コスプレから始まる恋は本物ですか!?

白群

文字の大きさ
21 / 21
第2部

最終話

しおりを挟む
「悪戯じゃないって…どういう事ですか?」
意味が分かっていない琉斗がきょとんと目を見開きながら問い掛けてきて、奏多は顔を真っ赤にしながら、ボソッと呟いた。

「こんな事されても悪戯じゃなく、嬉しいって思ってしまうから…俺、琉斗さんのこと好きです、ずっと待たせてごめんなさい」

告白をするといきなり抱き締められてしまい、いつもなら一応は離そうとするが奏多はゆっくり背中に手を回してギュッと抱き締め返した。
「本当ですか?嘘じゃないですよね?」
「嘘じゃないですよ、本当に…琉斗さんが好きです…」
「嬉しいです、やっと手に入った…」
少し離れると琉斗は嬉しそうに笑いながら顔を近づけてきて、そのままキスをされてしまった。
特に抵抗もせずにしていると、舌が口内に入ってきてビクッと体が跳ね上がった。
「んっ、んぅ…」
舌同士を絡ませていると、ゆいの声が聞こえてきて奏多はすぐに顔を離した。だが琉斗は離そうとせずまたキスをしようとしてきたので手で押さえた。
「いや、待ってください…!ゆいさんの声が…」
「すみません、無理です」
そう言うとまた口付けられてしまい、奏多は無理矢理離そうとしたが琉斗の力が強く離せず、そのまま何回も口付けられてしまった。

ようやく離されて部屋に戻ると、愛佳が怒りながら近寄ってきた。
「お兄ちゃん!琉斗さん!夕飯出来たのに、何回呼んでも来ないから冷めかけちゃったよ?」
「ご、ごめん…ゆいさんと愛佳が作ってくれたんだもんな…」
真っ赤になった顔を隠す様に俯かせながらダイニングの方に向かおうとしたが、愛佳が奏多の腕を掴んで止めてきた。
腕を掴まれてしまいきょとんとしていると、愛佳がコソッと小声で問い掛けてきた。
「お兄ちゃん、何か報告があるんじゃない?」
「…な、何のことだ?」
「呼びに行ったゆいさんがニヤニヤ笑っていたよ?」
その言葉にゆいの方を見ると、ばっちり目が合い、ニコッと笑ってきた。
とりあえずそれぞれ席に着きジュースの準備をすると、乾杯をしたが…ゆいと愛佳がニヤニヤ笑いながら見つめてきて奏多はチラリと琉斗を見たが、琉斗はきょとんとしていた。
「えー…あー…はい、あの俺…琉斗さんとお付き合いする事になりました…」
伝えると愛佳が勢いよく抱きついてきて、奏多は受け止めた。
「おめでとう!お兄ちゃん!琉斗さん、お兄ちゃんをよろしくお願いします!」
「ありがとう、愛佳さん…いつでも俺の事お兄ちゃん呼びしていいからね」
「はい!琉斗お兄ちゃん!」
「待って!!それは早いから!!」

両思いになってからのコスイベ。
目の前には、いつも通りマルスの格好でカッコよく決めている琉斗がいて奏多は心の中できゃーきゃー騒ぎながら見ていた。
そんな奏多に琉斗はフッと笑って見つめていたが…だんだん落ち着いてくると周りをキョロキョロ見回した。
「あの…愛佳さんは?」
「あ、愛佳は友人と用事があって来れないって…ゆいさんは?」
「ゆいも用事があったので…まさか…」
2人の考えが何となく伝わり、同時に息を吐くと琉斗はジーッと奏多を見つめてきて奏多は首を傾げて「どうしました?」と問い掛けた。
「いや、その…どうして奏多さん、一般参加なんですか?」
そう今日の奏多は、一般参加でレオンの格好をしていなくカメラを持っていた。
「あ、あの…今回はその主人公目線でマルスを見たいなーって思って…」
「…奏多さんのお願いでしたら、いつでもマルスになりますのに…でもそうですね、なら主人公を相手するみたいにたくさんエスコートしますね」
そう言うとその場にしゃがみ込み手を持ってきて、あまりのかっこよさに周りの人達もうっとりと見惚れてしまい、奏多はハッと我に帰るとすぐにカメラを準備して撮影を開始した。
その後もちゃんとポーズや表情を決めていき、色んな方から声をかけられては撮影をしていくのをずっと眺めていた。
(やっぱり…琉斗さんも素敵だけど…マルスとしてもイケメンなんだよな…)
「奏多さん?」
名前を呼ばれて顔を上げると目の前に琉斗がいてドキッと来てしまい、慌てながら離れて「な、何!?」と問い掛けた。
「あ、いえ、水を飲もうかと…」
「は、はい…」
琉斗のペットボトルを出して渡すとお礼を言われて飲んでいる姿を眺めた。
その姿もやはりイケメンだな…と思っていると、琉斗がコソッと問い掛けてきた。

「そういや奏多さん、マルスと俺…どっちが好きですか?」

その質問は最初に告白された時の事を思い出し、奏多はうーんと唸りながら考えだしたが…全然答えが出ずに悩んでいた。
そんな奏多に痺れを切らした琉斗が顔を近づけてきてすぐに無理矢理離した。
「琉斗さん、近すぎます!」
「なら、教えてくれますか?」

「…マルスな琉斗さんも、普段の琉斗さんも好きじゃ駄目ですか?」

そう答えると暫く沈黙が流れて、奏多は首を傾げた。
声を掛けようとした瞬間にいきなり抱き締められてしまい、奏多は悲鳴を上げた。
「ぎゃー!!ちょっ、ここではだめーーー!!!」

END
しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

2023.06.10 ユーザー名の登録がありません

退会済ユーザのコメントです

解除

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

僕たち、結婚することになりました

リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった! 後輩はモテモテな25歳。 俺は37歳。 笑えるBL。ラブコメディ💛 fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。

思い出して欲しい二人

春色悠
BL
 喫茶店でアルバイトをしている鷹木翠(たかぎ みどり)。ある日、喫茶店に初恋の人、白河朱鳥(しらかわ あすか)が女性を伴って入ってきた。しかも朱鳥は翠の事を覚えていない様で、幼い頃の約束をずっと覚えていた翠はショックを受ける。  そして恋心を忘れようと努力するが、昔と変わったのに変わっていない朱鳥に寧ろ、どんどん惚れてしまう。  一方朱鳥は、バッチリと翠の事を覚えていた。まさか取引先との昼食を食べに行った先で、再会すると思わず、緩む頬を引き締めて翠にかっこいい所を見せようと頑張ったが、翠は朱鳥の事を覚えていない様。それでも全く愛が冷めず、今度は本当に結婚するために翠を落としにかかる。  そんな二人の、もだもだ、じれったい、さっさとくっつけ!と、言いたくなるようなラブロマンス。

サラリーマン二人、酔いどれ同伴

BL
久しぶりの飲み会! 楽しむ佐万里(さまり)は後輩の迅蛇(じんだ)と翌朝ベッドの上で出会う。 「……え、やった?」 「やりましたね」 「あれ、俺は受け?攻め?」 「受けでしたね」 絶望する佐万里! しかし今週末も仕事終わりには飲み会だ! こうして佐万里は同じ過ちを繰り返すのだった……。

青龍将軍の新婚生活

蒼井あざらし
BL
犬猿の仲だった青辰国と涼白国は長年の争いに終止符を打ち、友好を結ぶこととなった。その友好の証として、それぞれの国を代表する二人の将軍――青龍将軍と白虎将軍の婚姻話が持ち上がる。 武勇名高い二人の将軍の婚姻は政略結婚であることが火を見るより明らかで、国民の誰もが「国境沿いで睨み合いをしていた将軍同士の結婚など上手くいくはずがない」と心の中では思っていた。 そんな国民たちの心配と期待を背負い、青辰の青龍将軍・星燐は家族に高らかに宣言し母国を旅立った。 「私は……良き伴侶となり幸せな家庭を築いて参ります!」 幼少期から伴侶となる人に尽くしたいという願望を持っていた星燐の願いは叶うのか。 中華風政略結婚ラブコメ。 ※他のサイトにも投稿しています。

【連載版あり】「頭をなでてほしい」と、部下に要求された騎士団長の苦悩

ゆらり
BL
「頭をなでてほしい」と、人外レベルに強い無表情な新人騎士に要求されて、断り切れずに頭を撫で回したあげくに、深淵にはまり込んでしまう騎士団長のお話。リハビリ自家発電小説。一話完結です。 ※加筆修正が加えられています。投稿初日とは誤差があります。ご了承ください。

鈴木さんちの家政夫

ユキヤナギ
BL
「もし家事全般を請け負ってくれるなら、家賃はいらないよ」そう言われて鈴木家の住み込み家政夫になった智樹は、雇い主の彩葉に心惹かれていく。だが彼には、一途に想い続けている相手がいた。彩葉の恋を見守るうちに、智樹は心に芽生えた大切な気持ちに気付いていく。

悪役令息の兄って需要ありますか?

焦げたせんべい
BL
今をときめく悪役による逆転劇、ザマァやらエトセトラ。 その悪役に歳の離れた兄がいても、気が強くなければ豆電球すら光らない。 これは物語の終盤にチラッと出てくる、折衷案を出す兄の話である。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。