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本編
9話 新しい住居
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アーヴァイン公爵領を馬車で出てから数時間ほどが経った。
日も暮れ始めた頃、王都にあるレオン王子殿下が住む屋敷へとついた。
「ではお嬢様、我々はこれで失礼します」
「ええ、皆さんありがとう」
同行していた従者と執事、それに護衛の兵士たちとはここでお別れです。
お父様は、私にお付きのメイドを付けることはありませんでした。
そのため、私は一人でレオン王子殿下の屋敷に住むことになったのです。
「シルヴィアお嬢様、これを」
「これは......」
執事は、重みを感じさせる袋を手渡して来ました。
「わずかではありますが、お金が入っています。何かあればお使い下さい」
「ありがとう......本当にありがとう」
私は、袋を受け取ると執事に礼を告げる。
執事は私が受けるのを確認すると、「では......」と行って馬車の方へと歩いて行ってしまいました。
これからは、私一人で全てをしなくてはなりません。
少し寂しさを感じつつも、屋敷の方へと一人で歩いて行きました。
◇
王都外れにある、レオン・クライトン王子殿下が住んでいる屋敷。
屋敷の周辺に建物はほとんどなく、木々が生えている。
そんな屋敷の玄関に私はいます。
今日から、ここが私が住むことになる場所です。
「お待ちしておりました。シルヴィア・アーヴァイン公爵令嬢様」
「出迎えありがとうございますわ。あなたは確か......」
玄関に入ると、見覚えのある執事の男性が出迎えてくれました。
この執事は、前回王都に来た時にも出迎えてくれた人です。
「私のことはセバスチャン、もしくはセバスとお呼び下さい」
「ええ、よろしくセバスチャン」
「この屋敷の全体管理を任されていますので、何か分からないことがあれば、私を頼って頂ければ解決いたします」
セバスチャンと名乗った執事は、丁寧なお辞儀をしながらマナー良くそう言った。
さすが王族の執事といった様子で、身なりからマナーまで隙はありませんでした。
「シ、シルヴィア公爵令嬢しゃま!」
セバスチャンの横にいた、一人のメイドが噛みながら話しをして来ました。
「私は、サラです。平民ですが、この屋敷でメイドとして働いています。どうか、よろしくお願いします」
「ええ、よろしくねサラ」
サラは、平民ではあるけれど身なりだけを見ると立派なメイドです。
私がこれからお世話になるメイドなので、しっかりとあいさつを忘れない。
「最後に俺だな」
セバスチャン、サラと並んでもう一人の男性が話し始めました。
「よろしくシルヴィア公爵令嬢様。この屋敷で護衛隊長をやってるクライヴだ。何かあれば、俺が守ってやるから安心してくれ」
「え、ええ、よろしくねクライヴ」
クライヴは、セバスチャンやサラとは違って腰に帯刀している。
言葉こそ乱暴で驚きはしたけれど、いざという時には、頼りになる存在なのかもしれません。
「これで、屋敷にいる者の紹介は終わりでございます」
「えっ? これだけですの?」
「護衛の兵士も数人はいますが、基本的にはここにいるだけの者しかおりません」
セバスチャンの言葉に、私は衝撃を受けました。
レオン・クライトン王子殿下は、クライトン王国の第二王子です。
その王子が、小さな屋敷に使用人はごくわずかしかいないとは。
「シルヴィア公爵令嬢様よ、俺だけでも守ってやれるから安心してくれよ」
私が驚いていると、クライヴはガハハと大きな口を開けながらそう言いました。
「シルヴィア公爵令嬢様」
「あの、敬称は不要ですわ。婚約者とは言え、これからはここでお世話になるのですもの」
「そうですか。では、以後はシルヴィア様とお呼びさせて頂きます」
セバスチャンは、敬称を改めて様付けで呼んでくれるらしい。
これからお世話になるのだから、いちいち長ったらしく敬称で呼ばれたら参ってしまいます。
「ではシルヴィア様、使用人の紹介も済みましたので屋敷と部屋の案内をします。どうぞこちらに......」
「ええ、お願いするわ」
私は、セバスチャンの案内されるがままに屋敷内を歩きました——。
◇
一通り屋敷の案内をされ、最後にこれから私の部屋となる場所へと連れて行ってもらいました。
「こちらがシルヴィア様の部屋です」
「ありがとうセバスチャン」
「では私はこれで失礼します。何か用がありましたら、お呼び下さい」
セバスチャンはそう言うと、私を残して廊下を歩いて行ってしまいました。
私は、部屋の扉を開けて中へと入る。
部屋の中は、ベッドと机と椅子が置かれているだけだった。
持ってきた荷物を机わきへと置いて、椅子に腰掛ける。
「疲れましたわ」
今日一日だけで、いろんなことがあって疲れてしまいました。
初めての場所に、初めて会う人たち、そして初めて住む場所。
「今日からここが私の家となるのですね」
レオン王子殿下の屋敷。
今日からは、私はここに住むことになる。
屋敷についてからはまだ会っていないけれど、やさぐれ王子と一つ屋根の下で住むことになります。
私のこれはどうなるのでしょうか。
不安と、期待に胸を膨らませながら、これからのことを想像する——。
日も暮れ始めた頃、王都にあるレオン王子殿下が住む屋敷へとついた。
「ではお嬢様、我々はこれで失礼します」
「ええ、皆さんありがとう」
同行していた従者と執事、それに護衛の兵士たちとはここでお別れです。
お父様は、私にお付きのメイドを付けることはありませんでした。
そのため、私は一人でレオン王子殿下の屋敷に住むことになったのです。
「シルヴィアお嬢様、これを」
「これは......」
執事は、重みを感じさせる袋を手渡して来ました。
「わずかではありますが、お金が入っています。何かあればお使い下さい」
「ありがとう......本当にありがとう」
私は、袋を受け取ると執事に礼を告げる。
執事は私が受けるのを確認すると、「では......」と行って馬車の方へと歩いて行ってしまいました。
これからは、私一人で全てをしなくてはなりません。
少し寂しさを感じつつも、屋敷の方へと一人で歩いて行きました。
◇
王都外れにある、レオン・クライトン王子殿下が住んでいる屋敷。
屋敷の周辺に建物はほとんどなく、木々が生えている。
そんな屋敷の玄関に私はいます。
今日から、ここが私が住むことになる場所です。
「お待ちしておりました。シルヴィア・アーヴァイン公爵令嬢様」
「出迎えありがとうございますわ。あなたは確か......」
玄関に入ると、見覚えのある執事の男性が出迎えてくれました。
この執事は、前回王都に来た時にも出迎えてくれた人です。
「私のことはセバスチャン、もしくはセバスとお呼び下さい」
「ええ、よろしくセバスチャン」
「この屋敷の全体管理を任されていますので、何か分からないことがあれば、私を頼って頂ければ解決いたします」
セバスチャンと名乗った執事は、丁寧なお辞儀をしながらマナー良くそう言った。
さすが王族の執事といった様子で、身なりからマナーまで隙はありませんでした。
「シ、シルヴィア公爵令嬢しゃま!」
セバスチャンの横にいた、一人のメイドが噛みながら話しをして来ました。
「私は、サラです。平民ですが、この屋敷でメイドとして働いています。どうか、よろしくお願いします」
「ええ、よろしくねサラ」
サラは、平民ではあるけれど身なりだけを見ると立派なメイドです。
私がこれからお世話になるメイドなので、しっかりとあいさつを忘れない。
「最後に俺だな」
セバスチャン、サラと並んでもう一人の男性が話し始めました。
「よろしくシルヴィア公爵令嬢様。この屋敷で護衛隊長をやってるクライヴだ。何かあれば、俺が守ってやるから安心してくれ」
「え、ええ、よろしくねクライヴ」
クライヴは、セバスチャンやサラとは違って腰に帯刀している。
言葉こそ乱暴で驚きはしたけれど、いざという時には、頼りになる存在なのかもしれません。
「これで、屋敷にいる者の紹介は終わりでございます」
「えっ? これだけですの?」
「護衛の兵士も数人はいますが、基本的にはここにいるだけの者しかおりません」
セバスチャンの言葉に、私は衝撃を受けました。
レオン・クライトン王子殿下は、クライトン王国の第二王子です。
その王子が、小さな屋敷に使用人はごくわずかしかいないとは。
「シルヴィア公爵令嬢様よ、俺だけでも守ってやれるから安心してくれよ」
私が驚いていると、クライヴはガハハと大きな口を開けながらそう言いました。
「シルヴィア公爵令嬢様」
「あの、敬称は不要ですわ。婚約者とは言え、これからはここでお世話になるのですもの」
「そうですか。では、以後はシルヴィア様とお呼びさせて頂きます」
セバスチャンは、敬称を改めて様付けで呼んでくれるらしい。
これからお世話になるのだから、いちいち長ったらしく敬称で呼ばれたら参ってしまいます。
「ではシルヴィア様、使用人の紹介も済みましたので屋敷と部屋の案内をします。どうぞこちらに......」
「ええ、お願いするわ」
私は、セバスチャンの案内されるがままに屋敷内を歩きました——。
◇
一通り屋敷の案内をされ、最後にこれから私の部屋となる場所へと連れて行ってもらいました。
「こちらがシルヴィア様の部屋です」
「ありがとうセバスチャン」
「では私はこれで失礼します。何か用がありましたら、お呼び下さい」
セバスチャンはそう言うと、私を残して廊下を歩いて行ってしまいました。
私は、部屋の扉を開けて中へと入る。
部屋の中は、ベッドと机と椅子が置かれているだけだった。
持ってきた荷物を机わきへと置いて、椅子に腰掛ける。
「疲れましたわ」
今日一日だけで、いろんなことがあって疲れてしまいました。
初めての場所に、初めて会う人たち、そして初めて住む場所。
「今日からここが私の家となるのですね」
レオン王子殿下の屋敷。
今日からは、私はここに住むことになる。
屋敷についてからはまだ会っていないけれど、やさぐれ王子と一つ屋根の下で住むことになります。
私のこれはどうなるのでしょうか。
不安と、期待に胸を膨らませながら、これからのことを想像する——。
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