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修羅場ってます
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ダイヤがとんでもないことを口走ってくれたおかげで、応接室がなんともいえない空気になった。
このまま放っておいて、どこかに逃げたいけど……、一応フォローしようか。私、闇の勢力のNo.2だし、巻き込まれた張本人だし……。
「貴殿はなにをおっしゃっているんだ?」
「ふふふ。君は僕に恋い焦がれていて、それがきっかけで、同じく僕に恋い焦がれている光の聖女と、仲良くなったんだろ?」
「なぜ、そんな話になったんだ……」
「照れなくてもいいんだよ、仔猫ちゃん! 僕に恋い焦がれる者どうし、仲良くするのはとても素晴らしいことなんだから!」
……ダメだ。こいつと話してると、なんだか頭が痛くなってくる。
「……光の聖女」
「はい! なんですか、元帥さん!?」
「ちょっと、話がある」
「え!? それは、愛の告白ですか!?」
「うん、ふざけてないで、ちょっと部屋の隅に来て」
「ちぇー……、分かりましたー」
部屋の隅に移動してダイヤたちに背を向けると、ミカエラは笑顔で首をかしげた。
「それで、サキ、話ってなに?」
「色々と聞きたいんだけど……」
「聞きたいこと? あ、トレーニングでヒスイが歌ってるのは、軍隊が訓練するときに歌う行進曲で歌詞は即興で作るんだよ!」
「へー、そうなんだ。ミカエラ、よくそんなこと知ってるね」
「うん! だって、むかしハマってた乙女ゲームで、そんな話題がでてきたから!」
「ふーん、そうなんだ……、じゃなくて!」
「サキってば、ノリツッコミなんかして、可愛い!」
「いいから! それよりも、さっきのダイヤの話は、一体なんなの?」
「あー、やっぱり、気になっちゃうかんじ?」
「当たり前でしょ……、なんで私がダイヤに恋してることになってるの……」
「えーとね、この間、私がダイヤに和平の向かうことを取り付けた、って話がでたでしょ?」
「ああ、うん。そうだね」
「でもさ、やっぱり、最初は渋ってたのよ。ほら、ダイヤって自尊心の塊みたいなところあるじゃない?」
「あー、まあ、たしかに……」
「でもさ、逆に言ったら、ちょっとでも自尊心をくすぐってやればチョロい、ってことだから」
「ミカエラ……、仮にも自分の所属する勢力のトップなんだから、もうちょっと言い方を考えようよ……」
「いいから、いいから。それで、『もしも和平に向かってくれれば、元帥さんが今よりもっとダイヤのこと好きになってくれるのになー』って言ってみたら、すぐだったよ」
「今よりもっとって……、そもそも、元々の好感度がゼロなんだけど……」
「でもほら、『ゼロが一になることだって、すごく大変で素晴らしいことなんだよ』みたいなこと、海辺の学校を守るアイドルたちも言ってたじゃない?」
「まあ、そうかも、しれないけれど……」
「だから、好感度が少しでも上がったなら、もっと、って言っていいと思うの」
「いや、別に好感度は上がってないし……」
「ああ、やっぱり?」
「やっぱり、って思うなら……、もう少し話をまとめてから連れてきて欲しかった……」
「あはははは、ゴメンゴメン」
ゴメンと言いながらも、ミカエラはまったく悪びれてない。
「でも、ほら、百合の間に挟まろうとする野郎は、百合ガチ勢に輪郭の形が変わるまでボコボコにされるのが常だから、放っておいて平気だよ!」
「物騒なこと言わないでよ……、だいたいダイヤをボコボコにできるような百合ガチ勢なんて……」
「元帥」
……いたわ。すぐ近くに。
振り返った先にはヒスイが目元と口元を震わせて微笑みながら、首をかしげてる……。
これは、間違いなく、いざこざするやつだね。
「えーと……、どうした? ヒスイ」
「ダイヤ様がうわ言を繰り返していらっしゃるので、気分転換が必要かと」
「気分転換?」
「はい。ですので、ダイヤ様とスパーリングする許可を……」
「出せるわけないだろ!」
スパーリングとかいってボコボコにする気じゃないですか、やだー……。
なんて、現実逃避してないで、早く事態の収束に――
「おやおや、なにを怒ってるんだい? 百合なんて、ハーレムもので仔猫ちゃんたちをギスギスさせないための、手段じゃないか」
――向かわせたかったんだけどね。
ダイヤは、さも当然と言いたげに、百合ガチ勢から総攻撃を食らいかねない発言を口にした。
「黙りなさい! 貴殿のような不埒なやからがいるから、いつまで経っても『百合好きはハーレム願望があるやつだ』なんて誤解を受けるんですよ!」
ヒスイはヒスイで、なんだか被害妄想的なセリフを口にしてるし……、もうこれ、どうやって収束させればいいんだろう……。
「ねーねー、サ……元帥さん」
「うん。どうしたの……だ?」
「私たち、この場にいる必要ありますかね?」
「多分ない、だろうな」
ヒスイとダイヤの口論は白熱してるし、そもそも挨拶だけの予定だったし……、えーと、こういうときは……。
ギベオンに視線を送ってみると、苦笑を浮かべたうなずきと、部屋をでても構わないというジェスチャーが帰ってきた。話が分かる父親で助かった……。
「では、光の聖女よ。この場を離れようか」
「はい! 元帥さん!」
開幕早々トラブルが発生したけど、久しぶりにミカエラと二人で話せるのは嬉しいかな。
このまま放っておいて、どこかに逃げたいけど……、一応フォローしようか。私、闇の勢力のNo.2だし、巻き込まれた張本人だし……。
「貴殿はなにをおっしゃっているんだ?」
「ふふふ。君は僕に恋い焦がれていて、それがきっかけで、同じく僕に恋い焦がれている光の聖女と、仲良くなったんだろ?」
「なぜ、そんな話になったんだ……」
「照れなくてもいいんだよ、仔猫ちゃん! 僕に恋い焦がれる者どうし、仲良くするのはとても素晴らしいことなんだから!」
……ダメだ。こいつと話してると、なんだか頭が痛くなってくる。
「……光の聖女」
「はい! なんですか、元帥さん!?」
「ちょっと、話がある」
「え!? それは、愛の告白ですか!?」
「うん、ふざけてないで、ちょっと部屋の隅に来て」
「ちぇー……、分かりましたー」
部屋の隅に移動してダイヤたちに背を向けると、ミカエラは笑顔で首をかしげた。
「それで、サキ、話ってなに?」
「色々と聞きたいんだけど……」
「聞きたいこと? あ、トレーニングでヒスイが歌ってるのは、軍隊が訓練するときに歌う行進曲で歌詞は即興で作るんだよ!」
「へー、そうなんだ。ミカエラ、よくそんなこと知ってるね」
「うん! だって、むかしハマってた乙女ゲームで、そんな話題がでてきたから!」
「ふーん、そうなんだ……、じゃなくて!」
「サキってば、ノリツッコミなんかして、可愛い!」
「いいから! それよりも、さっきのダイヤの話は、一体なんなの?」
「あー、やっぱり、気になっちゃうかんじ?」
「当たり前でしょ……、なんで私がダイヤに恋してることになってるの……」
「えーとね、この間、私がダイヤに和平の向かうことを取り付けた、って話がでたでしょ?」
「ああ、うん。そうだね」
「でもさ、やっぱり、最初は渋ってたのよ。ほら、ダイヤって自尊心の塊みたいなところあるじゃない?」
「あー、まあ、たしかに……」
「でもさ、逆に言ったら、ちょっとでも自尊心をくすぐってやればチョロい、ってことだから」
「ミカエラ……、仮にも自分の所属する勢力のトップなんだから、もうちょっと言い方を考えようよ……」
「いいから、いいから。それで、『もしも和平に向かってくれれば、元帥さんが今よりもっとダイヤのこと好きになってくれるのになー』って言ってみたら、すぐだったよ」
「今よりもっとって……、そもそも、元々の好感度がゼロなんだけど……」
「でもほら、『ゼロが一になることだって、すごく大変で素晴らしいことなんだよ』みたいなこと、海辺の学校を守るアイドルたちも言ってたじゃない?」
「まあ、そうかも、しれないけれど……」
「だから、好感度が少しでも上がったなら、もっと、って言っていいと思うの」
「いや、別に好感度は上がってないし……」
「ああ、やっぱり?」
「やっぱり、って思うなら……、もう少し話をまとめてから連れてきて欲しかった……」
「あはははは、ゴメンゴメン」
ゴメンと言いながらも、ミカエラはまったく悪びれてない。
「でも、ほら、百合の間に挟まろうとする野郎は、百合ガチ勢に輪郭の形が変わるまでボコボコにされるのが常だから、放っておいて平気だよ!」
「物騒なこと言わないでよ……、だいたいダイヤをボコボコにできるような百合ガチ勢なんて……」
「元帥」
……いたわ。すぐ近くに。
振り返った先にはヒスイが目元と口元を震わせて微笑みながら、首をかしげてる……。
これは、間違いなく、いざこざするやつだね。
「えーと……、どうした? ヒスイ」
「ダイヤ様がうわ言を繰り返していらっしゃるので、気分転換が必要かと」
「気分転換?」
「はい。ですので、ダイヤ様とスパーリングする許可を……」
「出せるわけないだろ!」
スパーリングとかいってボコボコにする気じゃないですか、やだー……。
なんて、現実逃避してないで、早く事態の収束に――
「おやおや、なにを怒ってるんだい? 百合なんて、ハーレムもので仔猫ちゃんたちをギスギスさせないための、手段じゃないか」
――向かわせたかったんだけどね。
ダイヤは、さも当然と言いたげに、百合ガチ勢から総攻撃を食らいかねない発言を口にした。
「黙りなさい! 貴殿のような不埒なやからがいるから、いつまで経っても『百合好きはハーレム願望があるやつだ』なんて誤解を受けるんですよ!」
ヒスイはヒスイで、なんだか被害妄想的なセリフを口にしてるし……、もうこれ、どうやって収束させればいいんだろう……。
「ねーねー、サ……元帥さん」
「うん。どうしたの……だ?」
「私たち、この場にいる必要ありますかね?」
「多分ない、だろうな」
ヒスイとダイヤの口論は白熱してるし、そもそも挨拶だけの予定だったし……、えーと、こういうときは……。
ギベオンに視線を送ってみると、苦笑を浮かべたうなずきと、部屋をでても構わないというジェスチャーが帰ってきた。話が分かる父親で助かった……。
「では、光の聖女よ。この場を離れようか」
「はい! 元帥さん!」
開幕早々トラブルが発生したけど、久しぶりにミカエラと二人で話せるのは嬉しいかな。
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