最強師匠ズ、才能なしチートなしの私を育てる

ノミ

文字の大きさ
70 / 100

六十九話 ミイナ ②

しおりを挟む
 迫る剣先を躱し、反撃に転ずる。その反撃は難なくいなされ、更に反撃を受ける。それを避けて次の攻防へ。

 一進一退。絶え間なく繰り広げられる攻防。でも、これじゃ駄目だ。

「あっ、ぐうぅ……!!」

 マルクの剣を弾いて少し崩れた隙を突かれ蹴りを喰らう。不完全ながらガードはしたものの、勢いを殺しきれず弾き飛ばされる。

「この程度かい? 君の力は?」

 弾き飛ばされ完全に体勢が崩れた私を追撃しようという素振りすら見せず、悠々と歩み寄るマルク。一見、一進一退の攻防が繰り広げられるように見えるが、本当はこの様にかなりの差があった。

「これじゃあがっかりだよ。せっかくあの時見逃して、大きくなって僕の目の前に立ちはだかってくれると期待してたのに。まあ、勝手に期待した僕が悪いんだよね。でも、本当にその程度なのかい? 君の想いは」

 マルクが問う。まるで知ってるよと言うかのように。お前のことなんて全てお見通しだとでも言うかのように。

「僕が憎いだろう? 僕を殺したいだろう? 僕の四肢を切断し臓物をぶちまけさせ原型が分からなくなるまで顔を潰し、僕という存在を潰して、壊して、破壊し尽くしたいだろう? この世から消し去りたいだろう!?」

 それは私に向かって言っているのか。それとも、自分に向かって言っているのか。誰の為の言葉で、誰の気持ちを表したものだ。私のものなのか? 私のものなのか。

「その為にここへ来たのだろう! 僕を殺す為に! それなのにこの程度かい!? 君の殺意は! 僕を殺して殺して殺し尽くしたいだろう! さあ、早く見せてくれ! 君の想いを! 早く、早く。……早く見せてくれないと、君が死んでしまう」

 マルクの剣先が私へと向けられ、マルクの魔力が一点に集中する。マルクが持つ細い剣へと。そして、放たれる眩き光の光線。人間なんて一瞬で焼き付くすだろうその光線。

 それを避けることも出来ず直撃する。



「……確かにその想いは否定出来ない。私はお前を殺したい。お前の言う通り殺して殺して殺し尽くしたい」

 私が直視出来ない認められないワタシ。だけど、あれは紛れもなく私であり、認められずともその存在を理解している。

「だけど、そんなこと私は教えてもらってないから。私が教えてもらったのは守ること。逃げて、避けて、受身を取って。私を守ること」

 でも、私が今ここに居るのは教えがあったから。教えられ、助けられ、導かれて今、私はここに居る。

「お前を殺したい。殺す為に戦いたい。……でも、残念ながらそんなことは許されない」

 その教えに反抗なんてしていいだろうか。そもそも反抗するのを許す様な人だったろうか。反抗なんてすれば、する前の五倍くらい酷い目に合わせてくる人じゃなかっただろうか? 

「弟子に選択権なんて無いんだ! 私はただ師匠に教えてもらったことを実行するのみ! 私は私を守るために戦う! お前を殺す為じゃない! 私を守るためだ!」

 どんな無茶を言われようと、どんなキツイ修行を命じられようと、弟子の私に選択権などない。弟子はただ師匠の命令に、教えに従うだけ。

「弱い私を守るために力を貸して! 私の記憶、私の影よ!」

 私の影が呼応するように動き出す。それはかつて纏いし記憶。我が師の力の断片。

「影纏い『武神ゴルドーラ』!」

 私が、私を守るんだ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

妻に不倫され間男にクビ宣告された俺、宝くじ10億円当たって防音タワマンでバ美肉VTuberデビューしたら人生爆逆転

小林一咲
ライト文芸
不倫妻に捨てられ、会社もクビ。 人生の底に落ちたアラフォー社畜・恩塚聖士は、偶然買った宝くじで“非課税10億円”を当ててしまう。 防音タワマン、最強機材、そしてバ美肉VTuber「姫宮みこと」として新たな人生が始まる。 どん底からの逆転劇は、やがて裏切った者たちの運命も巻き込んでいく――。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...