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1件目 嫌な女子社員
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えーと……、「このアカウントでは、皆様から寄せられた、スカッとする話を発信していきます。スカッとする話をお持ちの方は、メッセージでご連絡ください。#ザマァミロ」、よし、こんなものかな。トップページも更新したし、これで新しい体験談が増えるといいなぁ。
いわゆる「いいね」が欲しくて、仕事の合間にSNSでスカッとする話を集めて発信してたんだけど、最近はネタが尽きて前に発信した話の再発信になってたんだよね……。
あ、やった! さっそくメッセージが来た! 今ちょうどヒマだから、確認してみようかな。
えーと、アカウント名は「アザミ」さんか、それで内容は……。
「はじめまして。いつも楽しく『#ザマァミロ』を読んでいます。職場の体験談でも良いですか?」
職場の話か……、それだとトラブルを避けるために、注意しとかないといけないかな。
「はい。大丈夫ですよ。でも、記事にするときには、『アザミさんからの体験談です』と書きますが、問題ありませんか?」
職場の人間がSNSアカウントを知っていて、アザミさんの体験談を読んでトラブルになったりすると、面倒くさいからね。
あ、返信が来た。えーと……
「大丈夫ですよ! 職場の人間は、このアカウントを知りませんから!」
うん、それなら、大丈夫かな。
「そうですか。それなら、さっそくお願いします」
「はい。私の職場に、嫌な女がいたんですよ」
「どんな方だったんですか?」
「仕事を私に押しつけて、自分は早く帰ったり、有給とったりするやつでした」
「それはまた、厄介な方ですね」
「本当ですよ。それで迷惑してたのに、上司のお気に入りだから注意されないうえに、どんどん出世してたんです」
ああ、可愛さを売りにして好き勝手してた同僚が、何かがキッカケでつまずく系の話か。上司が変わったり、部署が変わったりしてチヤホヤされなくなるやつ。
たしかに、人気はあるんだけど、もう同じ系統の話は出尽くしてる気もする……。
「あるとき、そいつがシュレッダーの前でうずくまってたんです」
「シュレッダーの前で?」
「はい。関わりたくないな、とは思ったんですけど目があっちゃって。そしたら、そいつ『シュレッダーがぁ、詰まっちゃったみたいでぇ』とか、甘えた声で言い出したんですよ。まるで、直してくれって言うみたいに」
「あー、たしかに、そういうタイプの方っていますよね」
「そうですよね。そのときは、大量にコピーしないといけなかったから、そうですか、とだけ答えたんです」
「忙しいときは、そうなりますよね」
「そうですよね! でも、そいつ『えぇー? それだけですかぁー?』とか言ってきたんですよ。まるで、私が悪いみたいに」
「それはまた、災難でしたね……」
「本当そうですよね。それでも、無視してたらふてくされた顔でシュレッダーに向き直りましたが、そのときの顔がイラッときて……」
まあ、助けてもらえて当然、という態度をされたら、イライラもするかな。それで、重役の誰かに、その子が叱られてめでたしめでたし、っていう流れになるんだろうな……。
「……だから、外してたシュレッダーのコンセントを入れてやったんです」
……え?
「そいつ、電源入れたままにしてたみたいでした。それで、コンセントが入ったことに気づかないで、詰まってた書類を引っ張り続けたんです。そしたら、詰まりが直ったみたいで」
「シュレッダーの刃って、すごいんですね。まるで、油ねんどにへらが食い込むみたいに、指に食い込んで」
「そいつ、手の甲に刃が食い込んだあたりで、ようやく叫びだして。それで、むりやり手を引き抜いたから、ぐちゃぐちゃになって」
「指の切断事故って、スパッと横に切れるものだと思ってたんですけど、本当は違ったんですね」
「なんというか、こう、大きめの肉の塊に、縦に裂けてベロベロになった肉と骨が垂れ下がってるかんじでした」
「本当にいい気味でしたよ! いつもヘラヘラ笑って愛嬌を振りまいてたやつが、手も顔もぐちゃぐちゃにして泣き叫んでたんですから!」
スマホの画面に、次々とグロい内容のメッセージが表示されていく。
「ああ、そうだ! そのときに撮った写真があるんで送りますね!」
いらない、なんてメッセージを送る間もなく、画面に写真が表示される。
ぐちゃぐちゃの手を振り回して、叫び声を上げる女性。
「私の体験談を発信するときは、使ってください!」
髪を振り乱しているから、目元は隠れてるけど、こんな写真載せられるわけない。というか、そもそも、こんな体験談は発信できないよ……。
だって、こうやってメッセージを送ってくれるくらいだから、アザミさんがやったことだとはバレてないみたいだけど……、これって傷害事件だよね……?
とりあえず、あんまり刺激したくないから、当たり障りのないメッセージを返しておこう。
「体験談、ありがとうございました。掲載するかどうか、検討しますね」
「はい! ぜひ、お願いします! 楽しみにしていますね!」
楽しみにしてもらっても、掲載はできなんだけどね。
それにしても、これからどうしよう……この気持ち悪いメッセージは削除しておけばいいけど、アザミさんをブロックしたりしたら……。
ぐちゃぐちゃになった手を振り回す女性の写真がまた目に入った。
住所とか、小田マキっていう本名はプロフィールに載せてないから、何かしてくることはないと思うけど……、ブロックしたってことが相手に伝わるのはまずそうだよね……。
とりあえず、放置しておいて何か言ってくるようなら、適当に言い訳をするしかないかな。
いわゆる「いいね」が欲しくて、仕事の合間にSNSでスカッとする話を集めて発信してたんだけど、最近はネタが尽きて前に発信した話の再発信になってたんだよね……。
あ、やった! さっそくメッセージが来た! 今ちょうどヒマだから、確認してみようかな。
えーと、アカウント名は「アザミ」さんか、それで内容は……。
「はじめまして。いつも楽しく『#ザマァミロ』を読んでいます。職場の体験談でも良いですか?」
職場の話か……、それだとトラブルを避けるために、注意しとかないといけないかな。
「はい。大丈夫ですよ。でも、記事にするときには、『アザミさんからの体験談です』と書きますが、問題ありませんか?」
職場の人間がSNSアカウントを知っていて、アザミさんの体験談を読んでトラブルになったりすると、面倒くさいからね。
あ、返信が来た。えーと……
「大丈夫ですよ! 職場の人間は、このアカウントを知りませんから!」
うん、それなら、大丈夫かな。
「そうですか。それなら、さっそくお願いします」
「はい。私の職場に、嫌な女がいたんですよ」
「どんな方だったんですか?」
「仕事を私に押しつけて、自分は早く帰ったり、有給とったりするやつでした」
「それはまた、厄介な方ですね」
「本当ですよ。それで迷惑してたのに、上司のお気に入りだから注意されないうえに、どんどん出世してたんです」
ああ、可愛さを売りにして好き勝手してた同僚が、何かがキッカケでつまずく系の話か。上司が変わったり、部署が変わったりしてチヤホヤされなくなるやつ。
たしかに、人気はあるんだけど、もう同じ系統の話は出尽くしてる気もする……。
「あるとき、そいつがシュレッダーの前でうずくまってたんです」
「シュレッダーの前で?」
「はい。関わりたくないな、とは思ったんですけど目があっちゃって。そしたら、そいつ『シュレッダーがぁ、詰まっちゃったみたいでぇ』とか、甘えた声で言い出したんですよ。まるで、直してくれって言うみたいに」
「あー、たしかに、そういうタイプの方っていますよね」
「そうですよね。そのときは、大量にコピーしないといけなかったから、そうですか、とだけ答えたんです」
「忙しいときは、そうなりますよね」
「そうですよね! でも、そいつ『えぇー? それだけですかぁー?』とか言ってきたんですよ。まるで、私が悪いみたいに」
「それはまた、災難でしたね……」
「本当そうですよね。それでも、無視してたらふてくされた顔でシュレッダーに向き直りましたが、そのときの顔がイラッときて……」
まあ、助けてもらえて当然、という態度をされたら、イライラもするかな。それで、重役の誰かに、その子が叱られてめでたしめでたし、っていう流れになるんだろうな……。
「……だから、外してたシュレッダーのコンセントを入れてやったんです」
……え?
「そいつ、電源入れたままにしてたみたいでした。それで、コンセントが入ったことに気づかないで、詰まってた書類を引っ張り続けたんです。そしたら、詰まりが直ったみたいで」
「シュレッダーの刃って、すごいんですね。まるで、油ねんどにへらが食い込むみたいに、指に食い込んで」
「そいつ、手の甲に刃が食い込んだあたりで、ようやく叫びだして。それで、むりやり手を引き抜いたから、ぐちゃぐちゃになって」
「指の切断事故って、スパッと横に切れるものだと思ってたんですけど、本当は違ったんですね」
「なんというか、こう、大きめの肉の塊に、縦に裂けてベロベロになった肉と骨が垂れ下がってるかんじでした」
「本当にいい気味でしたよ! いつもヘラヘラ笑って愛嬌を振りまいてたやつが、手も顔もぐちゃぐちゃにして泣き叫んでたんですから!」
スマホの画面に、次々とグロい内容のメッセージが表示されていく。
「ああ、そうだ! そのときに撮った写真があるんで送りますね!」
いらない、なんてメッセージを送る間もなく、画面に写真が表示される。
ぐちゃぐちゃの手を振り回して、叫び声を上げる女性。
「私の体験談を発信するときは、使ってください!」
髪を振り乱しているから、目元は隠れてるけど、こんな写真載せられるわけない。というか、そもそも、こんな体験談は発信できないよ……。
だって、こうやってメッセージを送ってくれるくらいだから、アザミさんがやったことだとはバレてないみたいだけど……、これって傷害事件だよね……?
とりあえず、あんまり刺激したくないから、当たり障りのないメッセージを返しておこう。
「体験談、ありがとうございました。掲載するかどうか、検討しますね」
「はい! ぜひ、お願いします! 楽しみにしていますね!」
楽しみにしてもらっても、掲載はできなんだけどね。
それにしても、これからどうしよう……この気持ち悪いメッセージは削除しておけばいいけど、アザミさんをブロックしたりしたら……。
ぐちゃぐちゃになった手を振り回す女性の写真がまた目に入った。
住所とか、小田マキっていう本名はプロフィールに載せてないから、何かしてくることはないと思うけど……、ブロックしたってことが相手に伝わるのはまずそうだよね……。
とりあえず、放置しておいて何か言ってくるようなら、適当に言い訳をするしかないかな。
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