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私が望んでいた未来はこんなのではなかった。
ただ、私はあなたと幸せになりたかっただけなのに。
でも、あなたは私ではなく、妹を選び――その挙句、なんの根拠もない戯言を聞き入れた。
そして、私は今ここで首を刎ねられる。
思えば、不幸な人生だった。
なにかを手に入れれば、そのことごとくを妹に奪われた。
きっと、私はこの世界そのものに嫌われていたのでしょう。
そうでなければ、このような仕打ちは受けていない。
でも、そんな人生を歩んできたからこそ、『死』というものに抵抗はなかった。
いずれ、命すらも奪われると思っていたから。
だからこそ、私は『私の死』をトリガーにした魔法をこの世に施した。
命を対価にした魔法は、ただの魔法とは比べ物にならない威力があると聞く。
きっと、私の『死』を笑いものにする奴らはみな、殺せるはず。
そう、元・婚約者も妹も決して塵すら残してやらない。
この世から抹消してやる。
ふと、私の視界にそいつらが映った。
こういうとき、私がまともなら命乞いをする場面なのかもしれない。
だけど、今の私は早く死にたいと思っていた。
だって、私が死ねばあいつらも死ぬもの。
それが今は、ただただ待ち遠しい。
でも、そうね。一つ欲を言うなら、婚約者には曇った表情をして欲しかった。
そんな、『死』は当然とでも言いたげな表情はしてほしくはなかった。
妹は……相変わらずね。とても醜い顔をしていた。
私、妹に嫌われるようなことをした覚えなんてないんだけどなぁ……。
でも、これから実の姉が処刑されるっていうのに、そんな見下した顔ができるってことは、よほど嫌われていたということだろう。
その事実に、私は鼻で笑うことしかできなかった。
もはや、涙なんてものは出ない。
すでに涙は枯れている。
婚約者を妹に寝取られたときに。
……まぁ、いいわ。
その絶望があったからこそ、これからこいつらに降り注ぐ『死』が美しく輝くのだから。
そして、私はなんの抵抗もしないまま――首を刎ねられた。
が、話に聞いていた通り、すぐには死なないらしい。
『死』は確定しているけれど。
そう、『死』は確定している。
つまり、私の命を対価とした魔法が発動するのを、私は見届けることができるということだ。
あぁ……、空が真っ赤に染まった。
もし、私が処刑される立場でなければ、『死』をもたらす絶望に見えるかもしれない。
だけど、今の私には今までの鬱憤を晴らす希望の光にしか見えなかった。
これが、『死』の救済。今までこの言葉の意味を理解できなかったけど、こういうことだったのか。
なら、今の私はこの世で一番の幸せ者だ――。
その瞬間、世界は爆炎と爆風に飲み込まれ。
そして――『死』がこの世を包み込んだ。
ただ、私はあなたと幸せになりたかっただけなのに。
でも、あなたは私ではなく、妹を選び――その挙句、なんの根拠もない戯言を聞き入れた。
そして、私は今ここで首を刎ねられる。
思えば、不幸な人生だった。
なにかを手に入れれば、そのことごとくを妹に奪われた。
きっと、私はこの世界そのものに嫌われていたのでしょう。
そうでなければ、このような仕打ちは受けていない。
でも、そんな人生を歩んできたからこそ、『死』というものに抵抗はなかった。
いずれ、命すらも奪われると思っていたから。
だからこそ、私は『私の死』をトリガーにした魔法をこの世に施した。
命を対価にした魔法は、ただの魔法とは比べ物にならない威力があると聞く。
きっと、私の『死』を笑いものにする奴らはみな、殺せるはず。
そう、元・婚約者も妹も決して塵すら残してやらない。
この世から抹消してやる。
ふと、私の視界にそいつらが映った。
こういうとき、私がまともなら命乞いをする場面なのかもしれない。
だけど、今の私は早く死にたいと思っていた。
だって、私が死ねばあいつらも死ぬもの。
それが今は、ただただ待ち遠しい。
でも、そうね。一つ欲を言うなら、婚約者には曇った表情をして欲しかった。
そんな、『死』は当然とでも言いたげな表情はしてほしくはなかった。
妹は……相変わらずね。とても醜い顔をしていた。
私、妹に嫌われるようなことをした覚えなんてないんだけどなぁ……。
でも、これから実の姉が処刑されるっていうのに、そんな見下した顔ができるってことは、よほど嫌われていたということだろう。
その事実に、私は鼻で笑うことしかできなかった。
もはや、涙なんてものは出ない。
すでに涙は枯れている。
婚約者を妹に寝取られたときに。
……まぁ、いいわ。
その絶望があったからこそ、これからこいつらに降り注ぐ『死』が美しく輝くのだから。
そして、私はなんの抵抗もしないまま――首を刎ねられた。
が、話に聞いていた通り、すぐには死なないらしい。
『死』は確定しているけれど。
そう、『死』は確定している。
つまり、私の命を対価とした魔法が発動するのを、私は見届けることができるということだ。
あぁ……、空が真っ赤に染まった。
もし、私が処刑される立場でなければ、『死』をもたらす絶望に見えるかもしれない。
だけど、今の私には今までの鬱憤を晴らす希望の光にしか見えなかった。
これが、『死』の救済。今までこの言葉の意味を理解できなかったけど、こういうことだったのか。
なら、今の私はこの世で一番の幸せ者だ――。
その瞬間、世界は爆炎と爆風に飲み込まれ。
そして――『死』がこの世を包み込んだ。
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