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第二章 フカフカな日々
しっかりな一日・その六
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シーマ十四世殿下とはつ江ばあさんは、相変わらず絵美里への説得を続けていた。
「さあ、次は息子さんの様子を見てみましょうか」
シーマがそう言うと、絵美里はビクッと肩を震わせた。
「やっぱり……、見ないとダメ、ですか?」
不安げに問い返す絵美里に、シーマは片耳をパタパタと動かしながら、コクリとうなずいた。
「……はい。厳しいことだとは思いますが、一度ハッキリとさせておかないと、次のステップに進めませんから」
「そう、ですよね……」
絵美里が目を伏せながらうなずくと、はつ江がニッコリと笑った。
「大丈夫だぁよ、絵美里さん! きっと息子さんは、恨んでなんていないから!」
「……そうだと、いいですね」
「そうそう! 旦那さんだってちっとも恨んでなかったじゃないか!」
はつ江がそう言いながらカラカラと笑うと、絵美里も表情を少しやわらげた。
「そうですね……、なら……、殿下、息子の様子を映していただけますか?」
絵美里の問いかけに、シーマはニコリと笑ってうなずいた。
「任せてください! それでは……」
シーマがムニャムニャと呪文を唱えると、「よい子のニコニコお手伝いボード(仮称)」に映る景色が変化した。そして、カフェの片隅で向かい合ってテーブルつく一組の男女が映し出された。
一方はふんわりとした栗色の髪を緩い三つ編みで束ねた、白いワンピース姿の女性。もう一方は赤褐色の髪をして、丸い眼鏡をかけたスーツ姿の男性だった。男性の右目には、白い眼帯がつけられていた。
男性の姿が映し出された途端、絵美里は表情を強張らせた。
「明……」
絵美里がそう呟くと、はつ江がコクコクとうなずいた。
「ほうほう、随分と大きな息子さんなんだねぇ」
「そういえば、長い間こっちにいたって話だったな……」
はつ江とシーマが呟くと、絵美里がコクリとうなずいた。
「はい、向こうから逃げ出してきたときは、まだ子供だったのですが……、映っているのは、あの子にまちがいありません」
絵美里は強張った表情のまま答えて、食い入るように画面を見つめた。
画面の中では、女性が不安げな表情で首をかしげていた。
「あの、明さん……、お父様との顔合わせは、いつ頃になりますか?」
「そうですね……、姫子の仕事が落ち着いて、義眼のメンテナンスが終わってからだと……、来週末くらいですかね」
「そうですか……」
明の答えに、姫子と呼ばれた女性は不安げな表情のまま、テーブルに視線を落とした。すると、明は穏やかな微笑みを浮かべた。
「緊張してますか?」
「はい……、私なんかが伴侶になるなんて、許していただけるか不安で……」
「はははは、気にしなくても平気ですよ。父は……、まあ変人の部類には入りますが、子供の結婚相手に理不尽に文句をつけるような人間ではありませんから」
画面の中のやり取りを見て、はつ江が、ほうほう、と声を漏らしながら、コクコクとうなずいた。
「息子さんたちは、今度ご結婚するみたいだぁね」
「ああ、それはめでたいな」
「本当だぁね」
はつ江とシーマがそう言ってうなずき合うと、絵美里の表情がまた少しやわらいだ。
「ええ……。あの子と共に生きてくれる方ができたなんて……、本当によかった……」
絵美里の表情を見て、二人は穏やかに微笑んだ。
そうこうしていると、画面の中では明が大きく伸びをした。
「まあ、そんなに緊張するなら、いっそのこと今日これからサッと行って帰ってくるのも、いいかもしれませんね」
明の言葉に、姫子が目を見開いて、ワタワタと手を動かした。
「そ、そんな、きゅ、急すぎますよ!」
「あはははは! 冗談ですよ。まあ、俺の方も、できれば義眼が届いてからの方が、助かるんで」
「そう、なんですか」
画面の中の二人の話題に、絵美里の表情が再び強張った。
「ええ。義眼をつけていないときのほうが、見えすぎるので」
「えーと……、その、例の発作で、ですか?」
「ええ、そうですね」
二人の会話を聞いて、はつ江がキョトンとした表情で首をかしげた。
「見えすぎる?」
はつ江が呟くと、シーマが尻尾の先をクニャリと曲げて、画面の中を覗き込んだ。
「えーと……、あ、この人、欠けた視力を無意識のうちに魔力で補ってるみたいだ。でも、自分で制御はできてないみだいだなぁ……」
シーマが呟くと、絵美里はうつむいて肩を震わせた。
「私のせいで……、あの子にそんな業を背負わせてしまうなんて……」
絵美里の言葉に、シーマは全身の毛を逆立てて跳びはねた。
「ち、違うんです、絵美里さん! 別に、貴女のことを責めているんじゃなくて……」
「いえ……、でも、全ての原因は私にありますから……」
「あー、その、えーと……」
絵美里が気を落としシーマがワタワタしていると、はつ江がキョトンとした表情で画面を指さした。
「二人とも、まだ明君たちのお話は、終わってないだぁよ?」
「そ、そうだな、はつ江!」
「ええ……、そう、ですね……」
はつ江にうながされて、二人は再び画面に目を戻した。
画面の中では、明が穏やかに微笑んでいた。
「まあ、この目については、色々とありましたが……、今では感謝していますよ。だって、この目のおかげで、姫子と出会えて、救い出す手伝いができたんですから」
「そ、そのせつは、本当にご迷惑をおかけいたしました!」
「いえいえ、お気になさらずに。ただ……、俺の目がこうなったせいで母を苦しめてしまったことは、いまだに罪悪感を感じていますが……」
「明さん……」
「……ははは! そこは『罪悪感を感じる』だと、二重表現になるってツッコんでくださいよ」
「きゅ、急に茶化さないでください!」
「ははは、すみません。それにしても、本当は母にも姫子を紹介して、俺にも一緒に生きてくれる人ができたと伝えて、安心させたいんですけどね……」
「そうですよね……」
画面を見つめながら、絵美里は唇を震わせた。
「明……、違うの……、貴方が罪悪感を抱くことなんて、ないの……」
絵美里の言葉を受けて、シーマが穏やかに微笑んで尻尾の先をクニャリと曲げた。
「絵美里さん、その言葉は画面越しでは伝わりませんよ?」
シーマに続いて、はつ江も穏やかに微笑みながら首をかしげた。
「息子さんは、絵美里さんを恨んでるように見えたかい?」
二人に声をかけられ、絵美里はうつむいて目を泳がせた。
それからしばらくして、手を握りしめながら、真剣な表情を浮かべて顔を上げた。
「……戻らなくてはいけませんね。あの子のところへ」
絵美里の決意を聞いて、シーマとはつ江はニッコリと笑った。
「ええ、ボクもそれがいいと思いますよ」
「創さんも明君も姫子ちゃんも、すっごく喜ぶだぁよ!」
「そうだと、いいですね……」
絵美里もかすかに微笑みながら、二人にそう返した。
一方、画面の中では――
「……ん? あ、姫子すみません、電話がかかってきたみたいですが、出てもいいですか?」
「あ、どうぞ、お気になさらずに」
「ありがとうございます。はい、葉河瀨です……、ああ、なんだ父さんか。……うん、まあ、そうですね……、え……? ……ああ、うん、分かりました……、ではこれで」
「えーと、お父様から、ですか?」
「……はい。なんでも、母の件で話があるから、今日の午後にでも二人で顔を出せと……」
「お母様の件……?」
「ええ……。今まで、父から母の話題が出ることなんて、なかったんですが……」
――またしても、なんだか不穏な会話が繰り広げられていた。
かくして、シーマ殿下とはつ江ばあさんのあずかり知らぬところでイザコザが発生しそうになりながらも、絵美里が元の世界に戻る準備が始まるのだった。
「さあ、次は息子さんの様子を見てみましょうか」
シーマがそう言うと、絵美里はビクッと肩を震わせた。
「やっぱり……、見ないとダメ、ですか?」
不安げに問い返す絵美里に、シーマは片耳をパタパタと動かしながら、コクリとうなずいた。
「……はい。厳しいことだとは思いますが、一度ハッキリとさせておかないと、次のステップに進めませんから」
「そう、ですよね……」
絵美里が目を伏せながらうなずくと、はつ江がニッコリと笑った。
「大丈夫だぁよ、絵美里さん! きっと息子さんは、恨んでなんていないから!」
「……そうだと、いいですね」
「そうそう! 旦那さんだってちっとも恨んでなかったじゃないか!」
はつ江がそう言いながらカラカラと笑うと、絵美里も表情を少しやわらげた。
「そうですね……、なら……、殿下、息子の様子を映していただけますか?」
絵美里の問いかけに、シーマはニコリと笑ってうなずいた。
「任せてください! それでは……」
シーマがムニャムニャと呪文を唱えると、「よい子のニコニコお手伝いボード(仮称)」に映る景色が変化した。そして、カフェの片隅で向かい合ってテーブルつく一組の男女が映し出された。
一方はふんわりとした栗色の髪を緩い三つ編みで束ねた、白いワンピース姿の女性。もう一方は赤褐色の髪をして、丸い眼鏡をかけたスーツ姿の男性だった。男性の右目には、白い眼帯がつけられていた。
男性の姿が映し出された途端、絵美里は表情を強張らせた。
「明……」
絵美里がそう呟くと、はつ江がコクコクとうなずいた。
「ほうほう、随分と大きな息子さんなんだねぇ」
「そういえば、長い間こっちにいたって話だったな……」
はつ江とシーマが呟くと、絵美里がコクリとうなずいた。
「はい、向こうから逃げ出してきたときは、まだ子供だったのですが……、映っているのは、あの子にまちがいありません」
絵美里は強張った表情のまま答えて、食い入るように画面を見つめた。
画面の中では、女性が不安げな表情で首をかしげていた。
「あの、明さん……、お父様との顔合わせは、いつ頃になりますか?」
「そうですね……、姫子の仕事が落ち着いて、義眼のメンテナンスが終わってからだと……、来週末くらいですかね」
「そうですか……」
明の答えに、姫子と呼ばれた女性は不安げな表情のまま、テーブルに視線を落とした。すると、明は穏やかな微笑みを浮かべた。
「緊張してますか?」
「はい……、私なんかが伴侶になるなんて、許していただけるか不安で……」
「はははは、気にしなくても平気ですよ。父は……、まあ変人の部類には入りますが、子供の結婚相手に理不尽に文句をつけるような人間ではありませんから」
画面の中のやり取りを見て、はつ江が、ほうほう、と声を漏らしながら、コクコクとうなずいた。
「息子さんたちは、今度ご結婚するみたいだぁね」
「ああ、それはめでたいな」
「本当だぁね」
はつ江とシーマがそう言ってうなずき合うと、絵美里の表情がまた少しやわらいだ。
「ええ……。あの子と共に生きてくれる方ができたなんて……、本当によかった……」
絵美里の表情を見て、二人は穏やかに微笑んだ。
そうこうしていると、画面の中では明が大きく伸びをした。
「まあ、そんなに緊張するなら、いっそのこと今日これからサッと行って帰ってくるのも、いいかもしれませんね」
明の言葉に、姫子が目を見開いて、ワタワタと手を動かした。
「そ、そんな、きゅ、急すぎますよ!」
「あはははは! 冗談ですよ。まあ、俺の方も、できれば義眼が届いてからの方が、助かるんで」
「そう、なんですか」
画面の中の二人の話題に、絵美里の表情が再び強張った。
「ええ。義眼をつけていないときのほうが、見えすぎるので」
「えーと……、その、例の発作で、ですか?」
「ええ、そうですね」
二人の会話を聞いて、はつ江がキョトンとした表情で首をかしげた。
「見えすぎる?」
はつ江が呟くと、シーマが尻尾の先をクニャリと曲げて、画面の中を覗き込んだ。
「えーと……、あ、この人、欠けた視力を無意識のうちに魔力で補ってるみたいだ。でも、自分で制御はできてないみだいだなぁ……」
シーマが呟くと、絵美里はうつむいて肩を震わせた。
「私のせいで……、あの子にそんな業を背負わせてしまうなんて……」
絵美里の言葉に、シーマは全身の毛を逆立てて跳びはねた。
「ち、違うんです、絵美里さん! 別に、貴女のことを責めているんじゃなくて……」
「いえ……、でも、全ての原因は私にありますから……」
「あー、その、えーと……」
絵美里が気を落としシーマがワタワタしていると、はつ江がキョトンとした表情で画面を指さした。
「二人とも、まだ明君たちのお話は、終わってないだぁよ?」
「そ、そうだな、はつ江!」
「ええ……、そう、ですね……」
はつ江にうながされて、二人は再び画面に目を戻した。
画面の中では、明が穏やかに微笑んでいた。
「まあ、この目については、色々とありましたが……、今では感謝していますよ。だって、この目のおかげで、姫子と出会えて、救い出す手伝いができたんですから」
「そ、そのせつは、本当にご迷惑をおかけいたしました!」
「いえいえ、お気になさらずに。ただ……、俺の目がこうなったせいで母を苦しめてしまったことは、いまだに罪悪感を感じていますが……」
「明さん……」
「……ははは! そこは『罪悪感を感じる』だと、二重表現になるってツッコんでくださいよ」
「きゅ、急に茶化さないでください!」
「ははは、すみません。それにしても、本当は母にも姫子を紹介して、俺にも一緒に生きてくれる人ができたと伝えて、安心させたいんですけどね……」
「そうですよね……」
画面を見つめながら、絵美里は唇を震わせた。
「明……、違うの……、貴方が罪悪感を抱くことなんて、ないの……」
絵美里の言葉を受けて、シーマが穏やかに微笑んで尻尾の先をクニャリと曲げた。
「絵美里さん、その言葉は画面越しでは伝わりませんよ?」
シーマに続いて、はつ江も穏やかに微笑みながら首をかしげた。
「息子さんは、絵美里さんを恨んでるように見えたかい?」
二人に声をかけられ、絵美里はうつむいて目を泳がせた。
それからしばらくして、手を握りしめながら、真剣な表情を浮かべて顔を上げた。
「……戻らなくてはいけませんね。あの子のところへ」
絵美里の決意を聞いて、シーマとはつ江はニッコリと笑った。
「ええ、ボクもそれがいいと思いますよ」
「創さんも明君も姫子ちゃんも、すっごく喜ぶだぁよ!」
「そうだと、いいですね……」
絵美里もかすかに微笑みながら、二人にそう返した。
一方、画面の中では――
「……ん? あ、姫子すみません、電話がかかってきたみたいですが、出てもいいですか?」
「あ、どうぞ、お気になさらずに」
「ありがとうございます。はい、葉河瀨です……、ああ、なんだ父さんか。……うん、まあ、そうですね……、え……? ……ああ、うん、分かりました……、ではこれで」
「えーと、お父様から、ですか?」
「……はい。なんでも、母の件で話があるから、今日の午後にでも二人で顔を出せと……」
「お母様の件……?」
「ええ……。今まで、父から母の話題が出ることなんて、なかったんですが……」
――またしても、なんだか不穏な会話が繰り広げられていた。
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