彼女は天井を指差していた。
俺はその方向を見た。
「なっ――」
視線の先には炎が広がっていた。さっきの轟音は雷だったらしい。
運悪く屋敷の上に落ちて、火がついてしまったのか……?
いや、違う。これは偶然じゃない。
「マリア、地下に行こう。このままでは危ない」
俺はマリアの手を引こうとした次の瞬間、2度目の落雷があった。
「大丈夫か、マリ――あ?」
振り返って安否を確認したが、ときすでに遅かった。
マリアは雷に打たれていたのだ。そして、今回もそれだけでは済まず、火の手がすぐそこまで迫っていた。
「どうしてこんなことに……ッ。あ、あぁっ! そうだった! フィリアは精霊の申し子じゃないか……。
何で俺はそのことを忘れていた……! すまないフィリア。俺が悪かった。だから、許してく――れ?」
『死ね』
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