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第五話
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ギズマット少佐が向かった先は、軍と取引のあるクリーニング屋だった。
そして、クリーニング屋の経営者カヌマンを逮捕した。
彼は、兵士達の帯(ホウフマン)を特殊な柔軟剤で仕上げた。そして、兵士達の制服を別の柔軟剤で仕上げたのである。それぞれには特殊な香りのカプセルが仕込まれていた。
単独では無害だが、二つの香りが高い気温で混ざると化学反応が起こって有毒化するのだ。
これが三千人の兵士の大量死の死因だった。
兵士達は、あの日、礼拝の時間に高温の窪地に集まっていた。そして、礼拝の後、一斉に首にかけた帯(ホフマン)を引き抜いたのだ。結果、柔軟剤のカプセルが割れガスが吹き出した。制服の柔軟剤、或いは、帯の柔軟剤だけなら、猛毒化しなかったろう。
しかし、二つのカプセルは帯を引き抜く行為によって同時に破壊され、高温の気温によって化学反応を起こし猛毒化。兵士の首あたりに突然猛毒ガスが発生、それを吸った兵士達は瞬く間に死んでしまったのである。
クリーニング屋の経営者カヌマンは柔軟剤の香料のマイクロカプセルに2液性の毒が仕込めないかと模索した。各国の柔軟剤を集め実験を繰り返したが見つからなかったのである。
彼の行動に目をつけた者がいた。
アメリカの諜報機関である。
ある男がビジネスマンに扮してカヌマンに近づいた。
「この柔軟剤を使って下さい。αの柔軟剤を帯に、βの柔軟剤を制服に。きっと、あなたの思った通りになるでしょう」
男の言葉にカヌマンは感謝した。
そうしてカヌマンは兵士三千人分のクリーニングを引き受け、軍に納入した。
もし、彼らが礼拝を行わなかったら。
もし、気温が化学反応が起こるほど高くならなかったら。
それならそれでいいとカヌマンは思った。
神の御心のままに。
調査官ギズマット少佐はカヌマンに尋ねた。
「何故、こんな事を? 兵士一人一人にも家族がいると思わなかったのか? あなただって、マイヤード教の信者だろうに」
「あいつらは、俺の家族、妻や二人の娘、母や妹、姉を連れていって慰み者にして殺したんだ。そして言ったんだ。『我々は聖戦士である。お前の家族は神に捧げられたんだぞ。良かったな』って。何が聖戦士だ。ただの獣じゃないか。あの時、俺は信仰を捨てた。妻は優しい女だった。皆、幸せに暮らしていたんだ。家族には全く落ち度はなかった。それを、それを、あんまりじゃないか」
泣き出すカヌマンを少佐は眺めた。
「それで、この柔軟剤はまだ残っているのか?」
「いや、全部使い切った」
少佐は以上の調査結果を報告書にまとめ上層部に報告した。
ジョーンズ博士は調査を終え、火山性ガスが今後噴出する可能性はないという結論を出して帰っていった。
彼の妻エリカは、別れ際、少佐に言った。
「私の従兄弟は化学者ですの。2液性の話をよくしてましたわ。では、少佐お元気で」
ふふふと笑ったエリカは金髪を靡かせてタラップを登った。その後ろ姿を見送りながら、少佐はジョーンズ博士の無事を祈った。
クリーニング屋の経営者カヌマンは大量殺人によって死刑が確定していたが、現政府によって無罪釈放された。
そして今年、彼はとある平和賞の候補に上がっている。
大量のテロリストを壊滅させ世界に平和をもたらした功績で。
そして、クリーニング屋の経営者カヌマンを逮捕した。
彼は、兵士達の帯(ホウフマン)を特殊な柔軟剤で仕上げた。そして、兵士達の制服を別の柔軟剤で仕上げたのである。それぞれには特殊な香りのカプセルが仕込まれていた。
単独では無害だが、二つの香りが高い気温で混ざると化学反応が起こって有毒化するのだ。
これが三千人の兵士の大量死の死因だった。
兵士達は、あの日、礼拝の時間に高温の窪地に集まっていた。そして、礼拝の後、一斉に首にかけた帯(ホフマン)を引き抜いたのだ。結果、柔軟剤のカプセルが割れガスが吹き出した。制服の柔軟剤、或いは、帯の柔軟剤だけなら、猛毒化しなかったろう。
しかし、二つのカプセルは帯を引き抜く行為によって同時に破壊され、高温の気温によって化学反応を起こし猛毒化。兵士の首あたりに突然猛毒ガスが発生、それを吸った兵士達は瞬く間に死んでしまったのである。
クリーニング屋の経営者カヌマンは柔軟剤の香料のマイクロカプセルに2液性の毒が仕込めないかと模索した。各国の柔軟剤を集め実験を繰り返したが見つからなかったのである。
彼の行動に目をつけた者がいた。
アメリカの諜報機関である。
ある男がビジネスマンに扮してカヌマンに近づいた。
「この柔軟剤を使って下さい。αの柔軟剤を帯に、βの柔軟剤を制服に。きっと、あなたの思った通りになるでしょう」
男の言葉にカヌマンは感謝した。
そうしてカヌマンは兵士三千人分のクリーニングを引き受け、軍に納入した。
もし、彼らが礼拝を行わなかったら。
もし、気温が化学反応が起こるほど高くならなかったら。
それならそれでいいとカヌマンは思った。
神の御心のままに。
調査官ギズマット少佐はカヌマンに尋ねた。
「何故、こんな事を? 兵士一人一人にも家族がいると思わなかったのか? あなただって、マイヤード教の信者だろうに」
「あいつらは、俺の家族、妻や二人の娘、母や妹、姉を連れていって慰み者にして殺したんだ。そして言ったんだ。『我々は聖戦士である。お前の家族は神に捧げられたんだぞ。良かったな』って。何が聖戦士だ。ただの獣じゃないか。あの時、俺は信仰を捨てた。妻は優しい女だった。皆、幸せに暮らしていたんだ。家族には全く落ち度はなかった。それを、それを、あんまりじゃないか」
泣き出すカヌマンを少佐は眺めた。
「それで、この柔軟剤はまだ残っているのか?」
「いや、全部使い切った」
少佐は以上の調査結果を報告書にまとめ上層部に報告した。
ジョーンズ博士は調査を終え、火山性ガスが今後噴出する可能性はないという結論を出して帰っていった。
彼の妻エリカは、別れ際、少佐に言った。
「私の従兄弟は化学者ですの。2液性の話をよくしてましたわ。では、少佐お元気で」
ふふふと笑ったエリカは金髪を靡かせてタラップを登った。その後ろ姿を見送りながら、少佐はジョーンズ博士の無事を祈った。
クリーニング屋の経営者カヌマンは大量殺人によって死刑が確定していたが、現政府によって無罪釈放された。
そして今年、彼はとある平和賞の候補に上がっている。
大量のテロリストを壊滅させ世界に平和をもたらした功績で。
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